鉄欠乏性貧血と検査項目について簡単解説!

<血球検査の主な検査項目8つ>

ヘモグロビン(Hb)
(11.2~15.2g/dL)
血色素:肺で酸素を受け取り、身体中の組織に酸素を運ぶ

ヘマトクリット(Ht)
(34.3~45.2%)
血液の中で赤血球が占める割合(%)

MCV
(376~516×10^4/μL)
赤血球の大きさ(平均の容積)

MCH
(26.4~34.3pg)
赤血球1個当たりのヘモグロビン含有量

MCHC
(31.3~36.1%)
赤血球1個当たりのヘモグロビン濃度

白血球数(WBC)
(3500~9700/μL)

血小板数(Plt)
(14.0~37.9×10^4/μL)

この中で鉄欠乏性貧血では、
赤血球が小さいという特徴があるので、
MCVが低くなる特徴があります。

MCVが80未満になることが多く、
「小球性貧血」と呼ばれます。

2次検査では、血清鉄(Fe)、
フェリチン、総鉄結合能(TIBC)などを
測定して確認します。

◆鉄欠乏性貧血の特徴◆

・貧血の中で最も頻度が高く、特に女性に多い

・女性の約10%にみられ、貧血のない鉄欠乏状態なら約40%にみられる

・検査で明らかな鉄欠乏性貧血を示していてもほとんど無症状の人が多い

・鉄剤内服治療後、貧血が改善してはじめて「だるさや階段をのぼるときの息切れ」があったことに気づくことも多い

◆鉄欠乏性貧血の原因◆

・女性では過多月経、子宮筋腫などが大部分を占める

・男性や閉経後の女性の場合は消化管からの出血がほとんど

・特に高齢者は貧血をきっかけに胃がん・大腸がんが発見されることもある

・痔からの出血も原因になっていることがある

◆体の中にある鉄◆

・鉄の総量は男性で約5g、女性で約2gである
※そもそも女性は男性の約半分量しか体内に鉄分をもっていないんですね。
貧血が女性に多いのもうなづけます^^;

・鉄の約3分の2がヘモグロビンの中に含まれ、約4分の1がフェリチンと呼ばれる貯蔵鉄として存在している

・鉄の吸収は主に十二指腸で行われる

・肉や魚などの食物中の鉄が主な吸収源であり、その3~15%吸収される

・鉄の喪失は男性約1mg/日、女性約2mg/日なので、食事中から1日に10~20mgの摂取が必要になる

◆ちょっと専門的に。。。◆

鉄欠乏性貧血では、まず検診で
ヘモグロビン低値、MCV低値が特徴的です。

二次検査では血清鉄の低値よりも
フェリチン低値(<12ng/mL)
総鉄結合能(TIBC)(>360μg/dL)
が特徴的になります。

食事中に含まれる二価鉄(肉や魚に
含まれるヘモグロビンやミオグロビン)は
鉄を含むタンパクが分解を受けた後、
ヘム鉄(ヘムとニ価鉄が結合したもの)として吸収されます。

しかし、大部分(85~97%)は、
吸収されず大腸から便として排泄されます。

ヘモグロビンと結合していない鉄は
二価鉄(Fe2+)として吸収されます。

三価鉄(Fe3+)は、アスコルビン酸(ビタミンC)
の作用を受け、二価鉄に還元されてから吸収されます。

このことから、鉄剤とビタミンC製剤が
併用されることがありますが、
腹痛、悪心、嘔吐などの副作用を強める可能性があるため
最近では併用は推奨されていません。

以上、簡単ではありますが「鉄欠乏性貧血」について説明しました。
お役に立てれば幸いです!

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