ドラール×食後
薬の飲むタイミングというテーマも
薬剤師が注意していきたいところですね。
多くの薬は「食後服用」となっていますが、
その理由は吟味されていないことも多いです。
しかし、まれに「食前」や「空腹時」
でなければいけない薬もあります。
それには基本的に規則性はないので、
個々の薬剤について知る必要があります。
そして、本題。
食後に飲んでいけない睡眠薬ですが、
それは「ドラール」です。
一般名:クアゼパム
それはなぜか?
”作用が増強するから”
です。
ベンゼン環、おまけにイオン化しにくそうですね。
脂溶性が高い薬です。
つまり、食後に服用すると、
胃の中に残留している食品中の
脂質や胆汁酸により吸収性が高まります。
臨床試験では、食後30分投与と
絶食下投与とを比較した場合、
食後30分の方が最高血中濃度、AUC
ともに2~3倍になったと報告されています。
一般的には、就寝前に服用するので問題に
ならないこともありますが、夜食を食べる人では
注意が必要になりますね。
せっかくなのでドラールの簡単な特徴についても。
半減期が約36時間の長時間作用型の
ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
ω1受容体に選択的で筋弛緩作用や
ふらつきが比較的少ない薬剤と言われています。
しかし、上で説明したように食後の服用で
呼吸抑制や過度の鎮静など起こる可能性も
あるため注意が必要です。
こういった長時間作用型の睡眠薬
を中止する場合にはポイントがあります。
ドラールのような長時間作用型の睡眠薬では
急激な中止により、不安・焦燥感などの退薬症状や
休薬後に不眠が強くなる反跳性不眠が起きやすいです。
ですので、もし中止していく場合は、
服用間隔を徐々に延ばしていく方法が
使われることが多いです。
一方でマイスリー、ハルシオンなどの
短時間型の睡眠薬では、徐々に服用量を減らしていく
(漸減)方法が使われます。
ちょっと脱線してしまいましたがまとめです!
食後に飲むのか?
食前に飲むのか?
これって意外に深いテーマです。
それがどういうメカニズムで、
薬の効果にどう影響するのか?
興味深い内容ですね^^