薬剤師の国家試験、楽になるってよ。相対評価って何なのさ?

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どうも薬剤師国家試験が簡単になるらしいですね。

今回の改正案のポイントは、

①試験全体の正答率を相対基準にかえる
これまでは正答率65%以上が必要:絶対評価 → 受験者全体のデキをみて相対基準を設定して合格者をきめる。

②必須科目の最低ラインをさげる
科目ごとに50%以上 → 30%以上

③一般科目の最低ラインを撤廃する
 科目ごとに35%以上 → 基準無し

ということらしいです。

これは攻めましたね。

だが、本当にこれでいいのだろうか・・・?

ここ数年、薬学部を卒業しても薬剤師になれない人が続出していて、学生の皆さんはじめ、リクルートの現場もすごく混乱していますよね。

それはひとえに国家試験の合格率がやたら落ちてしまったから、です。

理由は何か?

大きく2つあると思います。

ひとつは、薬学部の新設でいわゆる「ボーダーレス」大学が増えてしまったこと。

もうひとつは、合格基準が上がったこと。

ボーダーレス大学とは

ボーダーレスとは、簡単にいうと学力がなくても入学はできる大学のことをいいます。

もっと現実的な話をすれば、お金さえ用意できれば入学できる大学のこと。

よくアメリカの大学は「入学は簡単だけど、卒業が難しい」といわれることがあります。

僕は実際にどの程度、この言葉が正しいかは知らないけれど、学力のボーダーレス化っていうのはイメージとしてはアメリカっぽくなるっていうことですね。

まあ、これ自体は別に問題ないと思います。

入口を広げれば、多くの人は「チャレンジ」ができると思いますし、勉強する機会が与えられるわけですから。

ただ、ボーダーレスにするってことは、学生のレベルがどうしても揃わなくなりますから、教育はそれだけ難しくなります。

よほど力のある教員をそろえなければ、全体のレベル低下をおこすか、脱落者を多く出すかどちらかになるでしょう。

現状をみてもらえば、このあたりは明白かと。

だが、しかしですよ!

学生のレベルが下がって国家試験の合格率が下がっていたとしたら・・・その現状に試験を簡単にして合格率をもどすっていうのはどうなの?って思うわけですよ。

「デキ」はともかく単純に頭数を増やしたいということなのかもしれないですが、薬剤師の絶対数っておそらく不足していないと思うんです。

田舎で働きたくない薬剤師が多くて、ただ都市圏に偏っているだけですからね。

単純に合格者を増やしたところで、どうにもならん!ということもぜひ考慮にいれてほしい。

相対評価って何なの?

では、逆に国家試験が難しくなっているってことはないのか?

たぶん、それはあります。

今の学生って4年制の人と比べたら、勉強していると思うし(基礎学力は別として)、国家試験対策もガッツリやっているところも多いと思います。

でも、合格率は落ちている。

「足きり」の基準が厳しくなって、それで落ちている人も少なくないですよね。

たしかに、1日目の科目で足きりが確定するっていうのは精神的にツラい(汗

(ただ、今回の国家試験では分厚い下駄が履かされて、サプライズ合格っていう人も多かったみたいですが・・・)

まま、一つの原因ではないとは思いますが、にしても、相対評価にするって違くない?って思うんです。

試験問題にするんだったら、「これは理解していないと資格を与えられない」という問題にすべきです。

そもそも、できてもできなくてもいい問題を出すなよと。「ま、皆ができないから、これは評価にはいれないでいいや」って、それでいいんかい?って。

だったら、薬学部を卒業したら、皆にもれなく免許与えればいいんじゃないですか?

いまは実習もやってきているわけだし。

試験する意味っていうのは、「資格の質」を保つためであって、合格率を一定水準に保つことではないですよね。

そういう原点というか、本質を見失わないようにしてほしいですね。

もし、調剤業務をする頭数を増やしたいだけなら「調剤助手」を正式に認めて、調剤の実務試験をやればいいだけですよね。OSCEみたいなやつを。

さらに、薬学的なフィールドで戦える人を増やすっていうだったら、今のSBOsなんて全く役に立たない(というか的外れ)だし、そもそも専門研究の教授が講義してたら、教えられないです。

となると・・・

これは薬学だけじゃなく、中高の学校教員についてもそうなんだけど、「オンライン受講」という形式が最もよいのではないか?

imadesho

だって、学校で国語の授業受けるんだったら林先生の授業を受けた方が絶対楽しい&役立つし、他の授業だって予備校のトップ教師に教えてもらったほうが絶対身につくはずです。

薬学部だって、全国の最前線で働く先生方にビデオ撮影してもらって、講義でそれをきいて、みんなでディスカッションでもしたほうがいいではなかろうか?

今は、各製薬会社でもセミナーとかいろいろやっているし、方法論はいくらだってある。

そういう教育に切り替わらない限り、このどうしようもない「感じ」は打破できないでしょう。

ものすごく頭のいい官僚の方々、もっと根本的な改革を期待してます!

P.S.

学生の方々には今回の改定案は、うれしいニュースかと思います!

それは素直によろこんでもいいかと。

国家試験の時点で足踏みしてもしょうがないですからね!

でも、どんどん薬剤師免許に価値がなくなるんだ、ということも忘れずに学生のうちにしっかりと自分を磨いていくことが大切になりますよ!

たぶん、このブログをここまで読んでくれる方は心配ないと思いますが。

それでは、また!

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