アセトアミノフェンとアルコールの併用は注意すべきか?

アセトアミノフェンとアルコール

今回のテーマは、「アセトアミノフェンとアルコール」。

商品名をカロナール。頭痛薬、こどもの解熱薬、なんだかよく分からない痛み、もう日本全国津々浦々、いや世界中で使われている薬です。

これとアルコールの併用についてのお話です。よく知られているテーマですが、少し考えてもらいたい内容を含むので記事にしてみたいと思います。

この併用に関しては、学校でも習いますし、一般的な指導をされている方は多いのでないでしょうか?おそらく、メカニズムについても説明できる方が多いと思いますが、念のため復習していきましょう。

なぜアセトアミノフェンで肝障害が起こるの?

身体に入ったアセトアミノフェンの概ね5%程度は、肝臓の代謝酵素CYP2E1により代謝され、N-アセチルパラベンゾキノニミン(NAPQI)になります。

アセトアミノフェンそのものではなく、このNAPQIに、非常に強力な肝臓毒性があります。しかし、通常であれば、肝臓内のグルタチオンの作用により、NAPQIは無毒化されます。

一方で、下記の状態では注意が必要です。NAPQIの異常な蓄積が起こり、肝臓細胞が壊死して、重篤な肝障害の引き金となることがあります。

◆大量のNAPQIが産生されて、グルタチオンの無毒化が追いつかない場合

◆何らかの理由でグルタチオンが欠乏している場合

 アルコールの影響とは?

では、
アルコールはアセトアミノフェンの代謝にどう影響するのでしょうか?

アルコールはCYP2E1という酵素を誘導する(増やす)作用をもっています。これは、アルコールを長期的に続けていくと起こるもので、「お酒に強くなる」過程のひとつとしても考えられます。

アルコール自体もCYP2E1による代謝を受けて、アセトアルデヒドという代謝物に変化します。つまり、飲酒を続けていると代謝能力をあげようとして、この酵素が増えていくわけです。

話がちょっと脱線しましたが、このCYP2E1はアセトアミノフェンの代謝にもかかわっています。具体的には、CYP2E1は、アセトアミノフェンをNAPQIに変える酵素です。

つまり、慢性的な飲酒により誘導されたCYP2E1により、アセトアミノフェンのNAPQIへの代謝が素早く進んでしますのです。急激につくられたNAPQIを肝臓で無害化することができずに、肝障害が起こるのです。

また、アセトアミノフェンを大量に飲みつづけていると、そもそもグルタチオンが消費されており、いざというときに枯渇してしまう可能性があるわけです。

一般の方々がもつイメージでは、「薬の飲み合わせ」と言われると、薬とアルコールそのものの相性が悪いと思われるかもしれません。実はこの場合、極論、アセトアミノフェンをお酒で飲んでも直接的な影響はないのです。

むしろ、お互いにCYP2E1を取り合う形になり、アセトアミノフェンはNAPQIに変わりにくくなるので、肝障害のリスクは減るかもしれません(あくまで可能性として)。
重要なのは、慢性飲酒によりCYP2E1が誘導されていることです。

実際は、どうなの!?

とまあ、ここまでは教科書の知識としておさえてもらえればよいのですが、重要なのはここからです。

アセトアミノフェンが肝臓の負担をかけることがある、ということは分かった。さらに、アルコールが加わると、その危険性が高まることも分かった。

じゃあ、毎日お酒を楽しんでいる人は、アセトアミノフェンは飲めないの?他の薬を使った方がいいのか?

ここが重要なわけです。ここを知りたいんですよ。

「お酒を飲んでいる人は注意が必要です。」
そんなことたぁ、もう分かっているんです。

でも、お酒やめたくないのです?お酒にしても、タバコにしても、やめろと言われてやめれるんだったら、なんの問題もないわけです。

でも、僕らは機械を相手にしているわけじゃない。
ONかOFFか、ではないのです。「程度」「バランス」が問われているのです。

カロナールをみた瞬間に、脊髄反射的に「お酒飲まないようにしてください」ではいけないと思うんですよ。その先です、知りたいのは。

でも、こういう指導って結構してしまうことが多いと思うんです。ある意味、ちょっと真面目に勉強している人ほど陥りやすい状況かもしれません。

人間って、そんなしっかりとはできていませんよね。我慢しろといわれても我慢できない、もしくは、我慢するのに相当ストレスがかかると思うんです。

であるならば、できるだけ私生活とのバランスをとりながら、いかに安全に薬を飲むことできるが重要になると思うのです。
そのお手伝いができれば、ひとつの付加価値になるはずです。

で、問題に立ち返ると、
「カロナールを服用する人に、飲酒を注意する必要はあるのか?」
という根本的な疑問が生まれるわけです。

いろいろな報告があると思いますので、あえてここで一つを取り上げることはしませんが、僕の結論としては、あまりシビアになる必要はないのでは、という立場です。

理由としては、下記のようなものがあります。
①アルコール量よりも、むしろアセトアミノフェンの服用量が重要と思われる。
②アセトアミノフェンによる劇症肝炎を起こしたケースでは、そもそも治療域外の量を一度に飲んだものが多い。
③代替としてNSAIDsを考慮したとしても、他のリスクを考慮して大きなベネフィットがあるとはいいにくい。

頭痛があって300mgを頓服するような例があったとして、
飲酒に関して上記のリスクを説明し、不安感をもたせる必要があるのでしょうか。

このバランス感覚が求められている気がしています。
こういったケースは他の薬においてもよくあり得ることだと思います。

学術的な知識を、現実な問題とどのようなバランスをもって使うのか?非常に難しいところではありますが、社会のニーズや今後のポジショニングを考えると、今後必要になってくる観点だと思います。

様々な意見や考え方があるかと思いますが、考察の一つのきっかけになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

スポンサーリンク

お役にたった時のポチっとシェアボタン

フォローはこちら!

スポンサーリンク

コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)