表面張力と「正の吸着」「負の吸着」をわかりやすく解説!

学生のころには、あんまりピンとこなかった表面張力のお話。

他の力と違って、なんかイメージしづらいんですよね。表面張力って。

と、いうことで今回は表面張力とはなにか?というところと、正の吸着と負の吸着についてすっきりまとめていきます!

表面張力とは?

まず表面張力がどんなときに働くようになるかといえば、当たり前ですが「表面」がないといけません!

例えば、コップに入った水があったとして、その表面は空気と接していますよね。

このとき水と空気の境目のことを「界面」ともいいますが、界面というと「液体と液体」「液体と固体」などの境目も含んだ表現になります。

界面のなかでも、液体と気体との界面のことを「表面」っていうらしいです。

話をもどすと、水と空気の相性はどうでしょうか?水分子は極性がありますが、空気のほとんどは窒素ですから極性は少ないですよね。

よって、水分子は水分子どうしでくっついていた方が「安定な状態」で、安定ということは「エネルギー状態が低い」といいかえることができます。

宇宙のしくみ(でっかい話になってきました!)には、現象はより「安定な方向」へ「エネルギーが低くなる方向」に進んでいくという性質があります。

高いところにある物体は、位置エネルギーが高い状態にあるので、より低くなるように落下してきますよね。

つまり、水分子も同じで、表面にあると相性の悪い空気分子と接しないといけなくなる=エネルギー状態が高くなるので、出来るかぎり表面積を減らそうとするんですね。

このときに、表面積を減らすために働く力を「表面張力」といい、この力により表面部分のエネルギー状態を低く保つことができるのです。

正の吸着とは?

では次に、水に何か溶かしたときのことを考えていきましょう。

一つ目は界面活性剤です。この特徴は、親水基と疎水基があることでしたね。

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つまり、疎水基を空気側に向けて、親水基を水側に向けることで表面に集まってくる性質があります。

ここで新しい言葉、「吸着」が登場してきます。簡単にいうと、液体や気体中に溶け込んでいる物質が、別の液体や固体の表面にくっつく現象のことです。

界面活性剤のように、溶かした溶質が表面に集まる場合を「正の吸着」っていいます。

そして、正の吸着が起きるとラッキーなひとがいます。そう「水分子」です。

嫌いな空気分子と接しなくてよくなったわけですから、心中穏やかになって、エネルギー状態も低くなったはずです。

つまり、表面張力の原動力となっていた表面のエネルギー状態は低くなったために、表面張力は低下するわけです。

界面活性剤の他に、アルコールや高級脂肪酸も同じように正の吸着をして、表面張力を下げる効果があります。

画像:http://www.live-science.com/

負の吸着とは?

これがすごくイメージしづらかったんですよね。

でも、言葉そのものの意味は単純で、「溶かしたものが表面にでてこない」ことを「負の吸着」っていいます。

つまり、界面活性剤とは逆に表面には一切顔を出さずに、水中でのんびり溶けている状態のことです。

具体的には、水にNaClやMgCl2などの無機塩やショ糖を溶かすと「負の吸着」が起きます。

そもそも、これらが水に溶けることがどういうことかといえば、自分たち同士でくっついているよりも、水分子とくっついたほうが安定だということです。

それが、溶けるという根本的な意味です。でなければ、水に入れても、自分たち同士でくっついたまま溶けないわけなので。

つまり「溶ける」ということは、溶質と溶媒の相性がすごくいいってことを表わしているわけです。

では、どういう状態でそれらが溶けてるか?というと、溶質分子を水分子が取り囲むかたち(溶媒和)で溶けています。

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相性がいいですから、当然ですが溶媒和が起こると「安定になる」=エネルギー状態が低くなります。

この状態こそが溶質分子と水分子、両者にとって心穏やかなわけです。

一方、表面部分では?というと、水中ではそんな平穏な状態になっているのに、嫌いな空気分子と接していて不安定な状態なのです。

一刻も早く、表面から離れて溶媒和を作りたい状態=エネルギー状態が高くなっているのです。

表面張力の原動力は、表面部分のエネルギーでしたから、このとき表面張力は高くなるわけですね!

まとめ

表面張力とは、液体ができるだけ安定な状態になるため、その表面積を減らすことで生じる力のことである。

液体に何らかの物質を溶かすと「吸着」が起こる。

界面活性剤などを水に溶かすと、液体表面に界面活性剤が集まることで、表面張力を下げる効果をもつ。これを「正の吸着」という。

一方、無機塩などは水に溶かすと、表面ではなく水中で水分子と結合して溶媒和が起きる。これを「負の吸着」という。

負の吸着が起こると、表面部分でのエネルギー状態は高くなるために、表面張力は高くなる。

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