イリノテカンの下痢は下剤で防ぐ!?

◆イリノテカンとは?

商品名:カンプト、トポテシンなど

植物アルカロイドのカンプトテシンから
合成された抗がん剤で、
DNA合成に関わるトポイソメラーゼⅠ阻害薬です。

胃癌、肺癌、子宮頸癌、卵巣癌、
結腸・直腸癌、乳癌など適応が広い抗癌剤
のひとつです。

◆イリノテカンの副作用は?

用量規制因子(治療継続において最も
患者に影響を及ぼす副作用のこと)
は、「白血球減少」「下痢」です。

今回は「下痢」についてのお話です。
下痢は約40%という高頻度で認められています。

イリノテカンの下痢には2種類あって、
「早期型」と「遅発型」があります。

◆早期型の下痢とは?

投与中もしくは投与直後に発現する下痢。
イリノテカンのカルバミル基に由来する
コリン作動性の下痢と考えられています。

このことから、副交感神経遮断薬が用いられます。
多くは一過性によるものです。

◆遅発型の下痢とは?

投与後24時間以降から数日後に発現する下痢。
イリノテカンの活性代謝物SN-38が腸管粘膜を
傷害することで生じると考えられています。

SN-38の構造はpHに応じて可逆的に変化し、
腸管内が酸性に傾くとSN-38は非イオン型、
アルカリ性に傾くとイオン型が増えます。

イオン型は非イオン型に比べ、
腸管で再吸収されにくく、
細胞障害性も低くなります。

つまり。。。
イオン型にすれば、毒性は軽減できる!
ということです。

◆イリノテカンの腸管循環とは?

もうひとつイリノテカンの作用を考える
のに重要なものとして「腸管循環」
あります。

イリノテカンは肝臓においてカルボキシ
エステラーゼによりSN-38に変換されます。

SN-38
↓UGT1A1(グルクロン酸転移酵素)
SN-38G(グルクロン酸抱合体)

胆汁を介して腸管に排泄

SN-38G
↓腸内細菌(β-グルクロニダーゼ)
SN-38

再吸収

このようにして、腸管と肝臓を
ぐるぐる循環して腸管を傷害するわけです。

◆下痢を防ぐ薬とは?

まずウルソデオキシコール酸(ウルソ)と
炭酸水素ナトリウムが使われます。

それぞれ胆汁と腸管腔内をアルカリ性に
する作用をもち、SN-38をイオン型にして
低毒性に変えます。

また、酸化マグネシウム(マグミット他)は、
アルカリ性にする作用+SN-38を含む便の排泄
を促すために使用します。

つまり、イリノテカンを低毒性に変え、
さらに、便にして素早く腸管から出すために
「下剤」を使うということです。

マメ知識として漢方の半夏瀉心湯は
SN-38Gの脱抱合を抑制する効果が
あるため使用されることもあります。

◆イリノテカンと併用しない方がいいのは?

A1.整腸剤(ビオフェルミンなど)

なぜ?

ビオフェルミンなど生菌整腸剤は、
乳酸や酢酸の産生を促進し、
腸内のpHを低下させる作用があります。

pHが下がると非イオン型が増えるため、
腸管への傷害は強くなってしまうのです。

したがって、イリノテカンの投与期間は、
生菌整腸剤や乳酸菌食品は避けることが
望ましいとされます。

A2.グレープフルーツジュース(GFJ)

なぜ?
イリノテカンの一部はCYP3A4により
毒性をもたない別の代謝物に変換される
と言われています。

GFJはCYP3A4の阻害作用をもつ
ので飲用は避けるべきとされています、

以上、イリノテカンによる下痢の
簡単なメカニズムとそこに由来する
予防法を紹介しました。

予防法のまとめとして、
非イオン型のSN-38が腸管内に留まる時間を
いかに短くできるか?ということが重要だということです。

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