こんにちは、第11回です。
今回のテーマは、
「睡眠薬の副作用」です。
トリアゾラム(ハルシオン)を
服用した高齢の患者さん。
「なんか口が渇くんだよね」
と訴えたら疑ってみてもいいかもしれません。
さらに尿がでなくなる症状
「尿閉」も生じることもあるので
注意が必要です。
では早速本題に入ります。
◆ベンゾジアゼピン系薬剤(BZ系)には抗コリン作用がある。
第1世代の抗ヒスタミン薬と同様、
BZ系には抗コリン作用があります。
「抗コリン作用」といったら、
副交感神経を抑える効果
ですから、それに伴った症状が起こります。
たとえば、口渇の他にも
・便秘
・尿閉(排尿困難)
・心悸亢進(頻脈)
・視力障害(眼圧上昇、散瞳、かすみ目)
などが挙げられます。
BZ系の抗コリン作用の影響は
まだ不明な点も多く、
その本来の”薬理作用”による機序も考えられています。
BZ系の薬理作用は、
抑制性神経のGABA伝達系を
増強することにあります。
ラットの実験において、
BZ系を適量に投与した場合、
飲水量が増加しました。
一方、それ以上の量を投与した
場合は、逆に飲水行動が障害されました。
このことから、BZ系の口渇は
単純な抗コリン作用だけでなく、
GABA伝達系の関与も考えられています。
◆高齢者では口渇が起こりやすい!
まず加齢による唾液分泌障害
があることに加え、併用薬が原因と
なる唾液分泌障害のリスクが高いです。
また、高齢者ではBZ系に対する
感受性が上昇しているため、
低用量で用いたほうが安全かつ有効とされています。
(メルクマニュアル18版)
ちなみにハルシオンの添付文書には、
「高齢者では少量から投与開始し、
1回0.125mg~0.25mgまで」とされています。
抗コリン作用による
これらの副作用は一過性のもので、
血中濃度が下がれば改善します。
ただし、副作用と知らないで、
その症状に対してさらに薬を
追加してしまっては元も子もありません。
睡眠薬といったら、
前向性健忘やせん妄など
中枢性副作用が有名かもしれません。
今回はちょっとマイナーな部分
かもしれませんが簡単にご紹介しました。