カフェインを含む食品って結構あるし、コーヒー、お茶など普段から口にする機会も少なくないですよね。
「薬との飲み合わせは大丈夫かな?」
「薬にどんな影響があるのだろう?」
きっとそんな疑問をもつ方もいることでしょう。実際に、カフェインは全身で作用を発揮するため、薬への影響も多く報告されています。
今回は「カフェインと薬の相互作用」についてまとめていきます!
目次
カフェインを含むものは?
コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、ココア、コーヒー、玄米茶、栄養ドリンク、総合感冒薬など
ただし、麦茶と杜仲茶(トチュウチャ)はカフェインを含みません!
カフェインは構造上、キサンチン系(テオフィリン、テオブロミン(カカオの苦味成分)、アミノフィリンなど)に分類されます。
カフェインと薬と相互作用
では、実際にカフェインとの相互作用が考えられる薬剤をみていきましょう。
相互作用の原因になるカフェインの主な特徴は、次の5つです。
・アデノシン拮抗作用
・CYP1A2、キサンチンオキシダーゼを介した代謝機構
・胃酸分泌促進作用
・中枢興奮作用
・c-AMP上昇による心筋の機能亢進、気管支拡張作用
1.麦角系薬(エルゴタミン製剤)
カフェインとエルゴタミンの複合体形成またはカフェインによりエルゴタミンの溶解性が上昇する。
結果、エルゴタミンの薬効増強に加え、カフェイン自体の血管収縮作用により相加効果もあり。
2.CYP1A2で代謝される薬剤
テオフィリン(テオドール)、チザニジン(テルネリン)、メキシレチン(メキシチール)、ラメルテオン(ロゼレム)、ロピニロール(レキップ)、ゾルミトリプタン(ゾーミック)、リルゾール(リルテック)など
CYP1A2の競合拮抗によりお互いの効果が増強する。各薬剤の薬理作用の延長による副作用がでやすくなる。
3.CYP1A2阻害作用のある薬剤
キノロン系抗生剤、SSRIなど
CYP1A2によるカフェインの代謝が抑制され、血中濃度が上昇し中枢神経の興奮を起こす可能性あり。
4.キサンチンオキシダーゼ(XOD)阻害薬
アロプリノール(ザイロリック)、フェブキソスタット(フェブリク)など
カフェインはキサンチン系であることから、XODにより代謝を受ける。
「プリン体⇒ヒポキサンチン⇒キサンチン⇒尿酸」の過程において、XODはヒポキサンチンから尿酸になる2段階の反応を担当している。
上記の薬剤は、XODを阻害することで尿酸の生成を抑えるが、カフェインの代謝も抑えるため血中濃度が上昇する可能性がある。
5.中枢神経興奮薬
キサンチン系薬、マジンドール(サノレックス:食欲抑制薬)、メチルフェニデート(リタリン)、ペモリン(ベタナミン)など
また、抗パーキンソン薬、抗精神薬、抗うつ薬も中枢神経興奮作用を呈することがあるので注意。
カフェインも中枢神経興奮作用を有しており、これらの薬剤により増強するおそれがある。
6.β刺激薬、テオフィリンなどの気管支拡張薬、ジギタリス製剤
カフェインの気管支拡張作用と協力、c-AMP上昇(β作用)に起因する心機能亢進、振戦、高血糖、低K血症などが起こる可能性あり。
カフェインは強心・利尿作用があり、低K血症を引きおこすことがあり、ジギタリス中毒誘発に注意が必要。
7.NSAIDs
中等量のカフェインは胃酸とペプシンの分泌を促進するため、NSAIDsの胃腸障害を誘発する可能性がある。
一方で、カフェインには消炎鎮痛薬の有効率を1.4倍上昇させるというデータがある。ゆえに、総合感冒薬には「無水カフェイン」が含まれているものが多い。
8.マクロライド系薬、ベンジルペニシリン(バイシリン)、アンピシリン(ビクシリンDS)
カフェインの胃酸分泌促進作用により、消化管内のpHが低下する。酸による分解を受けやすい薬は、その分解が促進され効果が低下する可能性がある。
ちなみにマクロライド系のドライシロップ(DS)などは、口腔内で苦味が生じるので酸性飲料での服用は避ける!
9.ジピリダモール、アデノシン注(心疾患診断補助薬)
カフェインはアデノシン受容体に結合して拮抗阻害する効果がある。
ジピリダモールは血中アデノシン濃度の増加による血管拡張を引きおこすが、カフェインによる拮抗を受けて効果が減弱する。
同様に、アデノシン注による診断にも影響するため、カフェイン摂取後は12時間以上は空けて検査をする必要がある。
10.ハロゲン吸入麻酔薬、甲状腺ホルモン製剤
カフェインとの併用で、心筋のカテコールアミン感受性が高まり不整脈を引きおこすことがある。
ハロゲン吸入麻酔薬(ハロタン)とキサンチン系との併用は禁忌になっています。
まとめ
以上、カフェインと相互作用を起こす主な薬剤について列挙しましたが、この他にも相互作用を起こす薬剤は数多くあります。
当然、カフェインの摂取量や個人差も大きいですが、薬学的に理論上起こりうるものを例にあげてご紹介しました。
食品だけから大量のカフェインを摂取することはまれなケースかもしれません。
しかし、気管支喘息の治療などでキサンチン系の薬剤を服用している患者さんは少なくありません。
「薬の構造」が似ていれば、同じ相互作用を起こす可能性はあると考えて予測していくことも重要ですね。
コメント
初めまして。
いつも分りやすいなと思っています!
最近ずっと避けていた生薬の勉強をしています。
なるべく理解して覚えるということを心掛けているのですが、シキミ酸経路などの反応経路はやはり理解というよりも暗記なのでしょうか?
ゴロを作るしかないかなと思ってしまうほど覚えづらく、苦戦しています。
何か良い勉強方法がありましたら、教えていただけると嬉しいです!
>愛理さんへ
はじめまして、コメントありがとうございます!
生薬はどちらかというと、「暗記」の要素が強いかなって思います。
各経路のつながりなんかは、理解して繋げることもできますが、どの成分がどの経路で合成されるか?はやはり暗記になってしまうと思います。
各経路からできあがる構造は特徴的なものも多いので、生薬成分とそれらをセットにして覚えていくことも大切だと思います。
あと、「構造式」の覚え方ですが、構造の全体の見た目や一部分を「何か身のまわりのもの」に例えてゴロにするっていうことも覚えやすいなって感じましたね^^
植物の科名とか有効成分なんかは、覚えにくいものはゴロに頼ったほうが効率的だし、忘れたときのためにも確実かなと思います!
植物自体と有効成分に馴染みがある場合(メントールとか)は、そのままでもイメージしやすいかと思います。
ネット検索してもらうと、生薬のゴロとかはでてきますので使ってみるといいかもしれません^^
最終的には、問題をみながら繰り返し確認していく感じです(笑
でも、普段からたまーに生薬の問題に触れておくと、脳みそも慣れてくるので苦手意識も少しずつ薄れていくと思います。頑張ってください!
お返事ありがとうございます!
やはり暗記になってしまいますよね(>__<)
なぜか途中できれてしまいました(>__<)
何回もすみません。送信おしても途中できれてしまって。また改めてコメントさせていただきます。本当にありがとうございました!
こちらこそご迷惑をおかけしましたm(_ _)m
サイトの不調ですかね(^^;
生薬は、なかなかの鬼門ですよね(苦笑
これからも勉強頑張ってください!