自殺者×過量服用
厚労省の研究より、
自殺の前1年間に精神科を受診していた人・・・50%(若年者(39歳以下が7割))
そのうち6割もの人が首つりなど致死的手段をとる前に向精神薬の過量服用をしていた。
しかし、一般の方にも周知してきていますが、最近の向精神薬は比較的安全に設計されているため、過量服用で中毒死することは簡単ではないのです。
ただ、過量服用によって酩酊状態になり「脱抑制」と呼ばれる状態になります。
この状態になると、死への恐怖感が薄れて衝動性が高まり致死的行動(飛び降り、飛び込み、首つりなど)を取りやすくなるのです。
結果、医師が治療のために出した薬が「死んでしまいたい」と考えている人の死への後押しをしてしまうというのが問題になっています。
また、薬物依存についても危険があります。
原因薬物の1位は覚せい剤(50%)、2位が睡眠薬・抗不安薬(20%)。
その大半がベンゾジアゼピン(BZ)系です。
特に短時間作用型、高力価のBZ系が依存に繋がりやすいとのこと。
具体例として、
フルニトラゼパム(サイレース、ロヒプノール)
トリアゾラム(ハルシオン)
エチゾラム(デパス)
こういう薬は普段から触る機会が多いです;;
そして効かないから2錠飲んでいい?みたいな質問も多いですね。
基本的には勝手な増量は止めますが、実際は患者さん自身の判断ですからね。
現状は意外に危険な状況なのかもしれません。
うつ病とは?
位置づけは、
米国精神医学会の診断基準(DSM-Ⅳ)の「気分障害」の中の「大うつ病性障害」に当たる。
ちなみに「大」は症状の重さではなく、
major depressive disorderの訳からきてるもの。
強い抑うつ状態かあり、
「何をしても楽しくない」
「食欲がない」
「眠れない」
などが2週間以上にわたって続くもの。
<気分障害の簡単な分類>
・大うつ病性障害
強い抑うつ状態が続く。メランコリー型うつ、非定型うつ、仮面うつなどさまざま。
薬物療法は抗うつ薬が中心となる。
・双極性障害
強い抑うつ状態と気分が高揚する躁状態の2つの傾向あり。抗うつ薬により躁状態に移行してしまう「躁転」のリスクがあるため、気分安定薬が治療の中心となる。
・気分変調症
弱いう抑うつ症状が2年以上続く。抗うつ薬の効果が薄い人が多く、認知行動療法や環境調整が行われる。
・その他の病態
薬剤起因性うつ病など
身体症状のみの「うつ」?
「内科受診患者のうち、少なくとも3割、状況によっては半分以上は、うつや不安が身体症状の原因だと言われる。」
と信愛クリニック(神奈川県鎌倉市)の井出先生はコメントしています。
実際、患者さんを相手にすると確かにそうかもしれないですね。
「検査では特に異常ありませんでした。」
こんな言葉を聞く機会も少なくありません。
いわゆる「器質的」には異常なし!というやつでしょう。
具体的な症状としては、
頭痛、耳鳴り、痺れ、舌痛症、動悸、胸痛、下痢、腹痛など。。。
もちろん原因は発見されることなく、
対症療法で対処するしかないという状況なんですよね。
そんな時井出先生は、的確に診断した上で、抗うつ薬などを処方するそうです。
「抗うつ薬が劇的に効き、身体症状が全くなくなる患者が多い。」とコメントしています。
この時大切なのは、患者自身は、身体症状がうつ状態から生じているものだとは考えていないということです。
井出先生は、直接「抗うつ薬」というワードを持ち出さず、次のように説明しています。
「心のエネルギーレベルや回復力が少し下がってきているようです。
セロトニンという神経伝達物質をお薬で調節してあげると本来のご自分に復元する力が高まるといわれています。うつや不安に効くお薬なのですが、使ってみてよい体調を取り戻しませんか?」
これ、すごく参考になりますね。「分かりやすく」かつ「不安にさせない」言葉選びを心がけたいものです。
ではPart1はこれまでで。Part2では薬について書いていこうと思います。