心房細動の治療の目的は何?

shinbousaidou

日経DIより。
僕が尊敬する山本先生の記事が
更新されていたので、その話題について考察します。

一応登録されている方は
全記事みられると思うのでリンク貼っておきます!
「心房細動の治療は、抗凝固薬だけでいいんですか?」

テーマは、
心房細動の治療において、
不整脈薬、抗凝固薬をどのように使うのか?
ということでした。

詳しくは記事を読んでもらったほうが
よいので省略しますが、流れだけ
まとめておきますね。

まず前提として、
心房細動は治療の必要があるのか?
という問題があります。

なぜ、
心房が小刻みに震える
(=細動を起こす)と問題なのか?

それは、心臓内で
血液の流れが悪くなることで(よどみ)、
凝固系による血栓ができやすくなることです。

そして、その血栓がなぜまずいのか?
心臓から「脳」に流れてしまうからです。
それが心原性の脳塞栓というものです。

つまり、極端な不整脈を除いて
心房細動を治療する目的は、
「脳」を守るため、ということなのです。

これって知っている人にとってみれば
当たり前の事実かもしれませんが、
すごく重要なことだと思うんですよ。

この視点は、すべての治療を
行う際に、しっかりと考えておかなくては
いけないと思うのです。

なぜ治療をするの?
治療をすると結果どうなるの?
というところです。

なぜ血圧が高いといけないのか?
なぜLDLが高いといけないのか?
なぜ血糖値が高いといけないのか?
なぜ骨密度が下がるといけないのか?
・・・

すべてですよね?
数値そのものが問題なわけではないのです。

薬を飲む人にとっては、
なぜ痛みや不調もないのに
薬を毎日飲まなくてはいけないのか?
と不満や疑問を抱えるはずなんです。

メリットがそもそも分からないわけです。

心房細動に話を戻します。
心房細動そのものは、良性のもので
死に直結する心室細動とは全く異なる病態なわけです。

はっきり言えば放置してもよいわけです。
でも、薬を飲ませる?
なぜ?

未来の脳梗塞のを防ぐため、
という目的なのです。

この視点がズレると、
心房細動そのものに躍起になって、
本質的な目標を見失うことにもなりかねません。

そして、心臓ではなく
脳梗塞に注目したときにチェックする
項目として次のようなものがでてくるわけです。

◆心不全・左室駆出率<40%

◆高血圧
◆75歳以上
◆糖尿病
◆脳卒中・TIA・塞栓症の既往

これらは「血管」に関わる項目であり、
該当する項目が多いほど、
血管が詰まりやすい状態になっているということです。

心臓のリズムだけをみていたら
こんな項目はでてきません。

あくまで、原因と結果を
はっきりとさせて病態をみていったとき
初めて分かることだと思います。

結論として、
心房細動の治療の第1ステップは、
リズムコントロールではなく、
血栓形成の防止ということになるのです。

本編の記事では、
不整脈薬は使わずに、
抗凝固薬のみ使用している症例の紹介でした。

一見すると、なぜ?
と感じるかもしれませんが、
非常に合理的かつ無駄のない治療だと思います。

こういう視点で病気をみていくと
無駄な治療や薬が減るのでは?
と思うとても興味深い話題でした!

~今日のつぶやき~

表面的な事実と問題にとらわれない。

因果をじっくり見極め、

行動の真の目的を見い出す。

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コメント

  1. より:

    これも授業で習って、全く漠然としすぎていて自分の頭が
    授業以外でこんな風に同じ内容を同じように
    説明されたら、何となく違った新鮮味がでます。
    とても参考になります

  2. ヒロ より:

    初めまして。ブログ(と呼んでいいのかどうかタメになる事が多いので微妙ですが)を拝見させてもらいました。
    せっかく心房細動についての項目なので、心房細動における抗不整脈フローチャート、シシリアンガンビットの考え方(国試用のボーンウイリアムス?は過去の遺物なので)、アブレーションや心耳切除術についてなどまだまだ広げられる分野なので、DIの記事だけでなく独自に広げてほしかったです。
    抗不整脈薬まで広げてもらえると、同じ心房細動でもなぜその薬なの?が解決できた人がいたかと。なぜサンリズム?なぜワソラン?なぜべプリ?いきなりメインテート追加の意味は?など・・・。
    薬学は医学にくらべてこの分野すごく弱いと思います。しゅがあさんはどう思いますか?

    • しゅがあ より:

      >ヒロさん
      おっしゃる通りですね。
      薬学部は「薬そのもの」を対象として薬理学だったり、薬物動態学だったりという知識を深めていく傾向があります。
      これは心房細動の分野だけに限りませんが、薬学部は実際のケーススタディ・実臨床の知識がごっそり抜けたまま卒業してしまうんですよね。

      これが薬剤師が使えないといわれる一つの原因だと思っています。
      幸い就職先で学習できたり、考えさせられる環境があれば別ですが、なかなか意欲的に勉強する方は少ないかもしれません。

      これは「専門外の分野」を積極的に学ばない医師と同じような心境かもしれません。特に薬剤師には自ら治療方針を決める機会はないため、学びのモチベーションがさらに上がりにくい状況にはあると思います。

      個人的には、医師のように各専門の薬剤師がいてもおもしろいとは思います。がんや感染症だけではなくて。まあ需要がなければただの資格、になってしまう可能性はありますが・・・。

      あと、このブログに関してはすっごく浅い内容も混じっていると思います。勉強に取り組む方の助けになればな~というスタンスで書いたものもあります。。。
      ご了承いただければ幸いですm(_ _)m

  3. アナボリックステロイド より:

    もちろん心原性の側線の予防が第一であることは間違いないでしょう。

    しかし頻脈性のAfであれば、いずれ心筋が疲労し心不全や心筋症に至ることがありますので、その予防も忘れてはいけないでしょう。

    今はリズムコントロールではなく、βブロッカーなどでのレートコントロールが重視されているのではないでしょうか?