質問回答:ミレーナによる副作用について

ミレーナ(子宮内黄体ホルモン放出システム)を使用されている方からの質問です。

取り急ぎですが、私の考えとアドバイスをお伝えできればと思います。

(私自身はミレーナ52mgを使用した症例を検討しておりません。もしこの分野に詳しい方がご覧になられたら、ぜひご協力ください!)

不安と質問の内容

51歳女性の方からの質問です。

子宮腺筋症の治療のためにミレーナを装着して1年7ヶ月経ちました。

その間、次第に血圧が上がり(最近の最高値は165−113)、更年期のせいかなと思っていたのですが、先週、ろれつが回らない症状が数秒あり、その後1時間ほど雲の上を歩いているような感覚で、まっすぐ歩くことができませんでした。

メニエールかもと友人に言われ、そうかなのかなと思いながら、いろいろ調べていたら、ミレーナに高血圧、静脈血栓の副作用があると書かれた以下の英語のサイトに行き当たりました。
http://www.webmd.com/drugs/2/drug-20420-1518/mirena-intrauterine/levonorgestrel-releasing-3-year-system—intrauterine/details/list-sideeffects

そこで明後日脳のMRIを撮ってもらう予定なのですが、もし血栓が見つかれば、血栓を溶かす薬を飲むことになるのでしょうか。

その場合、生理中の出血が多くなることが考えられると思うのですが、ミレーナ装着前に一回の生理で500ml程度出血があったので、2倍となると1L、大丈夫かとても不安です。何かアドバイスをいただければありがたいです。

また、血栓症ができやすい状態はいつ頃まで続くのでしょうか。
マイクロ波アブレーションを検討していますが、万が一、子宮穿孔など合併症が出た場合にはな子開腹して宮全摘出手術に移行するとも病院の説明に書かれています。

その場合、血栓を溶かす薬を飲んでいれば、出血が止まらず出血多量で死亡するという危険が伴うということなのでしょうか。わからないことばかりで困っています。よろしくおねがいいたします。

>したがって、一般にエストロゲンの作用は静脈血栓症には促進的に、動脈血栓症には抑制的に働き、プロゲステロンは動脈血栓症に促進的に働くともいえる。

とあるのですが、ミレーナの副作用の中には、静脈血栓、深部静脈血栓などが挙げられています。

ミレーナは、レボノルゲストレルという成分が子宮内に放出されて、プロゲステロン(黄体ホルモン)になる、あるいはそのような働きをすると製薬会社の人に昨日電話で説明を受けたのですが、この場合についてもやはり「動脈血栓症に促進的に働く」ことも考えるべきでしょうか。

どのような薬が今の私の症状に必要なのかがわからず不安です。受診している産婦人科医、内科医、脳外科医(昨日はまさかの問診だけ)、全てミレーナの副作用について何も知識を持たれていませんでした。産婦人科医以外は、ミレーナを飲み薬だと思われていました。

私からの回答

文面からも非常に不安なお気持ちが伝わってきます。

本来であれば、専門医からの助言がほしいところですが、私から少しでも情報の整理にお役に立てればと思い回答致します。

あくまでも、経験の浅い薬剤師の意見だということをご理解いただき、ご覧になってください。

血圧の上昇について

まず、薬の服用中に注意してほしいのが、因果関係について冷静に考えるということです。

ミレーナを服用してから血圧が上がったということですから、ミレーナが血圧に影響を与えた可能性はありそうです。(時系列だけで副作用と決めつけるのは早すぎます。)

そこで、ミレーナの副作用を調べてみると「血圧上昇」というのはそれほど頻度としては多くないようです。(何か間接的な理由で血圧が上がっているのかもしれません。)

脳梗塞の可能性は?

質問のなかで「先週、ろれつが回らない症状が数秒あり、その後1時間ほど雲の上を歩いているような感覚で、まっすぐ歩くことができませんでした。」

この症状で頭に浮かぶのは「脳梗塞」の徴候です。

あとは食事中に箸を落としてしまうとか、口から食べ物をこぼしてしまった、などという症状は注意です。

なおかつホルモン剤を使用している、ということは「血栓」のリスクは否定できません。

また、「脳梗塞の急性期は、脳の血流を維持しようとして、血圧が高くなる場合がある。」という情報も手に入りました。

さきほどの血圧上昇と関連づけることができるかもしれません。

血栓がみつかったら?

明後日MRI検査を受けられるということなので、脳梗塞がもし仮にあるとすれば、発見されるかもしれません。

その後の対応としては、血栓を溶かす、もしくはカテーテルなどで処置が必要な状況であれば、医師の判断で対応していただけると思います。

治療後は抗血栓薬や抗凝固薬とよばれる、血管の詰まりを予防する薬を服用してフォローしていくケースが多いです。

質問にもありました「出血のリスク」についてですが、残念ながら「薬の効果の延長線」にある症状なので注意していだたかなくてはいけません。

生理での出血量への影響に関しては明言はできませんが、理屈上は出血が多くなってしまう可能性があります。

そのあたりは経験のある医師と事前に相談して、必要であれば開始時は入院にて対応いただき、効果が安定した後に自宅療養となるかもしれません。

ミレーナの効果の持続期間について

ミレーナの添付文書(薬の説明書)には「本剤除去後は,血清中レボノルゲストレル濃度は速やかに低下し, 7 日後には血清中に検出されない。」とあります。

もちろん、これはミレーナからのホルモン成分が体から抜ける目安であって、長期間使用していた影響が、中止後のどの程度残るかについてお答えできるものではありません。

が、ミレーナの成分自体は使用中止後にすぐに身体から消失するということですから、早い段階血栓リスクは健常人に近づいていくものと考えてよいと思います。

ミレーナの効果について

記事に書いていたのは、各女性ホルモンの効果の一部分的なものであって、実際に体のなかでは、他の要因が無数に関係していて出血や止血のバランスを保っています。

不安な気持ちから、専門的なところまでお調べになりたくなる気持ちはよく分かります。(私自身も気になったら、とことん調べたくなるほうなので・・・)

ですが、現時点ではそれらの細かな作用や専門的な知識は、質問者様の「考えること」や「不安要素」を増やしてしまいかねない、と考えます。

まとめると

一番の不安は、いま起こっている症状が脳梗塞の徴候であった場合、完全な血管閉塞により急転してしまう可能性があること。

⇒可能であれば検査までは一人にならず、誰かそばについていてもらい、何か異変があればすぐに救急車を呼べる体制を整えておくこと。

MRIで何らの病変がみつかった場合

⇒それは今悩むことではなく、診断がしっかりとなされてから考えるべき。処方される薬についてもその際に決定し、必要な対応も異なってきます。

ミレーナの使用について

⇒検査後、リスクとベネフィットを考慮して継続可否を検討していくはずです。

以上、取り急ぎではありましたが、何らかのお助けになれば幸いです。

見当違いのことを言っているかもしれませんので、読者の方でご指摘やご助言などありましたら、宜しくお願いします。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク