コンタクトレンズと点眼薬

コンタクトレンズ×点

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「コンタクトをつけたまま点眼していいですか?」
という質問に対してどう答えるか?

詳しくないなら、
「はずしてから使ってください」
といったほうがよさようだ。

その理由は、
1.薬効成分がコンタクトレンズに吸着して、
効果の減弱や増強が起こる。

2.防腐剤などの添加物がコンタクトレンズに吸着して
角膜障害などトラブルを起こす。

3.レンズ自体の変形や着色を起こす。

おおまかにはこの3点である。

そもそも点眼薬は、
コンタクトをつけていない状態を想定されており、
つけながら点眼した場合は当然効果は変わってくるだろう。

今回は、2の防腐剤について解説する。

点眼薬に使われている防腐剤は、
下のようなものがあげられる。

・逆性石鹸類
ベンザルコニウム塩化物

・パラオキシ安息香酸エステル
メチルパラベン
エチルパラベン

・アルコール類
クロロブタノール

・その他
ソルビン酸
デヒドロ酢酸ナトリウム
クロルヘキシジングルコン酸

この中で最も見かけるのが、
「ベンザルコニウム塩化物」だろう。
(塩化ベンザルコニウムとも表記される)

これは、ウェットティッシュなど消毒用製品で
使われる薬品である。

ちょっと専門的だが構造式を挙げておく。
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 逆性石鹸と言われる所以は、
プラス(N+のところ)に荷電しているからだ。
一般的な石鹸はマイナスに荷電しているのでその逆だ。

これが細菌に対して効果を発揮するのだが、
・細胞膜のタンパク質を変性させる。
・酵素系タンパクを変性させる。
・陽イオンが微生物内に侵入して、必須イオンを追い出す。
など様々なメカニズムが考えられている。

濃度で言うとコンタクトレンズ用液は、
防腐剤として0.002%~0.01%のベンザルコニウム塩化物を含んでいる。

一方で,、0.04%~0.05%程度になると
角膜上皮障害を引き起こしやすいと言われている。

つまり5~10倍程度に濃縮されると、
目にダメージが出てくる危険があるということだ。

数回の使用ではそれほど濃縮されることは考えにくいが、
使い捨てでないソフトコンタクトレンズなどでは、
継続的な点眼で、徐々に蓄積していく可能性はある。

★対策★
基本的にはコンタクトレンズを外して点眼し、
その後は5分以上、できれば15分以上経ってから
コンタクトレンズを装着するようにする。

防腐剤が含まれていないもの、
吸着防止剤が入っているものでは、
コンタクトレンズを装着したまま点眼できるものもある。

点眼薬には、緩衝剤、等張化剤、pH調整剤など
製剤としての安全性や安定性を保つための
必要な添加物が加えられている。

ベンザルコニウム塩化物も、防腐剤としてだけでなく、
可溶化剤(界面活性作用による)としての働きや
薬物の角膜透過性を高める作用もしている。

必要なものが絶妙なバランスで配合されているわけだ。

しっかり練られたものを、「正しい方法で」使うことで
本当の効果が得られるのである。

一方で、今は技術が進んで、
フィルターを使って微生物の侵入を防ぐものや
防腐剤フリーでも安定性を得られるように工夫されたもの
も出てきているようだ。

おまけ~ハードコンタクトレンズではOK?~

ソフトコンタクトレンズはだめだけど、
ハードでは大丈夫!という話を耳にする。

しかし、ハードコンタクトレンズにも種類があり、
PMMA-HCL(酸素非透過性コンタクトレンズ)
RGPCL(酸素透過性コンタクトレンズ)があるのだ。

酸素透過性コンタクトレンズの中には
ソフトコンタクトレンズに近い素材を使っているものがあるため、
やはり、外してから点眼する必要がある。

目には酸素透過性の方がやさしいため、
近年では、こちらのタイプを使っている場合が多いので
注意が必要だろう。

最後に。。。
「目薬を使う状態=目が風邪を引いている」のだから、
その時だけでも眼鏡を使ってあげてはいかがでしょう?
ということで話を終わろうと思う。

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