風邪にホクナリンテープは使用すべきなのか?

hokunarin

いただいたメッセージ↓

乳幼児の風邪の処方についてご意見聞かせてください。

症状は鼻水と痰がからんだ咳。
処方薬がムコダイン、ムコソルバン、ザイザル、ホクナリンテープ。
こういうケースをよく見かけます。

風邪の鼻水にザイザルの処方は、効果があるのでしょうか?
喘息もなく、夜も眠れないわけではないのにホクナリンテープの処方は適切なのでしょうか?

ホクナリンテープの風邪への処方については、インターネット上で、やめるべきだという意見がみられたので、やはり自分の感覚は合ってたのかなと思っていますが、どう思われますか?

私の考え

風邪の鼻水にザイザルは効果があるのか?

基本的なことだけれど、意外に難しい質問だと思います。

話が長くなるので、はじめに私の結論をお伝えしますね。

「風邪の鼻水に抗ヒスタミン薬を使うかは、程度の問題で決めたらいかがでしょう?ヒスタミンが絡むアレルギー反応は一部あるようなので、一定の効果は期待できるでしょう。でも、本当に鼻水を止める必要があるのか?なぜ止めなくてはならないのか?をもう一度考えてみてください。」

結論は、以上。

花粉症による鼻水といれば、マスト細胞からでるヒスタミンが・・・というように、いわゆる「アレルギー」の一反応として「鼻水」がでますよね。

一方で、風邪における鼻水というのは、同じようにヒスタミンによる誘発されるものなのかどうか、というのが怪しいですよね。

軽く調べてみたのですが、風邪のときにはアレルギー反応が起こっている、というような記述みつけましたが、それ以外のはっきりとした機序は探せませんでした。

(誰かみつけたら教えてください)

何らかのアレルギー反応を起こしているならば、鼻水の量を減らすという目的で「抗ヒスタミン剤」を使えば、一定の効果はでるだろうと思います。

でも、そもそも「風邪薬」って何のために飲むんですか?というところを、ぜひ考えてもらいたくて。

効果がある、もしくは、効果がないというのは、結局のところ何を目的にするかで変わってしまうと思います。

単純に鼻水を止めたいのであれば、西洋医学でいえば抗ヒスしかないわけで、医師もそれを処方するしかないわけです。

ただ、あえて止めないという選択肢だってあります。

私個人的には、鼻水でまったく仕事にならないというのであれば、薬を飲んで無理をする、というのも現実的には仕方がないと思います。

しかし、仕事を一旦お休みできるのならば、病院に行っても治してもらえないわけですから、ゆっくりお休みになってはいかがでしょう?と思うのです。

もし積極的な治療をしたいというご希望があれば、東洋医学や民間療法なら、いくらでも選択肢を増やせますしね。

小児の風邪にホクナリンテープは使うべきか?

これも、議論の対象としてはザイザルと同じ次元の話のような気がしますね。

「ホクナリンテープ 風邪」で検査すると、詳しい関連記事がみられますから、各自目を通してみてください。

こちらも結論からいうと、

「よい医師が処方するホクナリンテープは、よい効果を発揮する」

要するに使い方の問題だと思います。

咳している=気管支の狭窄が原因というわけではないですから。

単に熱があって、咳をしているから、いつものホクナリ~ン♪

こんな軽いノリで使っているかもしれません。

本来であれば、

・中枢性の鎮咳薬(メジコンやアスベリン)との使い分けはどうするのか?
・経過の正確な見立てはできているか?
・気管支の狭窄があるのならば、治療が必要なものなのか?
・なぜホクナリンテープでなければいけないのか?
・そもそも放置してはいけない咳なのか?

少なくともこういった点について、診療の際に一度でも頭をよぎったか。

これが重要ではないでしょうか。

こういった大切な「思考」を一人一人の患者に対して行っている医師は、残念ながらほぼ皆無だと思います。

ほとんどの医師は、いわゆる自分の「風邪の処方」をもっていて、肺炎など特別な合併症のないケースでは、オートマチックにその処方を出しているのが現状です。

ちなみに、その風邪セットのなかに「抗生剤」が含まれている医師には、近づかないほうが身のためだと思います。

咳は異物を排泄するための「症状」ですから、それ自体が悪いものではありません。

風邪をひいたら、咳込むのはむしろ当たり前であって、咳がでないほうが危険という見方もできます。

こういう思考を手に入れた上で、自分のこどもの状態をみて「どうしてあげたいか」という極めて主観的な問題になるわけです、

医療の仕事は、的確な診断と選択肢を与えることだと思っています。

もし合併のない、身体反応としての咳であるならば、

「これは薬が必要でない咳だと考えます。ただ症状が日常生活に影響するようなら、現在の状態からみて最も効果的と考えられる薬を処方しておきます。ただし、効果が感じられない場合は中止し、自然な回復がない場合には再度受診してください。」

これが正しい医療だと思います。

こどもは自分で医師を選ぶことはできません。

親御さんが自ら学ばれて、信頼のおける先生をみつけてほしいですね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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コメント

  1. BABY より:

    丁寧なご回答ありがとうございます!
    おっしゃる通り、患者さんとの話の中では、処方医が羅列されたような思考をしているようには感じられません。
    時間の制約もあるのでしょうが。。

    “医療の仕事は的確な診断と選択肢を与えること”
    薬剤師としては、医師の処方を否定しきらずに、薬を適切に使ってもらえるよう説明したいと思っていますが、やはり診断のところが推測になってしまうので、もやもやしながら悪戦苦闘しています。

    ザイザルで鼻水をとめる意義としては、鼻水が喉に落ちて咳が出ているという場合は有効なのかなと想像していました。
    ホクナリンテープが効く咳がだとして、例えば風邪は治ったけど気道?が過敏になってしまって続いている咳で、咳が続くことで肋骨に影響がでてくることがあるなら、とめる意義はあるのかなと想像していました。
    どちらも想像なので、やはり診断についての知識も必要なのかなと感じています。

    • しゅがあ より:

      >BABY
      時間の制約>
      これも無視できない大事な問題ですよね。
      これまでの医療制度の流れから仕方のないことはあったとは思います。
      なので、誰を責めるとかではなくて、なるべくしてなったという側面もあると思います。

      >薬剤師としては、医師の処方を否定しきらずに、薬を適切に使ってもらえるよう説明したいと思っていますが、やはり診断のところが推測になってしまうので、もやもやしながら悪戦苦闘しています。

      ここについて私は以前から変だなぁと思っていて。なんで推測しなくちゃならないだろうって不思議でしかたがないんです。推測って危険ですよね?
      薬局で処方監査とか患者指導をするのなら、すくなくとも医師の思考や診断が明記されるというのが前提なのでは?と思うのです。(院内ではごくごく普通のこと)

      ザイザルとホクナリンテープに関しては、おっしゃるような効果を期待していることもあると思います。
      ただ、本当に必要かというところはやっぱり吟味が必要かなとは思うんです。
      薬を誰かに使う、という行為に対してもっと心理的障壁をもつべきではないか、と個人的には考えています。

      • 匿名 より:

        >院内ではごくごく普通のこと
        やはりそうなんですね。病院勤務は経験したことがないので、いずれ経験してみたいと思っています。院内処方の方が納得して監査、投薬できそうだなと感じます。

  2. BABY より:

    ↑BABYですm(_ _)m

    • しゅがあ より:

      >BABYさん
      気になる患者さんがいれば、カルテを見ることができますからね。
      当然、必要であれば各種検査値も確認できますし。

      もうすでに始まっていますけど、病院と薬局もオンラインでつないで互いに情報共有できるような時代に入っていきそうですね。

      そうなればいよいよ薬局も新しい時代に入るかなって思います!

      • BABY より:

        既にオンラインでつながっているところもあるんですね!
        知らなかったです。
        カルテを見れたり検査値の確認ができると、スキルアップにもつながるし、やりがいも増えそうですね!

        • しゅがあ より:

          そうですね^^

          やりがいという点も薬剤師のスキルアップの上ですごく大切ですが、何より重要な点は、患者さんの利益のために最低限の環境整備ではないかと思うのです。

          病院で得られた情報(検査値や診断情報)を薬局薬剤師が得られるのはもちろん、薬局で得た情報(併用薬、日常生活の状況、サプリメント、服薬状況など)も病院サイドも利用できるようになると思うんです。

          でないと、院外薬局の意味ってほんとうにないし、そういうことをやりたいから医薬分業にしたのではないの?って思うのです。

          せっかく技術面が整ってきたのだから、あとは政策としてどんどん進めてもらいたいですね。

          必ず結果がついてくると信じています。