先日、DeNAが運営する健康まとめサイト「welq」の全記事が削除されるという騒動がありました。
yahooニュースにも大きく取り上げられましたね。
印象に強く残っている人、あんまり関心がなかった人、いろいろだとは思うのですが、私にとってはデカいニュースでした。
ついにこういう日が来たか、という感じ。
キュレーション・サイト、いわゆる「まとめサイト」に関する批判とか問題って前からあったわけですが、実際にサイトが閉鎖されるまでに至ったのは今回が初めてだと思います。
目次
キュレーションサイト(まとめサイト)って?
インターネットの検索欄に何らかのキーワードを入れてみると、もっとも「知りたいこと」が多く書いてありそうな記事が一番上に表示されるはずです。
これって誰がやっているの?かといえば、googleとyahooとかの検索エンジンなのですが、時代によってシステムの仕様が変わってきたのです。
ひと昔前、検索されたキーワードが「記事タイトル」に含まれてさえいれば、内容は関係なしに上位表示になっていた時代がありました。
でも、それだとタイトルだけで中身は全くない記事だらけになって、ほしい情報が手に入らないという状況になってしまったのです。
その状況を変えるために、記事の内容もチェックして表示する順を決めるというシステムに改良されてきて、現在のネット検索環境が整ってきたのです。
それを利用して出てきたのが「キュレーションサイト(別名、まとめサイト)」です。
他の人が書いた記事の「おいしいところ」を寄せ集めて、たくさんの情報量を含む記事を量産して検索数を稼ごうというサイトのことです。
実際、まとめサイトって役立つと思うんです。
いろんなサイトに書いてある情報の「おいしいところ」をひとつの記事だけで知ることができるわけですから。
じゃあ、まとめサイトってどこが問題なのでしょうか?
まとめサイトの問題点は?
ひとつは、本来あったはずの引用元サイトのアクセス数が減るということです。
サイトをつくる理由はさまざまなのですが、何らかの商業的な目的なある場合、訪問者数(アクセス数)というのは最も重要な問題です。
大型ショッピングセンターにお客を奪われた昔からある商店街のようなイメージです。
これ自体は競争だから仕方ないと思われるかもしれませんが、まとめサイトの問題点は、商品(記事)を他のサイトからパクってきているというところにあります。
引用元のサイトでは、自分の経験や知識を駆使したり、取材を重ねて時間をかけて作成した記事を、まとめサイトに「コピペ」されてアクセスをもってかれるわけです。
まだ「引用元」が記載されていればマシですが、welqに至っては、文章を少しいじってオリジナルコンテンツとして記事にしていたことが大きな問題になりました。
ふたつめは、情報の信ぴょう性と内容の一貫性が担保されないということ。
インターネット上には、信頼性のある情報、ない情報が無限に転がっています。
しかし、本来ならインターネットの利用者は、その性質は理解しておくべきであってユーザー側の責任ともいえます。
ただ今回のwelqに関しては「健康」という非常にシビアなテーマにおいて、医療の専門家の書いた内容と誰が書いたか分からないようなトンデモ情報を一緒の記事にしてしまっていたのです。
うつ病の原因は「幽霊」みたいな・・・(苦笑)。
まあ読者側がうまく情報を処理できればよいのですが、今回はそれが「炎上」してしまい、サイト閉鎖にまで追い込まれるという騒動に発展してしまったのです。
他にも、医学的な知識をまったくもっていないライターが記事を書いていたとか、出来上がった記事を一切チェックしていなかったとか、会社のマニュアル自体にコピペやリライトを推奨していたりとか、記事を安すぎる値段で買い叩いていたとか・・・。
そういった細かい問題はたくさんあったようですが、大きなものとしては「無断引用」と「信ぴょう性」の問題だと思います。
さらに、そんなサイトをgoogleは非常に評価していたということ。でもそれは、現在の技術やシステムにおいては必然として起こったことです。
welq問題から学ぶこと
今回の騒動に関しては、残念だった人、嬉しかった人、助かった人、立場によっていろいろな想いがあると思います。
welqやDeNAのその他関連サイトを単純に楽しんでいた人からすれば、非常に残念なニュースだったでしょう。
一方で、引用元のサイト運営者、まとめサイト自体やその情報にストレスを感じていた人にとっては嬉しいニュースだったでしょう。
いずれにしても、ネット上にはまだまだ「まとめサイト」は存在しているし、情報も玉石混交で散らばっています。
つまり、この問題は本質的な意味で解決することはありません。ネットの性質上、今後完全になくなることもないでしょう。
逆に、私はすべての人にとって有用な情報というのはないと思います。
医療においても、エビデンスといって騒がれていますが、同じ情報でも見方や使い方によって、まったく違う結果を招くことだってあるのです。
(もっといえば論文の情報だってバイアス(もしくはズルや嘘)は必ず含まれています。)
よって、「疑ってかかる姿勢」「自らの頭で考える習慣」「自己責任の意識」というものを常にもってネットを利用していくしかありません。
テレビでよくみる健康番組でもそうですよね?
4人の医者いたら、全員違うこと言ってますよね。
そういうことです。
いくら「医師監修」とか「専門家監修」とか表記があっても、それだけで真に正しい情報かは保証されないってことです。
でも、私たちはそういう時代に生きているわけで、嘆いても仕方がないんです。
「騙されたくない、真実に触れたい」と思うのであれば、より多くの視点と経験をもち、自らが成長していく他ありません。
welq問題から、私は改めて強くそう感じました。
コメント
騙されるか、騙されないか。
大きな問題ですね。
お久しぶりです。猫好きです。
病院実習の後の薬局実習に行ってます。
今回の閉鎖されたサイトも、なんとなくそれらしい記事が書かれているなと
感じていましたが、まさかねって感じです。
情報収集から正確性を求められる立場に立たされるテーマであれば、記事がそのまま
正しい情報として出回る可能性を秘めていますからね。
そういう現状を考えたうえで、きちんと出典などを書いて、信憑性を高めておく
必要があったのではないかと感じています。
医療関係は、そういう立場で物事を考えることが強く求められるのだとすごく感じます。
客観的な情報とすごく主観性の強い情報がごちゃまぜになっているというのが悩ましいところですね。
どんな情報を求めるかは人それぞれであり、発信そのものは規制されるべきではないと思います。
絶対的に正しい情報はそもそもないですし、それぞれの「正義」も異なりますしね。
そういう理解のもとネットの情報をいかに使っていくか?を各々考えていくことが重要だと思います。