ネフローゼ症候群とは?
単一の疾患名ではなく、様々な原因により発現する症候群全体のこと。
腎臓の糸球体の障害が起こり、尿細管から血管への再吸収が間に合わなくなり、多量の蛋白質が尿と一緒に漏れてしまう状態。
診断基準の復習です!
①尿蛋白量が1日3.5g以上
②血中総蛋白が6g/dL、血中アルブミンが3g/mL以下
③血清コレステロール値が250mg/dL以上
④浮腫がある
以上の4つです。このうち①と②が必須の項目です。
早速ですが、
薬剤性のネフローゼ症候群とは?についてです。
原因となる代表的な薬剤は、以下の2種類です。
・抗リウマチ薬(DMARDs)
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
まず、抗リウマチ薬によるネフローゼは
「薬物過敏症」つまり薬剤アレルギーが
主な機序だと考えられています。
発現時期は投与開始後3~6ヵ月が
最も多く1年以内が大半を占めます。
ただし、抗リウマチ薬による腎障害の
発現頻度は用量依存性があると言われています。
一般に過敏症単独によるものであれば、
用量は微量でも発生するため、毒性など
他の原因もあるのではないかと考えられています。
次にNSAIDsについてです。
たくさんの種類がありますが、
・フェノプロフェンCa(フェノプロン)
・インドメタシン(インテバン)
・ナプロキセン(ナイキサン)
・ジクロフェナクNa(ボルタレン)
などが知られています。
また、チオプロニン(肝疾患治療薬)、
ACE阻害薬、インターフェロン製剤、
造影剤などでもネフローゼの報告があります。
このうち、チオプロニンとACE阻害薬の
カプトプリルは、抗リウマチ薬のブシラミン、
ペニシラミンと同様に-SH基を構造中にもっています。
この-SH基が糸球体成分と結合して障害を
起こしている可能性が考えられており、
過敏症以外の機序も疑われています。
このように考えていくと、-SH基をもつ
他の薬剤でも同様にネフローゼを起こす
かもしれないなという視点をもつことができますね。
起こってしまった副作用について、
薬の構造から考えをめぐらすことが
できるのは薬剤師の強みです。
特にアレルギー性の副作用は、
薬の「構造式」が原因で起こることが
ほとんどなので、その視点をもつことで
構造類似薬によるアレルギー再発は回避できるはずです。
最後に、ネフローゼの注意すべき
初期症状をまとめて終わりたいと思います。
・尿の量が少なくなる乏尿
・全身の顕著な浮腫(むくみ)
・胸水や腹水の貯留による呼吸困難
・腹部膨満感
⇒「体がむくんで体重が増えたり、尿の量が減って赤みを帯びたり、尿が泡立つときはすぐに教えてください」
こんな指導が大切になります。
以上、簡単ではありますが
薬剤性によるネフローゼ症候群についてでした。
ではまた!