こんにちは、第10回です。
今回は解熱鎮痛薬(NSAIDs)
によるむくみ(浮腫)がテーマです。
非ステロイド性抗炎症薬
(NSAIDs)の一般的な副作用は、
胃部不快感、腹痛、悪心、食欲不振
など消化器の症状が一般的に知られています。
しかし、意外に見過ごられがち
なのが「むくみ・浮腫」です。
1週間前に腰痛で受診され、
ロキソニンが処方された患者さん。
「昨日から顔や首のあたりがむくんでるような。。。」
なんていう方がいたら注意!
っていうことですね。
◆NSAIDsでなぜ浮腫が起こるの?
基本的にはNSAIDsの薬理作用
であるプロスタグランジン(PG)の
生成抑制が関与しています。
プロスタグランジン(PG)は
腎臓においてどのような作用を
しているのでしょうか?
①輸入細動脈の拡張による腎血流量上昇
②レニン分泌促進による血圧上昇
③ナトリウムと水の再吸収抑制
④抗利尿ホルモン(ADH)作用抑制による水の再吸収抑制
。。。といろいろありますが、
結局のところまとめると、
腎機能を高めて、水分を体外に
排出するという機能をもっているわけです。
NSAIDsを使用するということは、
このPGの作用を抑えるということなので、
「腎機能の低下」と「水分貯留」が起こるわけです。
特に高齢者や腎障害患者では、
腎でのPGの作用が腎機能を維持
するために重要な役割を果たしています。
そういった患者では、NSAIDs服用で
血圧上昇や浮腫が起こりやすいので
注意が必要です。
◆どんな症状?どうやって確定診断する?
NSAIDs以外にも
薬剤性浮腫をきたす薬剤は多数あります。
それが疑われる自覚症状
としては次のようなものがあります。
・顔、足、手などのむくみ
・尿量が少なくなる
・ほとんど尿がでない
・一時的に尿量が多くなる
・発疹
・体がだるい(倦怠感)
上記のような症状を自覚する
ときは、腎障害、アレルギーなど
の疑いがあるので受診が必要です。
臨床検査値では、
血清クレアチニン(Cr)値
血清尿素窒素(BUN)の上昇が
みられたときには放置してはいけません。
また確定診断をする場合は、
腎生検、薬剤性アレルギー性の
場合は薬剤リンパ球刺激試験(DLST)を行います。
薬剤性の腎障害がみられた際は、
可能であればすぐに中止または減量
することが大切です。
特にNSAIDsは根本治療でなく、
「対症治療」であることを忘れず、
対応が遅れないようにすべきです。
以上、NSAIDsによるむくみ
から急性の腎障害を疑うという
話をしました。
参考になれば幸いです。では!