高血圧の人はカルシウムを摂らない方がいい?

taikono_ca

ある日、薬局に訪れた
高血圧を治療している患者さん。

「前にもらった血圧の薬はカルシウムを働きを抑える薬って聞いていました。なので、カルシウムが入っているものはできるだけ食べないようにしていたんですが、最近、病院で骨粗鬆症と言われて。。。」

なるほど、なるほど。
考えてみれば、降圧薬(Ca拮抗薬)
はCaの働きを抑えるものなのだから、
当然Caは体によくないんだろう。。。

そう考えるのが確かに
自然かもしれない。

こういう素朴な疑問って
いざ訊かれると「あれっ?」
ってなることが多いですよね。

ということで、今回のテーマは
「高血圧患者のCa摂取」
についてです。

そもそも、なぜ高血圧に
Ca拮抗薬なるものが使われるのでしょうか?
その理由としては下のような説明がされています。

高血圧患者と、血圧が正常な人とで、血管壁平滑筋細胞内のカルシウム濃度を比較すると、高血圧患者の方が高い。これは、高血圧患者では何らかの原因で、細胞内にカルシウムイオンが細胞膜上のカルシウムイオンチャネルを介して流入した結果、血管壁の平滑筋が収縮し、血圧上昇が引き起こされているからである。

つまり、詳しい原因は
はっきりしていないけれど、
”カルシウム”が血管の細胞内に多くなっていると。

だから薬を使って
カルシウムが細胞内に入って
いかないようにすれば血圧は下がるよということです。

もしかしたら根本的には
チャネルの遺伝子的な変異
などが関係しているかもしれませんね。

とまあ、原因はともかく
症状を抑えるのが今の医療ですから、
この状態に対してCa拮抗薬を使っているわけです。

まず結論から言うと、
通常量のCa摂取とCa拮抗薬
の効果とは関係ないと言われています。

血中のCa濃度が多少上がっても
薬の効果が大きな影響
を受けることはないということです。

実際、Ca拮抗薬の中に
Ca製剤が併用注意・禁忌
となっている薬剤はありません。

逆に。。。!
Ca摂取を避けた食生活
を続けるとどうなるでしょう?

食事からのCa摂取が不足すると、
血中のCa濃度を低下させないように
副甲状腺ホルモン(PTH)が分泌されます。

PTHは破骨細胞の働きを強め
骨を溶かして血中にCaを補給します。

骨を溶かすということは、
骨粗鬆症を引き起こす原因になります。

Caが慢性的に不足していると、
常に骨から血液中にCaが溶出し
血管壁にCaが沈着、石灰化するほか、
細胞内のCa濃度が上がり血圧を上昇させることもあります。

米国ホノルルの研究では、
1日のCa摂取量が320mg未満
の人では有意な血圧高値が示されました。

この報告によると、
高血圧発症の危険性が高くなる
Ca摂取量は約500mg以下とされています。

米国高血圧合同委員会は、
高血圧の非薬物療法の一つとして
”十分なカルシウム摂取”を推奨しています。

Ca摂取による降圧メカニズム
として考えられているのは以下の通りです。

◆Ca補給により血管平滑筋の細胞膜が安定化し、膜透過性が低下するため、細胞内へのCa流入が抑制される。

Ca2+-ATPaseやNa+/K+-ATPaseの活性が亢進することにより、細胞内のCa濃度が低下し、血管平滑筋の弛緩が起こる。

◆PTHとビタミンD3の分泌抑制

◆カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の増加

◆腎臓からのNa排泄の亢進、レニン・アンジオテンシン系の抑制、交感神経系活動の低下

細かいところは覚えても
あまり実践的ではありませんが、
そう単純ではないということですね。

では詰まるところ、高血圧患者
においてCa摂取はどうしたらいいのか?
ということですね。

「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」
では、1日700mg~800mgのCa摂取が
推奨されています。

健常人ではこれより少なくても
問題ないかもしれません。
目安としては500mg/日~ですね。

逆にサプリメントなどで極端に
摂取量を増やしてしまうと、
心血管合併症(心筋梗塞)などのリスクが高まります。

活性型ビタミンD3薬を飲んでいる
場合は、高カルシウム血症を
発症する可能性もあるので注意が必要です。

一般的な食品でいえば、
乳製品、骨ごと食べる魚、
殻を含むエビ、葉物野菜などがCaを多く含みます。

<まとめ>

☆Ca拮抗薬を飲んでいるからといって、食事からのCa摂取を制限する必要はない!

☆むしろ高血圧にとってCaは良い方向に働き、積極的に摂取すべきである。

☆1日700~800mgを目安として、何回かに分けて摂取する。

以上、患者の疑問から考える
「高血圧とカルシウムの関係」
についてでした。

「単純な質問ほど改めて考えると難しい」
ということ結構ありますよね。

そういう感覚を
大切にしていきたいですね。
では、最後までお読みいただきありがとうございました!

参考:日経DI 2013.12

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