スタチン×1日1回の”謎”
まずはこのコラムを読んでから!
そもそも薬の用法は、
「作用メカニズム」と「薬物動態」、
この2つの要因によって決まります。
スタチンは基本的に
1日1回の服用でOKですが、
ちょっと疑問が残ります。
コレステロールって、
1日中下げておいた方がいいのでは?
ということです。
痛み止めの薬みたいに
1日を通して薬が効いていた方が
都合がいいのではないか、ということですね。
で、今回の取り上げるスタチンの半減期をみてください↓
(コラムより引用)
短いもので2.7時間、
長いもので20時間しかないわけです。
1日1回の服用=24時間間隔だと、
半減期が8時間以上ないと、
定常状態には達しないと予想されます。
(こちらの記事参照)
表にもどると、
ストロングスタチンについては
かろうじて定常状態っぽくはなるかもしれません。
ただレギュラースタチンは、
数時間という短い時間だけ血中濃度が上がって、
次回服用したときにはもうすっかり体から抜けている、というわけです。
これで、ほんとうに効くの?
というのが今回の疑問です。
この疑問に答えるには、
薬理学の視点が必要ということですね。
スタチンはそれ自体が、
血中のLDLコレステロール量を低下
させるわけではなくて、あくまで肝臓でのCho合成を阻害するのです。
肝臓でのChoが減ったことにより、
血管と接する場所にLDLレセプターという
LDLをとりこむ受容体をいっぱい設置するわけです。
このレセプターが血液中のLDLを
取り込むことで、LDL値が低下するという
仕組みだということです。
そして、1日1回でよい”理由”というのが、
LDLレセプターは一度設置されたら
しばらく働いてくれる、ということに由来するのです。
スタチンそのものは、
「起爆剤」としての役割であり、
スイッチを押すことができればよい、というわけですね。
だから、半減期は関係ない!
と考えることもできるかと思います。
ただ、ストロングスタチンの方が
半減期が長い、という事実から
より長く体の中にあれば、それだけ効果も高いわけです。
これについては特に違和感はなく、
長く体内で薬が存在できれば、
より多くのHMG-CoA還元酵素を邪魔できるよね、
ということで納得できます。
以上、簡単にですが
まとめて説明してみました!
こういう視点ってすごく重要ですよね。
その薬が”起爆剤”としての役割なのか?
”プレイヤー”としての役割なのか?
を知ることで、他の薬にも応用できそうですよね!