薬剤師国家試験は「過去問」で勝て!〜ピオグリタゾンを例に〜

今回は、現役の薬学生から国家試験突破における重要なポイントを書いていただきました。

以前、書いた記事「薬剤師国家試験に落ちる人の5つの特徴」は非常に多くの方に見ていただいており、薬学生の方々の悩みも深いのではと強く感じているところです。

薬剤師になりたい学生の達成すべき目標は、当然「国家試験をパスすること」です。

結果が重要です。

最近の国家試験は、より実務に沿った内容になっており、実務実習をしっかりと取り組んだ方が報われるようになってきていますね。

今後、より具体的なイメージをもって実習に取り組まれた方が、結果的にパスできるような試験になっていきそうです。

とはいえ、まだまだ座学、ペーパーの知識が占める割合が非常に多いため、効率よく勉強したものがパスできるという状況はあります。

今回の桂馬さんは、テクニック的なところもよく考えて、合理的な視点で試験勉強に望まれているようです。

ぜひ、自分に必要だと感じたら取り入れてみてください!

〜ここから記事はじまります〜

はじめまして。薬学部6年の桂馬と申します。

そろそろ国家試験の勉強にも力が入ってくる時期かと思いますが、国家試験の過去問はきちんとこなしているでしょうか?

薬剤師国家試験では、過去問は非常に重要です。少なくとも最新3年分、できれば5年分はこなしておくべきです。なぜなら、国家試験で出てくるところは決まっているからです。

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国家試験で最もポイントになる糖尿病治療薬

突然ですが、国家試験で一番重要な糖尿病治療薬は何でしょうか?

個人的な答えはピオグリタゾン(商品名:アクトス)です。私は実習中に見た記憶もないですし、売り上げで見ても、そこまで多い薬ではありません。それなので国試勉強を始めるまで、ほとんど知りませんでした。

ですが、ここ5年の国試には毎年出題されています。

理由としては、
・重大な副作用として浮腫がある(心不全には禁忌)
・PPARγのアゴニストという独特な機序(しかもフィブラートのαとひっかけやすい)
といったところでしょう。

特に浮腫は8.2%(添付文書より)にも見られる重大な副作用です。正直、あえてこの薬を使う理由がわからないので、過去問を見るまではメトホルミンやシタグリプチンといったメジャーな糖尿病薬に目がいっていました。

ピオグリタゾンはここまで聞かれる

ところが、国試ではピオグリタゾンについてかなり踏み込んだ出題がされていました
。97回の301番です。問題は次の通りです。

添付文書に記載されている成人に対する1日投与量の制限との組合せのうち、誤ってい
るのはどれか。
グリベンクラミド錠 2.5 mg        10 mgまで
シタグリプチンリン酸塩水和物錠 50 mg  100 mgまで
ピオグリタゾン塩酸塩錠 30 mg      90 mgまで
ボグリボース錠 0.2 mg          0.9 mgまで
トルブタミド錠 500 mg        2,000 mgまで

答えは、ピオグリタゾンで、1日45mgまでです。

この問いで何がききたかったのか?

さて、この問題は何が聞きたかったのでしょうか?

推測も入りますが、ピオグリタゾンが注意すべき薬であることを知っているかを尋ねた
のだと思います。ピオグリタゾンは、高い確率で浮腫が出る危険な薬。だから容量までき
ちんと覚えてね……。そんな声が聞こえてきます。

しかし、ピオグリタゾン以外の容量を覚えろと言っていません。ここがポイントです。他の選択肢は、問題を作るために書いてあるだけなのです。

要点を絞る

一見すると、ありとあらゆる糖尿病治療薬を覚えなくては……、と思ってしまうかもし
れません。

ですが、そんなことをしていたら時間が足りなくなるのは明白です。DPP-4など、シタグリプチン(ジャヌビア)以外にもビルダグリプチン(エクア)やアログリプチン(ネシーナ)なども出題される可能性があります。

ただ紙とにらめっこして暗記するなど苦痛ですし、試験が終わったら抜けるだけです。なので、わたしはピオグリタゾン(45mg)とメトホルミン(2250mg)くらいしか覚えていません。メトホルミンは乳酸アシドーシスもありますし、ヨード系造影剤との相互作用もあります。さらに腎排泄なので後期高齢者では特に慎重投与になります。

つまり、特に扱いに注意が必要で、問題も作りやすいと考えるからです。また、Henderson–Hasselbalch式を使ったpH計算や、造影剤を絡めた問題なども作りやすいです。

過去問を解くと、出題者の気持ちがわかる。

先ほど、97回の301について、ピオグリタゾン以外は問題を作るための選択肢と書きま
した。国試は5つの選択肢から、1つか2つの正解を選ぶことが基本。出題者は不正解も作
らなくてはなりません。そして問題の難易度は、不正解の選択肢が決めます。

ためしにこの問題を解いてみてください。私が作った、日本の地理に関する問題です。

日本の地理について、次の選択肢から適切なものを1つ選べ
1.人口が2番目に多い都道府県は大阪府である
2.面積が3番目に広い都道府県は福島県である
3.年間降水量が最も多いのは鹿児島県である
4.日本最南端は沖縄県である

たぶん、これを解ける方はなかなかの地理好きです。

では、すこし選択肢をいじったこちらはどうでしょう?
1.人口が2番目に多い都道府県は岐阜県である
2.面積が3番目に広い都道府県は福島県である
3.年間降水量が最も多いのは北海道である
4.日本最南端は沖縄県である
答えは2です。

こちらなら解ける方はいるのではないでしょうか?1は岐阜県民の方には申し訳ありませんが、大阪や神奈川とくらべたら、岐阜が2位とは考えにくいと思います。3は北海道には梅雨がないので、最も降水量が多いとは考えにくいです。4は南鳥島が東京都ということを知っていれば、間違いだとわかります。

つまり、2の選択肢は難しいものの、他の3つが明らかに間違いなので比較的優しいわけです。

一方、上の問題は人口の多そうな大阪府(実際3位)に、雨の多い鹿児島を混ぜたので、かなり正確な地理の知識を持っていないと解けません。上の問題は、「お前はどういう意図で出題したんだ?」と言われても仕方ないです。

でも、下の問題は「南鳥島が東京であること、他は日本地理の概略を知っていれば解け
る」と言い張れます。下の問題では、細かい知識は要求していません。

そして、国家試験では下の問題のようなパターンが非常に多いです。選択肢の中に難し
いものは混ざっているものの、キーとなる選択肢の正誤がわかれば解けるのです。このと
きキーとなるのはピオグリタゾンのように、出題形式は変わっているものの毎回同じ薬や
理論です。

過去問を解けば、このキーが解って、暗記の効率を上げることができます。国試本では、キー以外の選択肢も「国試に出題された」として、「暗記するべし」と書かれます。ですが、すべての選択肢の正誤がわかる必要は、本来ありません。国試を合格する確率をあげるためには、まずキーを覚えるのが先決です。

まとめ : 過去問をやろう

ここまで、国家試験過去問の重要性を、ピオグリタゾンを中心に見てきました。本当に
過去問は大切です。出題ポイントがわかるというのもありますが、選択肢の作り方、現実
的な難易度もわかります。少なくとも、青本のような国試本に取り組む前には、必ず過去
問を見ておくべきです。

ちなみに、わたしはファーマプロダクトの過去問を利用しています。ファーマプロダク
トの回し者ではありませんが、単純な解説だけではなく、関連事項の表や図などが挿入さ
れているため、とても使いやすいからです。

国家試験は、合格しないと意味がない試験です。どんなに素晴らしい志や知識を持って
いても、薬剤師にならない限り薬の専門家とは呼んでもらえません。

自分の能力を向上させる勉強も大切ですが、国家試験に合格する確率を上げるための勉強も大切です。そのための一番の近道は、過去問です。

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コメント

  1. 猫好き より:

    すごい記事にお会いした気がします。桂馬さん、はじめまして。
    はじめまして、同じくネクファマの同士、猫好きです。そして、同じく薬学6年生の者です。今までお会いしたどの薬学生よりも熱い気持ちが伝わってくるそんな学生であると感じました。私も実際に薬学生で三年間、このサイトにお世話になったという気持ちと、インプット・アウトプットの大切さを身にしみて感じたため、自身のブログも開設したり、
    ここに記事を書いたりして、皆さんに有用な情報を渡したいと思いやってました。
    国家試験のために毎日が大変だと感じることや、厳しいと思うことも往々にしてありましたが、将来誰かのためになるのならそれこそ、自分が頑張ったご褒美になるのではないか
    と感じながらやっています。今後も、ともに切磋琢磨していける存在としてやっていけるとうれしいです。また返信ください。

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