「漢方薬」と「西洋薬」の飲み合わせは?

漢方×西洋薬

漢方薬と西洋薬を一緒に使うことはよくあることです。
では、この併用は問題ないのでしょうか?

漢方薬と西洋薬の併用では、
「使用禁忌」:一緒に使用してはいけない。
「使用注意」:好ましくはないが、必要に応じて一緒に使用する。
ニュアンスとしてはこの2種類があります。

漢方薬で上の「使用禁忌」と記載されているのは実は、「小柴胡湯」と「インターフェロン製剤」のみです。
詳細な発症のメカニズムは明らかにされていませんが、間質性肺炎といって、非常に予後の悪い肺炎を引き起して死亡例がでたことから使用禁忌になっています。

「併用注意」の記載があるのは、「麻黄」「甘草」という生薬を含む漢方薬です。
「麻黄」を含む漢方薬は、カテコールアミン製剤(ドパミン、アドレナリンなど)やキサンチン製剤(テオフィリンなど)との併用に注意が必要です。
「甘草」を含む漢方薬は、利尿剤やグリチルリチン酸含有製剤との併用に注意が必要です。

しかし、これらはあくまで単なる薬理効果や成分の重複に由来するもののため、西洋薬との併用に関しては、さらに理論的な考察も必要になります。

例えば、術後イレウスや腹部膨満感などによく用いられる「大建中湯(ダイケンチュウトウ)」には、人参、山椒、乾姜などの生薬の他に粉末飴が含まれています。

この「粉末飴」はうるち米や小麦などに麦芽を加えて糖化させたもので、主成分はマルトースやデキストリンなどの二糖類です。
一方、ボグリボースなどのαーグリコシダーゼ阻害薬は、でんぷんを分解する酵素を阻害して食後の血糖の上昇を抑える作用があります。
しかし、この未消化の糖が小腸や大腸などに到達すると、腸内での分解・発酵が進み放屁や腹部膨満感などの副作用がでることがあります。

ここで、これらを併用すると、大建中湯に含まれる糖質が原因になりαーグリコシダーゼ阻害薬の副作用を強くしてしまう恐れがあります。
こういった併用による不都合も考えられるのです。

また、漢方薬にはカルシウムを含有する生薬(牡蠣(ボレイ)、竜骨(リュウコツ)、石膏(セッコウ)など)も多いので、カルシウムとキレートを形成する抗菌剤(ニューキノロン系抗菌薬など)と一緒に服用すると、抗菌薬の効果が低下してしまう可能性があります。
特にエキス製剤ではなく、凍結乾燥製剤には多くのカルシウムが含まれるので注意が必要です。

このように、漢方薬はひとつの生薬や成分だけでなく、数種類の生薬から成るものがほとんどなので、併用による影響を考えるときは、それぞれの生薬に分けて考えると分かりやすくなることがあります。

少しでも参考にしていただければ幸いです^^

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