いや~ひさしぶりですね。こうして記事を書くの。
ちょっと考えてたら熱くなってきたので、ここでぶちまけようかと笑。
まじめにやっている薬剤師の方々を代弁して、というのは大げさですが、僕なりに「調剤報酬」の行く末について考えてみたので、よかったら読んでみてください。
スキルに頼らず、システム化せよ
今年の四月から「かかりつけ薬剤師」という制度が始まって、「これから薬剤師はどんどん患者さんとからんでいきましょうよ~」みたいな流れになっているんですが、僕はこれ正直どうかと思うんです。
まず、この制度過去の記事(→かかりつけ薬剤師を一般人にも分かりやすく説明するよ!メリットはあるか?)でも説明しましたが、「顔見知りが料金高くなる制度」です。
いつも利用してくれていて、しっかりと話してくれる患者さんの料金が高くなるんです。
まず、これがおかしい。
そもそもかかりつけ登録しなくなって、患者さんが望めばまったく同じサービスを受けられるんだから。
患者さんからみると「指名料」というメリットのみ。
でも、契約しなくなって、一言お願いすれば好きな薬剤師さんに服薬指導してもらえるわけだから、現状ではメリットはやっぱりみつからない。
そもそも、なんでこの制度は始めたかったのか?といえば、コンビニの数ほどある薬局をもっと有効活用したい」という一言に尽きるわけです。
で、あるならば、もっと直接的な方法にすればいい。
これをいうと、バッシングが来そうですが、心の底から思っていることなんで言ってしまいます。
「情報がなくて困るのは一体誰なんですか?」
なぜ、薬剤師があの手この手で患者さんから情報を聞き出さなければいけないのか?
薬はリスクといわれるように、一歩間違えると命を落とすんですよ?
必要のない薬を飲まされ、体に合わない薬を飲まされ困るのは一体誰なんですか?
何も知らない患者さん自身ですよね?
薬剤師→患者ではなく、患者→薬剤師というのが本来の姿のはず。
だって、患者→医師なんだから。
しかし、です。
そうなっている背景には、門前薬局というスタイルであったり、これまでアピールしてこなかった薬剤師の責任もあります。
決定的なのは、国民の薬に対するイメージでしょう。
テレビのCMをみてみましょう。
「バ○ァリンの半分はやさしさで・・・」「何よりも患者さんのために・・・○○製薬」というような「薬=正義」みたいなクリーンなものしか放映されていないですよね。
「間違った薬を使われて、うちの息子は死にました」なんていうCMは絶対に流れません。
なので、普通に生活していると、薬=よいものというイメージが体の芯まで染みついているわけです。
いろいろな力が働いて「薬が危険なものである」ということは一般人には知らされることはありません。
病院でもらう薬は大丈夫。先生が出しているんだから間違いないでしょ?と思い込んでいます。
そんな状態で薬局で真剣に話を聞こうなんて言う人はまぁ少ないわけです。
早く薬を出してくれよ、くらいなわけです。
じゃあ、どうするか?
システム化すればいいじゃん、と思うのです。
患者さんにとって、もっとも分かりやすいメリットは何か?
料金が安くなる
です。
お国は実にシンプルなこの動機に気づいて、「手帳をもってきたら安くなる」という制度をつくったんですよね。
以前は、お薬手帳もってきたらお薬代が高くなる!!といってテレビで散々叩かれたから、学んだのです。
安くなるから手帳をもっていく、という発想自体は本来の目的とは違うわけですが、今は「結果」がなによりも大事なわけですよね。
理由はとりあえずなんでもいい。
手帳を病院と薬局にもっていって、専門家にチェックしてもらう。
重複してたら防止する、アレルギーがあれば回避する、既往歴があれば注意する・・・
それが、ほしい結果です。
はじめのきっかけやプロセスはなんでもいいのです。
そのうちそれが習慣化するわけだから。
だから「手帳もってきた=安くなる」は、まさに逆転の発想でほんとうにすばらしい、と個人的に評価しています。
ではでは、
なぜに
かかりつけは料金上げたの???
っていう話なんですよ。
なんなら、かかりつけ薬剤師がいると手帳をもってきても安くならない・・・!
ほんと、はぁ!?ですよ。
薬局に「患者情報を集めて有効活用する」ことが目的だったわけですよね。
じゃあ、シンプルに情報を提供したら安くなる、でいいじゃないですか?
手帳と同じように。
「アンケートに必要事項を記載し、薬剤師の薬学管理に必要な情報を提供すると、その日の薬代が安くなる」
低レベルといえばそれまでですが、結果にこだわるのならばこうすべきだったのではないかと思うのです。手帳はそうやっちゃったんだから。
情報がないからできないことって本当に多いんです。だから、薬剤師のスキルがどうこうではなく、まずは情報を「必然的」に薬局に集まるようにすればいい。
情報が集まれば、薬剤師はやらざるを得なくなる。当たり前ですが、より適切なつっこんだ服薬管理ができるようになる。
きっかけは多少強引でもシステム化して、環境が「かかりつけ薬局」を育てると僕は思っています。
日本すべてを一律にある方向に誘導できるのは、調剤報酬しかないんです。
どうせ変えるなら、もっと一貫性をもって強気でいってほしいですね。
この話については、このくらいにしておきまして・・・。
何もしないほうが金になる、はやめろ!
いや、ほんとこれもどうにかしてほしいですが、残薬調整したらがっつり点数が下がるのは、ほんとうにやるせないですよ。
もちろん患者さん側にとっては、残薬調整したら料金が安くなる、はいいですよね。
でも薬局は!?
ぐちゃぐちゃになった残薬をまずは整理して、処方日数の変更を計算して、一包化なら一旦バラして、先生に疑義をして・・・。
どんだけ手間かかるだよっ!?つう話です。
調整せずに日数分だしたら、すんなり調剤してがっつり点数稼げるのに、これだけ手間をかけてやっても調剤料・薬剤料はがっつりマイナス。
つくのは、
費やした時間、人件費も考えたらおそろしいマイナスです。
これは、win-winではない。
なんなら、残った薬は捨ててください、なんてことにもなりかねない。
もちろん、残薬確認と整理についてはしっかりやっていますよ。それも大切な役割の一つですから!
でも、ここはほんとなんとかしてくださいよ~というのが切なる希望です。
こういう「頑張ったら損をする状況」って、おそらくこの業界だけではないですが、質を保つという意味では、解消していく意識って大切と思います。
もちろん、不正請求したり悪用する人って絶対にでてくるものですから、安易な方策を立ててもいけないのは分かるのですが。
とにかくですね、細かいことをいえばいろいろとあって、それぞれの業界・環境でもいろいろと不満もあると思いますが、ま、頑張っていきましょうと(笑
環境を恨んだところで、何も変わりませんからね。
でも、こうして自分の考えを誰かに伝えるって大事かなって思ったり。でも怖かったり。
最後は、あえてまとめず、こんな感じで終わりにしようと思います。
読んで感じたことや普段思っていることなど、コメントいただけると嬉しいですね。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!
コメント
ご無沙汰しております。
職場でかかりつけ薬剤師制度を聞いてみたら「え?なにそれ??」という反応が一番多かったです。たとえ100円でも料金が上乗せされるのであればノーサンキューかなぁ、と思ってしまいます。門外薬局でも全国チェーンの薬局でも丁寧に説明してくださるからねぇ。神経質の方は24時間対応でおおいに助かるのでしょうが対応する薬剤師さんはたいへんそう。。。。実際需要は多いのでしょうか?
国は医療費抑制と言っておりますが、高額な新薬を勧める流れはどこそことの癒着が・・・とこの話はやめておきましょう(笑
未来思考 様
ご無沙汰しております。
現場の正直なご感想をありがとうございます(笑
一般的な感覚はまさにその通りだと思います。
今のところ私自身の経験では、患者さまの方から「かかりつけ薬剤師」のご希望いただいたのは数名ですね。(本当にありがたいことです)
あとはこちらからのご紹介で、これからもお願いします、という感じです。
私自身は、これまでと同じサービスで料金も高くなってしまうので、心からはお勧めできないのですが、国の制度として受け入れております。
高額な新薬については「結果論」という側面はあるかと思いますが、一つの薬を発売して、いきなり圏外の企業が上位に食い込むという状況は違和感がありますね。
かかりつけ薬剤師においてのメリットは、正直私本人が思うに、全くメリットはない。
という物だけです。患者さんに対して普段から信頼関係が成り立っていれば、なんかあったら電話してとかでも十分やっていける。なのに、新しくかかりつけ薬剤師制度という、へ。と思う制度の波に追い込まれてしまう、薬剤師さんは大変になると思います。医師以上のしんどさを薬剤師にまで求めるのかと思わずにおれません。患者さんの薬歴から、既往歴から、薬の服用が良好か他…とあげればきりがないと思います。それでも、仕事だからやればいいんだろって思ってしまいます。門前薬局の否定がされてしまった以上在宅に切り替えることが求めらていますが、はっきり言って在宅医療への切り替え率は低率でしかないのですよ。患者やその家族に対して、精神的な厳しさをさらに与えることになりませんよ。なんで、移行率が低いのか、はっきり言えば、家族が患者を家に迎えれる状況ではない、仕事に出ているかしていて大変な状況ですよ。独居で暮らされている方は大丈夫かといえばそうでもない。結局は、療養型病床に頼らざるを得ない状況、医師が死亡時に駆けつけてもらえることができるのが大きいですしね…。
薬局は、薬を運ぶ運び屋さんというイメージを持たれているのが大きいとは思いますが、それを払拭すべきと一生懸命になっている薬剤師さんががんばっているところもあります。でも、薬剤師にメリットになる制度はほとんどないですよね。結局は、薬剤師が泣きをみることになるのではないかと思います。患者ー薬剤師という関係は、本来ならWIN-WINの関係であるべきだと思います。大口を叩きました…すみません。
>猫好き さん
ひと昔前の薬局が儲けていた、というのはその通りだと思います。
ただ現状において、現場の薬剤師は労働環境含め、それほど働きやすい環境とは言えないと思います。(場所にもよるとは思いますが)
それは、言葉を選ばずに言えば「無駄な」仕事が多いからです。
それは本来の仕事の目的とは離れた仕事ということです。
「薬歴」というのは、必要であれば必然と書くものです。それを部外者が調べて、仕事しているとか、していないとかは判断すべきではないと思います。
一部薬局チェーンで薬歴を書いていないことが発覚して問題になりましたが、裏を返せば薬歴を書かかなくても通常業務はできていたわけです。
なら、薬歴は本当に必要なことではない、とも考えられます。
そもそも、やった業務をすべて書面で記録するとなったら、倍以上の時間はかかりますよね。普通の感覚で考えたら異常です。
もし、薬歴に記録していない=仕事もしていなかったとして、問題が起こっていないのであれば、そもそも薬局なんてなくしてしまえばいいじゃないですか?
個人的に薬歴がSOAP形式になっているのにも疑問です。あれは思考パターンの一例であって、記録のテンプレではないはずです。
それをすべての患者に対して行うということ自体が無理がある。
いろいろな話のなかで、薬学的に問題がない、と現場の薬剤師が判断したら「薬学的な問題なし。特変なし。」でいいじゃないですか。
毎回なにか問題があったほうが、むしろ怖いと思うのですが^^;
もし気になる情報があれば、随時まとめて記録していく、でいいですよね。
薬歴が「証明のための記録ではなく、現場のための記録」に早く戻ってほしいと心底思いますね。
コメントありがとうございました。
証明のための記録ではなく、現場のための記録への回帰こそが必要なことですよね。
患者一人一人の記録を書くだけでも四苦八苦されているのに、それ以上のことを求められるのに違和感しかないです…。学校で教えられるソープ(SOAP)は患者さんの記録ですし、それを薬歴イコールというのに疑問ですし。
常日頃、問題が発生していたら、それこそ怖すぎですよ。
そうならないことを祈るとともに、薬学的に問題があるかないかだけを判定して、後は、自分で書き留めることぐらいでいいと思いますよ。引用を結構させてもらいましたが、私も同感です。
猫好き さん
一言でいうと、メリハリをもっとつけてもいいのでは?ということなんです。
問題ない方は、問題なしでいいではないかと。
そのかわり、時間をかけなくてはならない人にはしっかりと時間をかける。
そうしないと、人的ソースは有効的に使えないですよ、ということを言いたいんですよね。
今の流れは、すべての人に徹底した指導を、みたいな流れ一辺倒になっていますからね。
それこそ求められてないし、薬剤師が少ない地域では無理があるでしょうと。
それをスムーズにするためにも、検査値の共有と診断名、用量確認なんかの機械的にできるところはどんどんシステム化していきましょうと。
検査値を院外に出すのはどうのこうの・・・なんて議論しているくらいなら院外薬局なんてそもそもいらんだろ!と(苦笑
今回の記事の背景はそんな感じです^^
コメントありがとうございました!