先日、ロキソニンと抗生剤が書かれた処方せんを受け取り、
怪我か何かだろうか?
と思いながら投薬に臨みました。
対応したのは患者さんの代理の方で、
「オスラー病って言われてます。」
とお話していただきました。
恥ずかしながらピンとこなかったのですが、
さらに、「今度は足から出血してるみたいです。」と教えてくださいました。
その時は痛みと出血を伴う疾患なんだなと理解し、処方薬の説明をすることにしました。
皆さんは聞いたことはあるでしょうか?
少なくとも薬剤師国家試験の勉強ではでてこなかったかなと。
実際に医療の働くようになると、 高血圧、糖尿病、脂質異常症など一般的な疾患がやはり多いのですが、 こうした難病・希少疾患の患者さんの対応にあたる機会もあります。
普段の勉強ではどうしてもメジャーな疾患に目がいきがちですが、
こうした十万人に一人といった頻度で起こる疾患で苦しんでいる方も一定数いらっしゃいます。
医療人としては、やっぱり疾患の名前を聞いたときに、
分からない。。。
では恥ずかしいので、定期的に勉強しておかないとなと再認識。
せっかくなので、オスラー病について簡単にまとめておきたいと思います。
オスラー病(Osler-Weber-Rendu disease)
遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT‐Hereditary hemorrhagic telangiectasia)とも呼ばれています。
日本の患者数・・・15000人程度
常染色体優勢の遺伝性疾患ということなので、
遺伝する確率は単純には50%ということですね。
原因のひとつとして血管内膜形成に関わっている
activin receptor-like kinase type I (ALK-1)
という遺伝子に変異があることが知られています。
診断基準としては、
1.繰り返す鼻血
2.皮膚や粘膜の毛細血管拡張(口唇、口腔、指、鼻が特徴的で、他に眼球結膜や耳も).
3.肺、脳、肝臓、脊髄、消化管の動静脈奇形
4.一親等以内にこの病気の患者さんがいる。
があり、3つ以上あてはまると確診になる。
特に頻度の多い鼻出血の治療としては次のようなものがあるようです。
<HHTの鼻出血に対する治療>
1) 鼻出血の局所治療
圧迫、スポンジやゲルの止血素材、塞栓術、血管結紮、レーザー焼灼治療、硬化薬の使用、皮膚移植。ただし、これらの効果は不充分であるため内服治療薬の併用が試みられます。
2) エストロゲン/プロゲステロン製剤
有効例の報告がありますが、男性では行いにくく、50歳以上の閉経後の女性に対する使用は意見が分かれています。また、発癌性や心血管疾患の副作用に関する懸念があります。
3) トラネキサム酸(トランサミン)
欧州では頻用されています。血管新生を抑制するという症例報告があります。
4) 鉄欠乏性貧血の治療(鉄剤)
経口投与しにくい場合には、静注薬を用いることもあります。貧血の治療は重要です。
各臓器における動静脈奇形に対しては。。。
経カテーテル塞栓術療法、外科的摘出術、放射線照射などが行なわれる。
消化管出血に対して は、内視鏡的レーザー照射が有効とのこと。
詳しくなくてもこういう情報を少し知っておけば、
服薬指導の際もどういう病気イメージすることができるなと。
こういう難病や希少疾患について対応した事例についても、
みんな共有していけたら勉強になると思うのでよろしくお願いします!
<参考URL>
オスラー病患者会 医師解説
http://www.hht.jpn.com/kaisetsu.html
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/515
金沢大学 血液内科・呼吸器内科HP
http://www.3nai.jp/weblog/entry/42521.html
コメント
昨日は、目の中が痛かったです。
hht.osler@facebook.com
hht.osler@gmail.com
伊藤さんへ
コメントありがとうございます。
体中に痛みを生じる疾患であるということ、ご苦労お察し致します。
一刻も早い根本治療の研究が待たれます。