E=mc2
この式は1905年、
”奇跡の年”といわれた年に
アインシュタインが発表した式です。
物理学を根底から変えた式としても有名です。
今回は、薬物動態学界のE=mc2をご紹介します!
F × S × D / τ = Css.ave × CLtot
(F × S × D / τ = Css.ave × kel × Vd)
これが薬物動態学の核となる「神の式」です。
何が神なの?というと、
こんな簡単な式で、
定常状態における薬物血中濃度を求められるのです。
今回はこの式の導き方について
まとめていきます。
まず、アルファベットの意味から
ご紹介します。
F:バイオアベイラビリティ
S:塩係数
D:投与量
τ:投与間隔
Css.ave:定常状態における平均血中濃度
CLtot:薬物総クリアランス
Vd:分布容積
kel:消失速度定数
それぞれの意味が分からない人は
講座vol.1からみていってください!
では、求め方に入ります。
この式のすごいところは、
求め方もすご~く簡単なところです。
ある患者さんに、薬Xを経口投与した時を考えます。
その時の投与量をD(mg)、投与間隔をτ(時間)とします。
薬XのバイオアベイラビリティをF、
塩係数をSとします。
F
服用量のうち体内に取り込まれた割合のこと。
それぞれの薬で固有の値。
静脈内投与の場合は100%
S(salt index)
=有効な部分の分子量 / 全体の分子量
薬の溶解性や吸収性を高めるため、
塩やエステルとして医薬品にする場合がある。
実際に効果を発揮するのは、塩やエステルを除いた部分
なので、有効部分と塩やエステル部分の分子量比をSとする。
投与間隔(τ)で薬Xを投与した場合、
1時間あたり身体に入ってくる薬の量は、
F × S × D / τ ・・・① と表せます。
一方で、1時間あたりに体内からでていく
薬の量を考えましょう。
これは、Css.ave × CLtot ・・・② と表せます。
CLtotは単位時間あたりに
身体がきれいにできる血液の量でした。
その血液に含まれる薬物の濃度がCssなので、
両者をかけてあげると、身体からなくなった薬物量になりますよね!
ここで、”定常状態”とは、
薬を規則的に連続で投与したとき、
血中濃度が一定に落ち着いた状態のことでした。
つまり、体内の薬物量が一定になるということは、
「入ってくる量」と「出ていく量」が一緒になる!
ということですよね。
ですので、①と②の式を
イコールで結ぶことができるわけです。
そして、神の式
F × S × D / τ = Css.ave × CLtot
が導かれるのです。
CLtot はkel × Vd とも表すことが
できましたので、書き直すと、
F × S × D / τ = Css.ave × kel × Vd
という形で使うことができます。
今回は、式の紹介と導き方について
説明しました。
次回はその使い方をご紹介します。では!