「薬剤師は薬を飲まない」~あなたの病気が治らない本当の理由~

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今回は本の紹介です。
「薬剤師は薬を飲まない」という
なんともキャッチーな題名の本です。

現在・そして今後、私自身が進みたい
と感じてる方向性に近いものを
感じたので読んでみました。

なぜ薬剤師なのに薬を否定するのか?
という単純な疑問が当然あるかと思います。

しかし、薬剤師だからこそ
こういう発信をしていくことに
意味があると思っています。

薬について最も詳しいのは「薬剤師」だ!
って胸を張って言いたい所ですが、
現状は難しいところがありますね。

ただ、すべての職種のなかで
最も”薬”について”教育”を受けているのが
薬剤師だと思います。

そういった立場から、
なぜ「薬」を否定するのか?
という視点でみていただければいいかと思います。

内容としては、実際にあった
薬の副作用の事例や筆者自身の体験
(「肩こり」と「頭痛」)を織り交ぜながら
薬の不要性について説明していく流れになっています。

文章の内容自体は、
主張の理由もしっかりといれながら、
一般の方にも分かりやすい内容になっていると思います。

代謝酵素のあたりの説明は
ちょっと科学的な立場からすると、
完全に正確とはいえませんが、
ひとつの考え方としては間違っていないのかなと感じます。

おもしろいなぁと思ったのは、
「自然食をこよなく愛するマダム達」
の話です。

合成調味料や加工品を一切
口にせず、スーパーの惣菜は何が入っているか分からない!
有機野菜万歳!!などと豪語するマダム達。

食事が終わり、
彼女らの前に用意された1杯の水。

おもむろにバックから取り出したのは
バリバリ化学合成された”白いもの”。
そう頭痛薬やコレステロールの薬でした。

何のためらいもなく、
さっとそれらの白い錠剤を
用意された水で飲み下したのです。

私としては、
この話が「現状」をよく表しているな、
と感じたエピソードでした。

なんというか、そうなんですよ。
多くの人に根付いているこの感覚に
対して違和感を感じるのかもしれません。

しかし一方で、最近では薬に対して
ネガティブな印象というか疑問もつ人が
すごく増えてきたな、と感じます。

「薬は魔法ではない」
ということが薄々浸透してきている
かもしれません。

この本の最初の方で、
「よく効く薬の怖さ」という話
がありました。

そこにあった表現に、
「薬は放水しながら走り回る消防車」
というものがありました。

どういうことかというと、
身体のある部分で炎症などを起こした
病巣があったとして、それを「火事をおこした家」と例えます。

本来は、119番に電話をして
消防車(=薬)をその家に呼んで
水をかけてもらい「消火」してもらいますよね。

でも「薬」って、火事を起こした家
のみに放水するのではなく、ず~っと
放水したまま、血流に乗って身体を駆け巡るのです。

これって、
「副作用」をうまく言い表しているなあ
とすごくしっくりきたんですよね。

薬の作用(メリット)と
副作用(デメリット)に目を向けること
の重要性というのを訴えているわけです。

私も薬を扱う者として、
「副作用」というのは常に意識していて
こういうイメージで薬を見ているわけです。
(というか、見ていけるようになりたい^^)

だからこそ、このサイトでは
「副作用学講座」というのを
細々とではありますが続けています。

そういう視点を多くの人に
もってもらいたい、ということですね。
そして、そこを考えるのが薬剤師かなとも思います。

と、ちょっとまとめに入っていきます。
この本を読んでみるのは
視点を変えるという点においてオススメします。

ただ、薬にはいいところも当然あって、
私自身もつらい症状をどうしても抑えたい
ときには、適切な薬を使います。

しかし、その根底にあるのは、
「あくまで一時的に症状を抑えるため」
という認識があります。

そういう視点をもっているか、
もっていないかがすごく重要と思います。

今後、”賢い患者”が増えることで
間違いなく医療は変わります。

そういう時代に対して
どのようなアプローチで貢献していくか、
というのが重要となると思います。

物事を様々な角度から考える、
特に逆の立場から考える、
そういう習慣をもっていきたいですね。

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