手術の前に休薬する薬と休薬期間

手術×薬期間

心血管疾患、脂質異常症などで
使用される、いわゆる「血液サラサラの薬」。

最近では、手術前であっても休薬しないほうが
ベネフィットが大きいという話もありますが、
侵襲性の大きい処置の場合はやはり注意が必要です。

抗血小板薬、抗凝固薬などが主に
対象となりますが、それ以外にも出血リスク
をもつ薬剤があるようなのでまとめました。

基本的な休薬期間は、各薬剤の作用が
「可逆的」なのか、「非可逆的」なのか
に由来するので、そのあたりもポイントです。

◆名前(商品名例)
・休薬期間
(その理由)
・作用機序
・可逆性

◆アスピリン(バイアスピリン)
・ 7~10日前
(血小板の寿命が7~10日)
・シクロオキシゲナーゼ阻害によりTXA2の合成阻害
・不可逆的

◆ワルファリンカリウム(ワーファリン)
・4~5日前
(投与後12~24時間で作用発現中止後48~72時間後まで作用持続)
・肝臓におけるビタミンK依存性血液凝固因子の合成阻害(PT-INR等で確認すること)
・可逆的

◆塩酸チクロピジン(パナルジン)
・10~14日前
(血小板の寿命が7~10日)
・アデニレートシクラーゼ活性を増強し血小板内cAMP産生を高め、血小板凝集能・放出能を抑制
・不可逆的

◆シロスタゾール(プレタール)
・3日前
(中止後48時間で血小板凝集能回復)
・PDEⅢ活性を阻害、TXA2による血小板凝集を抑制
・可逆的

◆クロピドグレル(プラビックス)
・14日前
(血小板の寿命が7~10日)
・活性代謝物が不可逆的に血小板のADP受容体サブタイプP2Y12に作用し、ADPの結合を阻害
・不可逆的

◆イコサペント酸エチル(エパデール)
・7~10日前術前に出血時間を確認するのが最良
(血小板の寿命が7~10日)
・血小板膜リン脂質中のEPA増加→アラキドン酸代謝の競合的阻害によるTXA2の合成阻害
・不可逆

◆イブジラスト(ケタス)
・3日前
・ホスホジエステラーゼ活性阻害、PGI2増強作用
・可逆的

◆塩酸サルポグレラート(アンプラーグ)
・1~2日前
(抗血小板作用は血中濃度に依存。
中止後24~36時間で血小板凝集機能回復)
・5-HT2受容体の拮抗的阻害
・可逆的

◆塩酸ジラゼプ(コメリアンコーワ)
・2~3日前
(大量出血が予想される場合7日術前に血液凝固能・出血時間確認
血小板の寿命が7~10日(抗血小板作用の強さはジピリダモールと同等))
・血小板ホスホリパーゼ活性抑制、血小板放出反応抑制
・可逆的

◆塩酸トラピジル(ロコルナール)
・3~4日前
(抗血小板作用はトラピジルとその代謝物の濃度に依存。血中濃度は48時間後には消失)
・TXA2合成及び作用抑制、プロスタサイクリンの産生促進
・可逆的

◆オザグレル塩酸塩水和物(ベガ)
・1日前
(24時間で排泄される)
・TXA2の生成を抑制
・可逆的

◆ジピリダモール(ペルサンチン)
・2日前
(抗血小板作用は血中濃度に依存。連続投与時は約49時間で血中濃度消失)
・ホスホジエステラーゼ活性抑制、アデノシンデアミナーゼを抑制し、アデノシンの赤血球への取り込みを抑制
・可逆的

◆酒石酸イフェンプロジル(セロクラール)
・1日前
(16~24時間で完全に排泄される)
・血小板膜安定化作用、TXA2拮抗作用
・可逆的

◆ニセリトロール(ペリシット)
・1日前
・TXA2の生成を抑制
・不明

◆ニセルゴリン(サアミオン)
・2日前
・ADP誘起血小板凝集抑制、コラーゲン、アラキドン酸及びPAF誘起血小板凝集抑制
不明

◆ベラプロストナトリウム(ドルナー)
・1日前
(作用の持続時間は8時間程度)
・アデニレートシクラーゼを活性化、CAMP含量を増加、TXA2生成抑制
・可逆的

◆リマプロストアルファデクス(リマルモン)
・1日前
(血小板凝集抑制作用は投与180分で消失)
・cAMP含量を増加、TXA2生成抑制
・可逆的

参考:各種IF、添付文書

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コメント

  1. 新人薬剤師 より:

    表にまとめて薬局に貼りたいぐらいです・・・・

    • めがね薬剤師 より:

      ご周知のことだと思いますが、これらは一応の目安でございます。

      抜歯や内視鏡等の侵襲性の低いものは別になる可能性があります。
      (内視鏡のガイドラインを参照してくださいませ)

      侵襲性の強い手術の場合、術前にこれらを中止し、ヘパリン化しても、術後に脳梗塞を発症されてお亡くなりになる方もおりますので(少数ですが)、リスクの低減というのはなかなか難しいなと日々の現場では感じます。

      それでも、こういったものが患者さんや、家族の方々への薬学教育としては有用なものに変わりありませんが。

      • しゅがあ より:

        >めがね薬剤師さんへ

        現場の見地から非常に参考になるコメントをありがとうございます!

        理論と臨床ではやはり「隔たり」があるものですよね。また、現実の人間にはそれぞれ個人差もありますし、なかなかそう単純なものでもないと思います。

        こういったご意見は、他の方々にとっても非常に有用なものと思いますので、今後ともよろしくお願い致します。

    • しゅがあ より:

      >新人薬剤師さんへ

      ご自身でまとめておくのはとても重要なことだと思います。

      薬局内のスタッフで一度情報共有されてみても非常に有意義かと思います。

      また、めがね薬剤師さまのご意見にありますように「あくまで目安」として考えて、実際には、手術や処置の侵襲程度や原疾患(脳梗塞など)の再発リスクなども考慮されます。

      一辺倒な対応ではなく、柔軟な対応や説明も必要となることもあるかと思いますので、そのあたりも勉強されてみるとよいかもしれません!

  2. ゆん より:

    今晩は。
    初めまして。
    突然ですが、教えていただきたいことがあり、コメントさせていただきます。

    この3月から、アンプラーグを朝晩各一錠服用しています。
    脈波検査で、左側の抹消動脈の硬化が疑われ、処方されました。

    他にゼチーアを夕食後一錠飲んでいます。
    ゼチーアはコレステロール値が170あり、昨年9月から服用しています。
    (主治医は飲んでも飲まなくてもいい数値だとおっしゃっていましたが、30代で、痩せ型なのに、診ていただいてからの数年間、数値が変わらないので、家族性の可能性も考えて、処方されたようです)

    質問なのですが、
    アンプラーグを、術前の休薬ではなく、一定期間、減薬した後に、完全にやめてしまうことは可能でしょうか。

    ゼチーアもゆくゆくは中止したいと思っています。適度にコレステロールはあったほうが良い、血管をつくるのに必要と聞いたことがあるからです。素人考えでしたらごめんなさい。

    今、服薬しながら、食事のバランスと日々の運動に気をつけており、今後、出来れば、お薬に頼ることなく生活してゆきたいのです。

    もちろん、血液検査、他必要な検査で、服薬の必要がない程度の結果が出ていることが条件です。

    もし、バランスのよい食生活や適度な運動をもってしても、薬が必要性であれば、服薬するつもりでいます。

    アンプラーグについては、服薬前に飲むことをためらっていました。一度飲み始めるとやめられない気がしたからです。
    まだ生理もありますし、妊娠の可能性も今後ゼロとは言えないので、飲まなくていいお薬は避けたいのです。

    アンプラーグもそうなのかはわかりませんが、いわゆる血液をサラサラにするお薬は、休薬すると、血栓リスクがあがるとネットでみて怖くなりました。

    いろいろ聞きたいことがあり、主治医に質問しましたが、今はとりあえず、一か月、これで様子を見させて欲しいとおっしゃいます。
    また、軽い動脈硬化はあるけれど、コレステロールの薬はなくてもいいかも知れないというようなニュアンスでお話されていました。

    私としても、生活改善を3ヶ月ほどつづけてから、その先に、可能であれば、減薬→中止と段階をふみたいと思っていますので、かなり先々のことを考えての質問になりますが、御教示いただけると幸いです。

    また別になりますが、
    婦人科で、女性ホルモン不足のため、エストラーナテープとプロベラ併用をすすめられています。
    ゼチーアやアンプラーグを服用していることを伝え、血栓のリスクがあるなら、服用を避けたいけれど、治療として必要ならば、血液検査をして問題無ければ服用しますと伝えたところ、血栓リスクの検査をした結果で考えましょうと婦人科では言ってくださいました。
    女性ホルモン補充することで、動脈硬化やコレステロール異常に悪影響がでる可能性があるのでしょうか。

    いろいろ質問し過ぎてしまいましたが、お答えいただける範囲で教えていただければ、大変ありがたいです。

    よろしくお願い申し上げます。

    • しゅがあ より:

      はじめまして^^

      ご質問いただきありがとうございます。
      記事を書きましたので、何かの参考になれば幸いです。

      記事リンク

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