どんぐり式×薬剤性血液障害
今回は【どんぐり式】で
薬剤性の血液障害について
分類していこうと思います。
前回はどんな副作用でも、
「薬理作用」
「薬物毒性」
「薬物過敏症」
の3つにあてはめられるよね、
という話をしました。
薬剤による血液障害もこの分類
にあてはめて考えることができます。
血液は服薬期間中、常に薬に曝されているため
あらゆる薬が血液障害を起こす可能性があります。
厚労省から報告される重篤な副作用も血液障害が最も多いのです。
今回は血液障害の中で「血球の異常」について説明します。
まず、血液障害によりおこる主な症状は次の3つがあります。
・貧血症状
(赤血球系の造血障害)
・発熱症状
(白血球のうち特に顆粒球系の造血障害)
・出血症状
(血小板の造血障害)
これらの症状が原疾患によるものと
考えにくい場合、薬剤性の血液障害を疑うことになります。
これらの発現機序は、
免疫学的機序=「薬物過敏症」と、
それ以外に大別できます。
薬物過敏症は薬物投与量に関係なく少量でも発現し、
比較的急激に発症します。
また、再投与でも少量で速やかに発現します。
一方、非免疫学的機序による障害は、
薬物毒性や代謝性の機序によります。
症状は比較的穏やかに発現し、少量の再投与では発現しません。
では、具体例を説明していきます。
①貧血に代表される赤血球系の異常
血液中の赤血球数やヘモグロビンの濃度が
減少し、体内の酸素が少なくなった状態です。
ヘモグロビン値でいうと、
男性が13g/dL、女性が12g/dL未満をいいます。
~溶血性貧血~
薬物過敏症によるものが多い。
・ペニシリン系抗菌薬などによるハプテン型
(投与7~10日後に発症し、投与中止後は
数日~2週間で消失する。)
・オメプラゾールなどによる免疫複合型
・ニューキノロン系抗菌薬による自己免疫型
・セファロスポリンなどによる赤血球修飾型
などがあり、それぞれの抗体が赤血球を破壊する。
~巨赤芽球性貧血~
抗がん剤が原因となることが多く、
DNA障害が起こり、赤芽球が大型化する。
機序は薬物毒性に分類される。
~鉄芽球性貧血~
イソニアジドなどの薬理作用によって、
ヘム合成に必要なビタミンB6代謝や
ポルフィリン代謝を阻害することにより可逆的に生じる。
~赤芽球ろう~
医薬品が直接赤血球の造血を抑制し、
赤芽球に対する自己抗体が産生されて
生じるとされるが、機序は明らかでない。
溶血性貧血が報告されている薬剤例
シクロスポリン
グリメピリド
グリベンクラミド
酢酸リュープロレリン
塩酸チクロピジン
ランソプラゾール
ラベプラゾールナトリウム
アゾセミド
ファモチジン
ジクロフェナクナトリウム
ちょっと長くなったので、
続きはVol.2で紹介したいと思います。