胎児に影響しやすい薬の特徴

胎児×の特徴

胎児への薬の影響を考える場合、
基本的には母体(母親の身体)と胎児は別のものとして考えます。

妊婦さんが薬を飲んだ場合、
すぐに胎児に届くわけではありません。

母体と胎児をつなぐ「胎盤」
通過しないと胎児に薬は届きません。

この記事では胎児に影響しやすい
薬の特徴について説明したいと思います。
※ちょっと専門的な内容になってしまいますが興味があればどうぞ!

飲んだ薬は十二指腸や小腸などの消化管
から吸収されて、いったん母体の血中に取り込まれます。
そして、血流に入った後、胎盤を通過して胎児に影響を与えます。

母体に投与された薬は、
基本的には濃度勾配(濃いところから薄いところに薬が移動すること)
にしたがって拡散して胎盤を通過していきます。

また当然のことではありますが、
どんな薬であっても母体血中の濃度が上昇すれば、
胎盤を通過し、胎児に対する影響が大きくなります。
いっぱい飲めば、それだけ胎児への影響も大きくなるということですね。

では、胎盤を通過する物質(薬)には
どのような特徴があるかをまとめていきます。

・分子量の大小
分子量とは、「薬の分子」の大きさのことです。
決して錠剤やカプセルの大きさのことではありません。
分子量が300~600以下は胎盤を容易に通過し、1,000以上は通過しにくいと言われています。

・脂溶性
一般的に脂溶性が高いもの(油っぽいのもの)が通過しやすくなります。
生体膜(胎盤の膜など)は小孔を持った脂肪層からなるため、非常に小さい分子量の分子は脂溶性でなくても通過することができますが、分子量が600以上の薬は、脂溶性の程度によって通過量が決定されます。

・イオン化の程度
脂溶性の高い分子型が胎盤を通過しやすいので、
イオン化しない非解離性の物質ほど胎盤を通過しやすいです。

イオン化する解離性物質は母児間の血液 のpH 差
によって通過しやすさが決定します。

それぞれの薬物には pKa という固有の性質をもっています。
pKa は、薬物のイオン型(水溶性の形)と分子型(脂溶性の形)の割合が等しくなる pH を表します。

母体血の pH は約 7.4 とされており、
弱塩基性薬物であれば pKa が 7.4 より小さい薬物は
母体血(pH7.4)において、胎盤に移行しやすい分子型の比率が高くなります。

弱酸性薬物はその反対で、
pKa が 7.4 より大きい薬物は、
母体血において胎盤に移行しやすい分子型の比率が高くなります。

・タンパク結合率
血液中には血漿タンパク質が多数存在していて、
多くの薬剤はこのタンパクに結合します。
この結合率(結合している薬の割合)が高いほど、
タンパクにくっついているために胎盤は通過しにくくなります。

・トランスポーター
胎盤には「P糖タンパク」といって、
薬が胎盤を通過しないように邪魔するタンパク質があります。
特にP糖タンパクは脂溶性物質の輸送を抑制しています。

・胎盤の状態
妊娠が進行すると、
胎児血液と母体血液の境界の表面積が増し、
薬物が通過しやすくなります。

また、妊娠高血圧症候群や糖尿病の妊婦では、
胎盤の機能低下が起こり、通過しやすくなります。

どうしても、基礎知識がないと理解しにくい内容になってしまいました。
一つ一つ説明すると膨大な量になってしまうので(汗

ひとくちに「薬」といってもそれぞれ全く違う特徴があるので、
同じように胎児に影響するとは限らない!ってことを知っていただけると幸いです。

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