<質問者の情報>
・アモキサン
・ジプレキサ
・レキソタン
・メイラックス
・マイスリー
以上の薬を服用していて、
グレープフルーツルビーが好きで毎日PM3時に食べているそうです。
「服薬時間と時間をずらして食べるのは問題ないのでしょうか?それとも、時間は関係なく抗うつ剤を服用中はグレープフルーツは食べないほうがよいのでしょうか?」
という質問です。
では、私なりの回答をしていきます。
まず、グレープフルーツと薬って結構いろんなところで
言われていて、一般の方でも知っていることが多いですね。
そもそも、なぜグレープフルーツが問題になるかというと、
薬の分解を妨げてしまう恐れがあるからです。
つまり薬が効きすぎる、ということです。
簡単なメカニズムを説明すると、
グレープフルーツの成分が消化管に存在する
代謝酵素(薬を分解するタンパク)を阻害する(邪魔する)ことによります。
これにより、本来腸のなかで分解されるはずだった
薬は分解されずに体の中に吸収されてしまいます。
つまり、体の中の薬の量は多くなり効果も強くでるというわけです。
薬と食べ物の飲み合わせは、専門的には
「相互作用」と言いますが、
その強さは薬によって全く違います。
これにはいろんな報告があって、
グレープフルーツジュース200 mL 程度の摂取でも、一部の降圧薬
(フェロジピン、ニソルジピン) の効果が増強されるというデータもあります。
グレープフルーツの薬物に対する相互作用は長く持続し、
長いものでは3~7日間持続すると言われています。
そのため、相互作用の影響をなくするため2、3日は
間隔を空けたほうがよいとの考え方もあるようです。
早速ですが今回の薬の中で、
グレープフルーツの影響を受けやすいのは、
メイラックス、マイスリーかと思います。
グレープフルーツは代謝酵素の一つであるCYP3A4という酵素
を阻害しますが、上の2つの薬はこの酵素の影響を受けやすいです。
ただし、その他の薬に全く影響がないわけではありません。
で、実際にどれくらい影響するの?っていう話ですが
正直なところはっきりとは言えません。
個人差による影響がすごく大きいのです。
「併用してはいけない」など注意書きはありませんので、
あくまで理論的に考えたとき、効果が少し強くでてしまう可能性
があるという話です。
ここからが大切な考え方ですが、
相互作用があるからといって、
それが悪いと決めつけるのはよくないです。
例えばこの方の場合は、
「グレープフルーツを毎日食べる」
という条件のもとで今の薬の効果が得られています。
仮に、いきなりグレープフルーツを食べるのを
やめてしまった場合、薬の効きは悪くなってしまう
可能性は考えられます。
ですから、最終的な答えとしては、
・グレープフルーツを食べることで、現在飲んでいる薬の効果が強くなっている可能性はある。
・ただし、体の状態が落ち着いているのであれば、習慣をすぐに変える必要はない。
・今後、何か薬が追加になったり、体調が安定しないことがあれば、薬の効果を一定に保つためにグレープフルーツは避けた場合がある。
「薬と薬」、「食品と薬」の関係を考えたとき、
必ずそれらは何らかの影響は及ぼしあっています。
そして薬の中には「併用禁忌」、
つまり一緒に服用してはいけない組み合わせがあります。
それらに関しては明確な理由がない限り併用することはできません。
ただそれ以外の場合については、
「リスク」とのバランスで服用することになります。
個々の方に当てはまる確実なデータというのは
どこを探してもみつかりません。
飲んでみないと分からないということがほとんどです。
そういうとき、思考の「可能性」を与えられたらいいなと思います。
以上、ありがとうございました。
コメント
うつ歴7年の中年男性ですが、うつ病の薬とグレープフルーツの相性が悪いとだけ知っていたので、理由もわからず避けていたのですが、貴殿のブログを拝見し、大変良くわかりました。漸く喉のつかえがとれた感じです。
ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
大変嬉しいコメントありがとうございます。
お役に立てて幸いです。
薬については非常に膨大な情報が存在しますが、”程度問題”というのは一般の方にはなかなか理解しにくい部分と思います。それが、長年の悩みのものとなっていることも少なくありません。
また、何かお困りのことなどございましたら、精一杯お応えしますので、コメントお待ちしております!