交感神経と副交感神経の覚え方・理解のしかた

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今日はすごく初歩的な内容には
なってしまいますが、
自律神経について書きたいと思います。

「自律神経」については
薬物動態学シリーズにならんで
伝えたいテーマなので気合いが入っています!

すごく「初歩的」ですが、
これを理解すれば「身体の仕組み」
「薬理学の原点」を理解できるようになります。

対象はこれから薬学を学ぶ人、
生理学を学びたい人、
薬理がわけわかめな人(笑)などです。

もちろん復習したい人も
目を通してもらえるとすっきりするかと思います。
では、どうぞ!

◆自律神経で重要なたった一つのこと

「自律神経」は「自律」している神経、
つまり私たちの意識から独立して
勝手に働いている神経です。

”意識”はしていないわけですが、
寝ても覚めても、生きている間は
ず~っと動いている神経です。

逆に言うと、私たちが意識しても
コントロールできない神経です。
「心拍数よ、上がれ!」っていってもドキドキしないですよね。

でも、”間接的”には調節できるかもしれません。
例えば、大勢の人の前で何か発表する状況を
リアルに想像すればドキドキしてきますよね?

それはあくまで想像したイメージに対して
身体が勝手に反応しているのであって、
自律神経そのものをコントロールしているわけではありません。

とまあ、前置きはこのぐらいにして、
自律神経をまとめていきましょう。

まず、自律神経は
「交感神経」と「副交感神経」
の2つに分けられます。

そして、最も重要なイメージとして
交感神経=攻撃体勢(運動できる状態)
副交感神経=休憩体勢(身体が休んでいる状態)
というのを覚えてください!

交感=攻撃
副交感=お休み

これだけ覚えたら、
それぞれが身体に対して
どのように働くかはすべて予想できます。

そして、通常の健康な人では
交感神経と副交感神経は「シーソー」
のような関係になっており、つり合いを保っています。

一方で過度なストレスなどで、
どちらかにバランスが崩れると
自律神経障害という状態になるわけです。

では、次に自律神経の働きについて
上のイメージに従ってまとめていきます。

◆自律神経による実際の身体の反応は?

身体のすべての部分において、
自律神経は常に働いており、
シチュエーションに有利になるように身体を制御しています。

と、いうことは。。。
眼では?
心臓では?
肝臓では?
血管では?・・・
とすべての場所でどうなるかを
丸暗記しなくてはいけないのかと思ってしまうかもしれません。

今回のテーマで伝えたいのは、
「すべては繋がっている」ということです。

身体は
バラバラに動くようにはつくられていません。
それぞれ同じ方向に向かって制御されていきます。

それが先に紹介した
交感神経⇒攻撃
副交感神経⇒お休み
という方向なのです。

では具体的にみていきましょう。
と言いたいところですが、
ある程度深く理解するためには、最低限の専門知識も必要です。

・神経伝達物質は?
「神経」なのでその情報を伝えるものが必要です。
交感神経=NAd(ノルアドレナリン)
副交感神経=ACh(アセチルコリン)
これらが最終的に神経終末から放出されて、
臓器にある受容体に作用します。

・受容体の名前は?
NAdが結合する受容体は
α受容体、β受容体と呼ばれます。
AChが結合する受容体は
M(ムスカリン)受容体と呼ばれます。

~マニアックなマメ知識~
交感神経においてα受容体は α1、β受容体はβ1、β2が重要。α1はGqタンパク共役型であり”筋肉を収縮させる”方向に働く。一方、β1、β2はGsタンパク共役型であり、cAMPを増加させることで機能する。β1はほぼ心臓で機能し、心機能を増強するように働く。一方、他の臓器ではβ2が”筋肉を弛緩させる”方向に働く。

副交感神経において、M受容体で重要なのがM2とM3。M2はGiタンパク共役型であり、ほぼ心臓で機能して、心機能を抑えるほうに働く。他の臓器ではM3が主体で、Gqタンパク共役型なので”筋肉を収縮させる”方向に働く。

Gタンパクは薬理や生理機能を理解する上で必須の知識なのでどこかで詳しく解説したいのですが、ボリュームがあるので別の記事で!

本当はもうちょっと詳しく勉強しないと
深くは理解できませんが、
簡単にだけ触れておきました。

では、実際の身体の機能について
その反応をイメージしながら覚えていきましょう!

☆眼(瞳孔)
交感⇒散瞳=瞳孔散大筋の収縮(α1)
副交感⇒縮瞳=瞳孔括約筋の収縮(M3)

攻撃したいときは、
「眼」がよく見える方がいいですよね。
だから光を多くとりこめるように瞳孔が開きます。

☆眼(毛様体筋)
交感⇒弛緩=水晶体が薄くなる(β2)
副交感⇒収縮=水晶体が厚くなる(M3)

毛様体って緑内障などでも
ポイントになる筋肉ですよね。
これもしっかり攻撃・お休み理論に当てはまります。

攻撃するときは、遠くにいる敵に
ピントを合わせなくてはいけません。

つまり、交感神経が優位に働き(副交感神経がお休みし)
毛様体筋を弛緩させて水晶体を薄くすることで、
より遠方にピントをあわせるわけです!

☆唾液腺
交感⇒粘調性の唾液分泌(少量・α、β)
副交感⇒漿液性の唾液分泌(多量・M3)

緊張した時は口が渇きます。
逆に寝ているときはよだれがだら~です。
ご飯と食べるときはリラックスしていて、
消化が必要なので、唾液がたくさんでます。

☆心臓
交感⇒心拍数、拍出量↑(β1)
副交感⇒心拍数、拍出量↓(M2)

攻撃したいときは、身体中に血液を
送って、運動能力を高める必要がありますよね。

☆気管支
交感⇒気管支平滑筋の弛緩(β2)=気管が拡がる
副交感⇒気管支平滑筋の収縮(M3)=気管が狭まる

攻撃したいときは鼻息が荒くなり
酸素をたくさん取り込んで運動能力アップが必要です。

☆胃腸
交感⇒腸管平滑筋の弛緩、胃腸運動抑制(α、β)
副交感⇒腸管平滑筋の収縮、胃腸運動促進(M3)

攻撃しようとしている瞬間に
のんきに飯を食べている余裕はありません!
ご飯を食べるのはリラックスしているときなので
腸管の動きもそれに合わせて調節されます。

☆尿
交感⇒出にくくなる
排尿筋の弛緩(β2)、内尿道括約筋の収縮(α1)
副交感⇒出やすくなる
排尿筋の収縮(M3)

誰かにみられていると、
緊張しておしっこがでなくなりますよね。
もちろん攻撃するときにはトイレのことなんかかまっていられません!

☆子宮平滑筋
交感⇒弛緩(β2)
副交感⇒収縮(M3)

敵から追われているときに
赤ちゃんを産んでいる余裕はありません。
分娩するとき「リラックスして~」と
言われるのは副交感神経=収縮だからですね。

☆血管
血管は大きく2種類に分けて考えていきます。
「皮膚や粘膜の血管」と
「骨格筋の血管」です。

攻撃したり運動したいときには、
骨格筋に多くの血液・栄養を送りたいわけです。
つまり、骨格筋以外の血管を収縮させて、
骨格筋の血管を拡張したいわけです。

そして、血管においては
ちょっと他の臓器と違って
主に交感神経のみで調節されています。

(副交感神経からは
M3受容体による経路ではなく、
血管内皮細胞から遊離されるNO
(一酸化窒素)によって調節されています。)

同じ交感神経支配でも、
受けとる受容体によって、
生じる反応(収縮・拡張)は異なります。

これを理解するのに、
受容体の違い(α1、β2)と
Gタンパクへの理解が必要なのです。

<皮膚や粘膜の血管>
α1受容体が優位に存在するので、
交感⇒収縮(α1)>拡張(β2)

<骨格筋血管・冠血管>
β2受容体が優位に存在するので、
交感⇒拡張(β2)>収縮(α1)

<+α知識>
栄養素の代謝についても
”連動”するようにしっかり調節されています。

交感神経の興奮により、
腎:レニン分泌↑(β2)により血圧↑
肝:グリコーゲン分解↑(β2)により血糖↑
脂肪組織:脂肪分解↑(β1,3)により脂肪酸↑

以上、大まかな薬のターゲット
となる臓器における自律神経の
支配について紹介しました。

バラバラにとらえるのではなく、
すべては同じ方向に向かって
制御されているということがご理解できたでしょうか。

多くの”薬”についても
この自律神経に対してどうアプローチ
するのか?という視点で創られています。

「優秀な薬」というのは、
目的とする臓器・部位のみに
作用する薬であるというのがひとつの考え方です。

しかしながら上で説明したように、
自律神経では、「神経伝達物質」と
「受容体」を様々な臓器で”共用”しているわけです。

このような理由から
どうしても”副作用”というものが
常につきまってしまうのです。

分子レベルで細かくみる
「ミクロな視点」と
身体全体の反応でみる
「マクロな視点」というのが重要になるということです。

期待する薬効は「ミクロな視点」、
様々な副作用症状は「マクロな視点」
と考えることもできるでしょう。

自律神経はすごく重要なテーマ
だと思うので詳しくご紹介しました。
少しでもご理解のお助けになれば幸いです!

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コメント

  1. ゆーりん より:

    はじめまして。現在私大薬学部6年 の者です。とてもわかり易く詳しい説明で、薬理を苦手とする私にとってすごく助かりました〜!!
    ありがとうございます><

    しゅがあさんの記事は他の物も拝見させて頂きましたが、これから国家試験を受験をする私にとって、どれも興味深い内容のものばかりでした!特に、おすすめの本は、私も常にいい本は無いかと探しておりましたので、参考にさせて頂きます!

    それから、自律神経の説明にあまりに感動してしまい。。是非ともGタンパク質の説明をこの記事にお願いしたいです。
    よろしくお願いします><

    • しゅがあ より:

      >ゆーりん さんへ
      嬉しいお言葉ありがとうございます^^お役に立てたらよかったです!

      確かに単純な暗記が必要になるものもありますけど、なるべくなら意味づけというか、身体のしくみを少しでも理解しながら勉強してくれるといいなぁと個人的に思います。

      そうすれば皆が勉強楽しくなると思うし、本当の意味で使える知識が身につくと信じてます。

      ご希望は受け取りました!・・・が、気が向いたらということで(笑、あまり期待はせずにいてくれると助かります^^;

  2. n.n より:

    はじめまして。私は、薬学ではないのですが、医療系を勉強しております。
    たまたま、生理学を勉強している際にこのサイトを拝見いたしました。とてもわかりやすい説明でした。ただ、
    胃腸
    交感⇒腸管平滑筋の弛緩、胃腸運動抑制(α、β)
    副交感⇒腸管平滑筋の収縮、胃腸運動抑制(M3)
    となっております。
    副交感⇒腸管平滑筋の収縮、胃腸運動促進(M3)ということでよろしいでしょうか。

  3. しゅがあ より:

    >n.n さんへ
    コメント、ご指摘ありがとうございます!
    訂正しておきましたので、また何か間違いをみつけましたらご指摘お願いしますm(_ _)m

  4. 理数オンチ勉強中! より:

    しゅがあ様

    交感神経と副交感神経の受容体のことがいつもこんがらがってしまうのですが、とても分かりやすくまとめてくださっていて、感謝です!

    毛様体筋を収縮させ水晶体を
    薄くすることで、遠方にピントをあわせる

    とのことなのですが、
    毛様体筋を『弛緩』させ水晶体を
    薄くすることで、遠方にピントをあわせる

    ということでよろしいでしょうか?

    • しゅがあ より:

      そうですね笑
      説明部分の記載が逆になってました^^;
      ご指摘ありがとうございました!

      また何かみつけたら教えてください^^

  5. w。 より:

    外科医64歳 恥ずかしながら 目からうろこです。

    よく勉強されているのですね。

    失礼します。

    • しゅがあ より:

      いえいえ、とんでもございません。まだまだです。

      少しでもお役にたてて光栄です。

      わざわざコメントをいただきありがとうございます。

  6. くま より:

    初めまして!薬学部一年の者です。テスト前に単純暗記で覚えたことがすぐに頭から抜けていくため途方に暮れていたところ、このブログに出会いました。私は単純暗記が苦手で、理由付けや理解が伴うと記憶に残りやすくなるのでとてもためになりました!ありがとうございます。こうやって理由付けしていったり、つながりがあるってことを意識できると勉強するのが楽しくなりますね(*^^*)

    • しゅがあ より:

      >くま さん
      勉強のお助けになってよかったです!

      これから本格的な勉強がはじまるんですね!大変な時期もきっとあると思いますが、せっかくなので楽しんで勉強してみてくださいね^^

  7. 村上 瞳 より:

    素晴らしい説明ですね!わかりやすいです〜。薬関係の仕事をしています、これなら忘れないですね。ありがとうございます!

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