薬物動態学×AUC
今回のお話は、
添付文書のなどでよく見かける
「AUC(血中薬物濃度時間曲線下面積)」についてです。
横軸を投与後の時間t(min)、
縦軸を血中濃度C(mg/L)としてグラフを書いたとき、
オレンジ色の面積のことを「AUC」と言います。
面積ということは横×縦でいいので、
単位はmin・mg/Lです。
このAUCが一体何を表しているのかというと、
どのくらいの濃度で
どのくらいの期間にわたり、
薬が血中を循環したのか?ということです。
例えば、血中濃度がバンっと一気に上がっても、
クリアランス(代謝)が大きければ、
すぐに血中から薬がなくなるので、AUCは小さくなります。
一方、血中濃度の立ち上がりが遅くても、
クリアランスの小さい薬物であれば、
血中に長く居座ることになるので、AUCは大きくなります。
つまり言葉を変えてイメージすると、
体内循環で流れた薬物の全体量を示します。
ここで基本の式を変形していくと、
(復習するなら⇒https://next-pharmacist.net/archives/1184)
-dX/dt = CLtot ・C
-dX = CLtot ・C dt
両辺を t : 0~∞時間まで積分すると、
左辺は、体内から消失した薬物の総量になります。
消失した薬物の総量=CLtot ・∫(0,∞)Cdt
∫(0,∞)Cdtはまさに図の面積部分です。
つまり、静脈内注射であれば
全量が体内循環に入るので、
左辺はDiv(投与量)となり、次のように表せます。
Div = CLtot ・AUC
⇒CLtot = Div / AUC
こちらも単位を確認すると、
L/min = mg / (min・mg/L)
=L/min
となりぴったり合致しています。
患者さんの薬物血中濃度を測って
プロットしたグラフからAUC求めて、
投与量Divとこの式を用いることで、
薬物のクリアランスを計算できます。
この式もよく薬物動態学で使うので、
しっかりと理解しておきましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
お役に立てれば幸いです!
コメント
現在、薬理学勉強中の学生です。
理解不足を補うため、拝見しました。
教えて頂きたいのですが、
ロキソニンの投与方法で60mgを一日3回とあります。何故、1日3回なのかについて聞きたいです。
自分の理解では、薬剤添付文書にのっているロキソニンのAUCをみると、6時間で殆ど血中から排泄されるためと理解しています。しかし、添付文書では数字として記載されておらず、AUCのグラフをみた解釈です。その解釈でよいのでしょうか?
また、T1/2が1.22と記載ありましたので、約1時間半経てば効果が無くなる計算なので、痛みがあれば2~3時間経過したときに内服してはいけないですか??
みい さんへ
ご質問ありがとうございました!
僕なりにちょっと考えてみたので、
よろしければご覧ください^^
⇒https://next-pharmacist.net/archives/2658