きっと多くの方が経験したことがあるはずです。医学用語では「吃逆(きつぎゃく)」と呼ばれます。
巷では、いろいろな原因や治し方が噂されますが、今日はちょっと科学的に説明していきたいと思います。
通常、しゃっくりはだいたい数分から1時間程度で止むことが多いといわれています。しかし。。アメリカにはなんと「68年間」もしゃっくりを続けた男性がいるそうです。
チャールズ・オズボーン(Charles Osborne、1894年4月2日 – 1991年5月1日)は、アメリカ合衆国アイオワ州出身の人物である。オズボーンは、1922年から1990年まで、約68年間ひっきりなしに「しゃっくり」し続けたことで名高い人物であった。(wikipedia)
このことからも「しゃっくり」そのものが、直接害を与えることはありません。ただ体力的にはつらいですし、やっぱり気になりますよね。
では、しゃっくりはなぜ起きるのでしょう?そのしくみを順にみていきましょう!
目次
しゃっくりはなぜ起こる!?
結論から言うと、横隔膜・吸気肋間筋・声門の「痙攣(けいれん)」だと考えられています。「けいれん」というのは、筋肉が激しく収縮することを指します。
「横隔膜」は肺の下側にある筋肉の膜で、これが上下に動くことで、肺がふくらんだり、縮んだりするわけです。
「吸気肋間筋」は、息を吸うときに肋骨を引き上げて、肺がおさまっている空間を広げるための筋肉です。
息を吸うときには鳩のように胸が膨らみますよね。これが吸気肋間筋の役割というわけです。
「声門」は肺から通ってきた空気が通る隙間で、そこを通った空気が振動して音を発生させます。
しゃっくりが起きるときには、脳から横隔膜と吸気肋間筋に対して、筋肉をちぢませる信号が”急に”発信されます。
すると、「横隔膜が一気に下がる」+「肋骨が引き上げられる」ために、肺内に急激に空気が吸い込まれます。
それとほぼ同時に、声門の筋肉にも脳から信号が届き、声門が突然閉まってしまいます。
つまり、息が入ってくるのに急に入口が閉まった状態になってしまうので、あの「ひっく!」という音がでてしまうというわけです。
そもそも「信号」はどこからでるの?
しゃっくりの信号を発信するのは、脳の「延髄」という部分です。延髄は呼吸の運動を制御しているところです。
内臓や皮膚などへの刺激が延髄に伝わると、反射的にしゃっくりの信号が発生すると考えられています。
例えば、早食いや炭酸飲料を飲むなどして急激に胃が膨らんだり、冷たいものによる胃の急激な温度変化を起こしたりするとしゃっくりが起こります。
その理由として、胃腸には脳に直接つながる神経(迷走神経)が非常に多く通っていることが挙げられます。だから、胃への刺激はしゃっくりを誘発しやすいのですね。
手術中に、腹腔内を水で洗浄するなどして胃に直接刺激が加わると高頻度でしゃっくりが起こることからも、この説明は納得がいきます。
胎児もしゃっくりをしている!?
では、そもそも「しゃくり」は何のために起こるのでしょうか?
例えば、「咳」は同じ延髄から指令でおこるで起こります。咳は急激に空気を吐き出して、気道にある異物を排出するための現象です。
一方で、しゃっくりについてはその意義について不明な点が多いのです。
実は胎児も母親のお腹の中でしゃっくりをすることが知られています!
胎児にとって、しゃっくりは、のどや鼻につまった異物を取り除くためという説がありますが、はっきりとは分かっていないのが現状のようです。
二酸化炭素がけいれんをおさえる?
世の中には、様々なしゃっくりの止め方が存在します。
・息を止める
・コップの反対側から水を飲む
・びっくりさせる
これらの多くに共通するのは、一時的に「血中の二酸化炭素濃度をあげる」ということです。
血中の二酸化炭素が上がると、脳の神経の興奮が抑制されてしゃっくりを引き起こす信号が送られにくくなります。
息を止めたり、飲みにくい方法で水を飲んだりすると、呼吸の回数が少なくなり、結果的に血中の二酸化炭素が上昇するというわけです。
そのほかには、「のどの奥を綿棒で刺激する」「冷たい水を飲む」といった方法も知られています。
これらの方法は、「しゃっくりを引き起こす刺激」と似た刺激を与え、脳を刺激になれさせることでしゃっくりを抑えられると言われています。
というように、身近なこともちょっと科学的に考えてみると、意外に根拠があったりしておもしろいですよね!
しゃっくりの注意点は?
最後に、しゃっくりの「注意点」です。
はじめに書いたように、しゃっくり自体は健康な人でも起こり、身体の異常を心配する必要はありません。
ただ「2日以上」続くようであれば、病気が背景に隠れている可能性があるといわれています。
逆流性食道炎などの胃腸の病気では、しゃっくりを誘発する神経が継続的に刺激されることがあります。また、腫瘍(がん)などでも、持続性のしゃっくりの原因になることが知られています。
長時間しゃっくりが続くことで、体力の消耗や不眠になったりすることもあります。ひどいときは神経の興奮をおさえる薬を使用するケースもあります。
以上、ちょっと趣向を変えて身近な話題である「しゃっくり」について説明してみました。皆さまの参考になれば幸いです!
参考:Newton 11.2013
コメント
わかりやすくて、ためになりました。すごいですね!
ありがとうございます!励みになります^^
とってもわかりやすい
ありがとうございます!
なるほど!今までの謎が解けました!
ありがとうございました!(^^)
こちらこそ、コメントをいただきありがとうございました^^
今、止まりません。まあ、癖になっているようで、あきらめてはいます。病院にも行っていますので、薬は飲んでいますが、数日かかります。たしかに、疲れます。
今後も、研究をお願いいたします。
コメントありがとうございます。
しゃっくりは病気としての認識はなく、残念ながら特効薬が開発されるのは難しいことかと思います。
しかし、その詳細なメカニズムが解明されることで何らかの治療法が確立されることが期待されます。
とてもわかり易く、理解しやすかったです!
ちょんこ さんへ
ありがとうございます!
少しでも参考になれば嬉しいです^^
とてもわかりやすいですね!参考になりました。ありがとうございましたこれからも研究がんばってくださいね(*~*)/
そうですね~!
>kikiさん、ままちゃん さんへ
コメントをいただきありがとうございます!
微力ながらがんばっていきたいと思います(^o^)