アトピー性皮膚炎は、英語でatopic dermatitisといって「AD」と略されることがあります。
もともと「アトピー」とは「奇妙な」「不思議な」「とらえどころのない」といったギリシャ語の「アトポス(atopos)」に由来します。
昔はこのような名前がつくほど、原因が分かっておらず、治療が難しい病気だったのかもしれません。
しかし、現代の医学も進歩して適切な治療により、ほとんどの症状はコントロールできるようになったため、このような名前はふさわしくないのかもしれません。
では、なぜ多くの人が今なお「アトピー性皮膚炎」で悩んでいるのでしょうか?
そのひとつ原因に「ステロイドバッシング」があります。
日本でステロイド外用薬が使われるようになったのは1953年のことです。
これ以後、ステロイド外用薬は痒みを伴う皮疹に効果が得られることから、皮膚科以外の医師も汎用するようになりました。
また、ドラッグストアなどでも買える一般用医薬品として発売されると、あろうことか「基礎化粧品のように顔に塗るとスベスベになる」といった何の根拠もない風評まで広がりました。
そのような使い方をした場合、副作用がでるのは当たり前です。
それをメディアが取り上げ、「ニュースステーション」で1週間以上にわたりステロイドバッシングがなされました。
これを観た一般の方は当然、ステロイド=悪魔の薬という印象をもってしまったのです。
そして、それにつけ込んだ医学的根拠のない代替療法を提供して多大な利益を生んだ「アトピービジネス」が横行しました。
その爪痕が今なお残っており、患者やその家族のステロイド外用薬を使った治療への不信感により適切な治療がなされない状況があるのです。
「日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」では、保湿とともにステロイド外用薬はファースト・チョイス(一番優先的に使用する薬)として指定されています。
では、具体的にアトピー性皮膚炎の特徴について説明します。
⇒アトピー性皮膚炎とは?
コメント
早い段階でのステロイド介入療法を行ったおかげで、私は、小学生六年でのアトピー性皮膚炎との縁を切ることができました。小学校の間は、かゆみと掻痒感の戦いでしたが、かゆくなったらステロイドを塗って、腕を冷やしてといった感じで、掻き毟ることだけは避ける方法を自分で編み出せてよかったと思っています。父が医師であったおかげで、早く治すことができましたし、やはり正しい使い方をきちんと理解することが、ステロイドを使用する上では、非常に大事になってきます。よくマスコミによるステロイドバッシングを見るにつけ、曖昧な情報を流すことにより、多くの人が治る疾患を自分で治せなくしてしまうことになるのだということを、早く気づき、改善してほしいと思います。免疫性の疾患は、ステロイドを正しく、適切に使用すれば、副作用を気にする必要もないことを、今後しっかり発信していく必要があると思いました。