「心房細動といわれたんだけど、
この中に不整脈の薬はないですよね?
なぜでしょうか・・・?」
ちょっと詳しい患者さん。
最近はネットで少し調べれば
自分が何の薬を飲んでいるのかを知ることができます。
こんな質問をされることも
今後増えてくるかもしれません。
その病気に対して、
こんな薬を使うのか!?
ということは結構ありますよね。
さて、今日のテーマは、
「心房細動」に対する薬物療法です。
◆心房細動と洞調律とは?
心房で不規則な電気興奮が起こり、
心房が細かく震えて、心臓が大きく
収縮できなくなった状態です。
心臓には洞結節という
ペースメーカーがあり、
心臓全体の収縮を一定のリズムに保っています。
その結果、心電図では
P波、QRS波、T波が規則正しく
繰り返されるのです。
これを洞調律=サイナスリズムといいます。
以前は、洞調律を維持することが
治療において重要視されていました。
◆心房細動治療の常識が変わった!
2000年以降に発表された各国の
大規模臨床試験において次のような
結果が発表されました。
洞調律維持療法(リズムコントロール)によって洞調律を維持していても抗凝固療法は必要で、抗不整脈薬には重篤な副作用が発生し得る一方、心拍数を低下させる心拍数調節療法(レートコントロール)でも、生活の質(QOL)の改善がみられ、比較的安全な治療法であることが分かった。
この報告の後、
少しずつ治療法が変化していきました。
さらに、持続性心房細動では、
高い心拍数が続くと心不全に至る
ことが分かり、今では心拍数調節療法が
治療の柱となっています。
心房細動による症状の多くは
高い心拍数に起因し、自覚症状を
抑える意味でも心拍数調節療法は効果的とされています。
具体的な治療薬としては
β遮断薬などが主体となっています。
カルベジロール(アーチスト)
は心拍数低下作用に加えて、
心保護作用もあると言われよく使用されています。
心拍数を安静時は60~80/分、
軽い運動時は90~115/分に
維持するようにします。
◆もう一つの柱「抗凝固療法」
心拍数調節療法と並び、
重要な治療として「抗凝固療法」
があります。
俗に言う「血液サラサラの薬」
は大きく分けて2種類あって、
抗凝固薬と抗血小板薬があります。
心房細動では、
心房で血液がよどんで血栓ができ、
心原性の脳梗塞を起こすリスクが高い状態です。
心房細動でできる血栓は、
血液凝固因子の活性化によるもので
その原因にマッチした抗凝固薬を使用するわけです。
一方でアスピリンに代表される
抗血小板薬は血小板の働きを抑える
もので、心原性脳梗塞を抑える効果は不十分です。
実際、国内のJAST試験では、
アスピリン投与群、非投与群において
心原性脳梗塞の発症頻度に差はみられませんでした。
逆にアスピリンの副作用である
出血傾向の頻度を高まる結果となりました。
他の抗血小板薬である
プラビックスなども同様に
心原性脳梗塞の予防ではあまり使用されません。
よって、心原性脳梗塞の予防
には次のような抗凝固薬が使われます。
H26.1の時点で適応のある薬剤
・ワルファリンカリウム(ワーファリン)
・ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩(プラザキサ)
・リバーロキサバン(イグザレルト)
◆まとめ◆
☆心房細動でコントロールすべきは心拍数!
☆症状も抑えられるβ遮断薬が使われる!
☆抗凝固療法も同時に行うことで心原性脳梗塞を予防できる!
以上、今回は、
「心房細動の治療の変化」
ということでまとめてみました。
最後までご覧いただきありがとうございました。
コメント
これらの薬は、授業ではたくさん出てきていて、
頭がそればっかりになって煩雑になって
パニックと混乱に陥ってしまうので、
疑問を抱く素朴な質問があるというのを知ると
どこかほっとしてしまいます。
コメントありがとうございます!
そうですよね。
授業ではとりあえず覚えなければいけないことがたくさんありすぎて、
なかなか整理できないですよね^^;
でも、大学で覚えた知識があくまでも土台になるので、
ある程度は詰め込んでおくのも意味のあることだと思います。
基礎があれば、実践でもすんなりと理解できると思いますので!
これからも勉強頑張ってください^o^