なぜカフェイン(コーヒー)で頭痛が治るのか?

coffee

よくコーヒなどに含まれるカフェインを摂ると頭痛が治ったなんて話を耳にしますよね?

でも、なぜそうなるのか?といわれると・・・。

今回は、頭痛(特に片頭痛)とカフェインの関係についてちょっと詳しく調べたので、備忘録がてら記事にしていきたいと思います!

目次

そもそもなんで頭痛が起こるのか?

頭痛にもいろいろな原因がありますが、特に生活に支障がでる代表的な頭痛として「片頭痛」があります。

このやっかいな片頭痛には市販薬が効きにくいといわれることがあります。

その理由を知るには、片頭痛がなぜ起こるかを知る必要があります。

片頭痛とはすごく簡単にいうと、脳の血管が起こす痛みなのです。

ある仮説ではセロトニンが深く関わっているとされています。

その仮説によると、まず何らかの原因によって、脳内のセロトニンが過剰に働くと血管が強く収縮します。そのままなら痛みは起きないのですが、ある瞬間に収縮した血管が急激に拡張してしまうことがあります。

まさにこのときに、あの強烈な痛みが生じるのです。

つまり、片頭痛を抑えるにはこの血管の異常な収縮と拡張を抑えなくてはいけません。

しかし、一般的な頭痛薬(例えばバファリンやロキソニン)に含まれる成分は、NSAIDsといって炎症反応を抑えるものです。

たしかに片頭痛においても、血管周囲の炎症を起こしていることもあり、一定の効果はあります。しかし、直接的な原因である血管拡張に作用する薬でないと痛みは取れないわけです。

そこで登場したのがトリプタン系と呼ばれる一連の治療薬です。

これらは、血管内壁のセロトニン受容体(5-HT1B/1D)に働き、拡張した血管を収縮させることにより片頭痛をやわらげます。

詳しくは、過去の記事(片頭痛の薬について)でも書いたことがあったので参考までに。

カフェインがなぜ頭痛に効くのか?

ここまで説明したように、頭痛の原因のひとつに「血管の拡張」というものがみえてきました。

つまり、コーヒなどに含まれるカフェインがこの部分に作用するから「頭痛にはコーヒーが効く」ということが言われるようになったのです。

カフェインが脳血管に作用して、血管収縮をおこし、頭痛の原因となる血管の拡張を予防していたということですね。

逆に、ずっとコーヒーを飲んでいた人が入院してコーヒーを飲まなくなったという場合に、頭痛が起こってしまうことがあるようです。

これは、それまで定期的なカフェイン摂取によって、バランスがとれていた脳血管がカフェインを切らしてしまったことにより、異常な拡張を起こすようになったしまったというわけですね。

こうしてみてみると、少し納得できるようになりませんか?

簡単な説明でしたが、少しでもスッキリしてくれたのならうれしいです^^

とりあえず、一般の方はここまでで十分かと思います。

ここからはバリバリの専門薬学に突入していきますので、多くの方はスルーしてOKです(笑

いや、ここに来る人はこっちのほうが興味あるのかも(?)ですが(苦笑

カフェインの薬理学

では、カフェインの薬理を考えていくと、いったい体内ではどうなってるの?ということが気になってきますよね?(ほとんどの人はそうでもない^^;!?)

いや、気になるんですよ!

で、カフェインの作用は大きく分けると次の2つが考えられています。

①ホスホジエステラーゼの阻害

②アデノシン受容体の遮断

ホスホジエステラーゼっていうのはcAMPの分解する酵素です。

cAMPがどんな作用があるかというと、たとえば平滑筋の場合には、

プロテインキナーゼAを活性化→ミオシン軽鎖キナーゼのリン酸化(ミオシン軽鎖キナーゼの不活性化)→Ca2+・カルモジュリン・ミオシン軽鎖キナーゼ複合体の生成抑制→アクチンとミオシンの滑り込みができない→平滑筋弛緩

安心してください。結果だけみるとcAMP=血管を弛緩(拡張)です。

で、カフェインはホスホジエステラーゼを阻害するわけですからcAMPが分解されなくなる。つまり、cAMPは増えるから、血管は拡張する!

あれ・・・?話が違うじゃないかと。

血管を拡げるんだったら、カフェインは脳血管を収縮させるという話とは矛盾してしまいます。

でも、一方で「気管支」のことを考えたら、カフェインと同じような成分であるテオフィリンが喘息治療薬として使われています。

テオフィリンは、気管支平滑筋を弛緩=気管支を拡張させて発作を改善するわけですから、こちらでは確かに矛盾はないのです。

では、もうひとつのアデノシン受容体の遮断という作用にヒントがあるかもしれません。

なにやら脳内にはアデノシン受容体っていうのがあるらしいのです。

アデノシンとは

アデノシンは生体のほとんどの細胞が産生するプリン代謝物である。アデノシン3リン酸(ATP)として細胞のエネルギー代謝に関与し、細胞表面の受容体を介して細胞機能の制御・調整する。アデノシンの受容体としてA1、A2A・A2B・A3受容体は知られている。

(脳内のアデノシンA2A受容体(Gsタンパク共役)を遮断するとすれば、cAMPは減る方向に働くので血管を収縮する方向に働くと説明できる。)

このアデノシンによる作用が、脳内では複雑に効いていて「鎮静」の方向に作用するようなのです。

カフェインは、このアデノシンの作用を遮断するように働くので、興奮作用、もっといえば交感神経を高める作用をもっているのだと思います。

現にカフェインの常用で血圧が4〜13mmHg上昇するという報告もあります。

交感神経が高まれば、アドレナリン優位になって脳血管は収縮します。血管が収縮すれば片頭痛の痛みは一時的に和らぐはずです。

cAMPによる血管拡張作用より、交感神経刺激など他の作用による血管収縮作用のほうが強くでているのかもしれません。

またwikiではこんな記載もあります。

カフェインは一時的に頭痛を止める働きがある一方で、常用するとかえって頭痛が起こりやすくなる。これは、カフェインの脳血管収縮作用により頭痛が軽減されるためで、時間の経過とともにこの血管収縮作用が消えると、反動による血管拡張により頭痛が生ずることがある。

これは、カフェイン自体に相反する作用があるということと、耐性化という体の反応からくるものかもしれませんね。

うん。コーヒーの飲みすぎはやはり危険ですね(笑)。

カフェイン類の作用は、教科書にもはっきりとは書かれておらず、その作用はブラックボックスな部分があるようです。

ですので、あくまで仮説にはなりますが、体の各部分におけるシステム(神経支配の違いや受容体の分布など)にはかなり多様性があって、カフェインの様々な作用を演出しているのだ考えられます。

ここの部分は、結局すっきりと結論を出せなかったです。少しでも参考になればと思い、最後に僕の考察を書いておきました。(また何か分かったら追補します)

今回はここまでです。ではまた!

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク