チアゾリジン薬「アクトス(ピオグリタゾン®)」の作用機序は?

actos
今回はインスリン抵抗性改善薬について
改めて復習してみたいと思います。
チアゾリジン薬(TZD薬)の作用機序についてです。

SU薬などと比べてイマイチ機序が
すっきりしないなあと大学で勉強していた
ときに思っていました。

なので、一度分かりやすく
まとめておこうと思います。
興味のある方はどうぞ!

◆チアゾリジン薬のターゲットは?

まずTZD薬はどんなターゲットに作用するのか?
というと主に脂肪細胞に存在するPPARγ
という受容体に結合します。

PPARγは、脂肪細胞の分化に重要な役割を担っていて、
活性化することで脂肪細胞の分化が促進されます。

「分化」を調べてみると、
”特殊化していない細胞が
より特殊化したタイプの細胞に変化するプロセス”
などと書いてあります。

身近なイメージで言うと、
普通科の高校生が専門学校を卒業して
特殊な技能やスキルを身につけて社会にでる
みたいな感じですかね(笑

では、なぜ脂肪細胞の分化促進により、
インスリン抵抗性が改善するのかということです。

「脂肪細胞」の基本的な役割は、
脂肪としてエネルギーを蓄えることです。

しかし、昨今の研究で脂肪細胞は、
単にエネルギーを貯蓄するだけでなく、
様々な生理活性物質(ホルモン)を分泌していることが分かってきました。

脂肪細胞には大きく2種類に分類されます。
中性脂肪を多く貯めこんで肥大した細胞と
中性脂肪の少ない小型の細胞です。

また、脂肪細胞から分泌されるホルモンを
総称して「アディポサイトカイン」といいますが、
コレステロールと同じように「善玉」と「悪玉」が存在しています。

肥大した脂肪細胞
⇒「悪玉アディポサイトカイン」
小型の脂肪細胞
⇒「善玉アディポサイトカイン」
が分泌されます。

善玉アディポサイトカインを
別名でアディポネクチンと呼びます。

アディポネクチンは、
インスリンの働きを活性化させて、
筋肉や肝臓での糖代謝を促進します。

逆に、悪玉アディポサイトカイン(レジスチン、TNF-αなど)は、
インスリンの感受性を弱めて、糖代謝を阻害します。

正常な状態では
善玉と悪玉のアディポサイトカインの分泌は
バランスがとられています。

しかし、肥満などにより
内臓の脂肪細胞が肥大した状態になると、
悪玉アディポサイトカインの方にバランスが偏ってきます。

つまり、インスリン抵抗性を引き起こし、
これが糖尿病を発症させる一因になっています。

また、善玉アディポサイトカインは、
・血管を拡張して血圧の上昇を抑える作用
・傷ついた血管を修復する作用
も持っているため、その減少により高血圧や脂質異常症、
動脈硬化なども進行すると考えられています。

TZD薬は、脂肪細胞に存在するPPARγに作用して
肥大した脂肪細胞を小型の脂肪細胞に分化させ、
小型の脂肪細胞を増やす方向に働くわけです。

その結果、善玉アディポサイトカインを増加させ、
悪玉アディポサイトカインの過剰分泌を抑制し、
インスリン抵抗性を改善します。

身体全体でみると、
肝臓からのブドウ糖の放出は抑制されて、
筋肉へのブドウ糖の取り込みを促進させ血糖値を下げるというわけです。

◆チアゾリジン薬の副作用は?

TZD薬の代表的な副作用には、
肝機能障害、浮腫、急激な体重増加などが挙げられます。
では、少し詳しくみていきましょう。

まず肝機能障害について。
TZD薬は主に肝臓で代謝されるため、
肝臓のはたらきが低下している患者が
服用した場合、肝障害に発展する場合があります。

具体的には、
AST(GOT)、ALT(GPT)、ALP、γ-GTP
といった肝機能検査値が上昇する可能性があります。

ちなみに、最初に発売されたTZD薬は
トログリタゾン(ノスカール®)という薬でした。
しかし、この薬は重篤な肝障害により発売中止となりました。

現在(H26.1時点で)、
日本で承認され販売されているTZD薬は、
ピオグリタゾン(アクトス®)のみです。

アクトスもノスカールも同じTZD薬に分類され、
アクトスにも同様の肝障害が懸念されましたが、
市販後調査より肝機能障害の発症率は低いことが確認されています。

つぎに浮腫について。
「浮腫」とは顔や手足などが
体内の水分によりむくんでいる状態で
高度に進行すると、指で押した跡が残るようになります。

TZD薬でなぜ浮腫が起こりやすいのか?
というと、腎臓でのインスリン感受性の増強により、
水分を尿として体外に出にくくするようにはたらき、
体内の血液量(循環血漿量)が増加するためと考えられています。

循環血漿量の増加は心臓に負担をかけてしまうため、
心臓に疾患のある方には特に注意が必要で、
心不全の方は服用できません。

また浮腫は男性よりも女性に多く、
男性の約3倍の発現率と報告されています。

3つ目、急激な体重増加について。
TZD薬によって脂肪細胞の分化が促進され、
小型の脂肪細胞の数が増えると説明しました。

「小型」と言えども
脂肪細胞の数が増えるということなので、
過食や運動不足が加わると。。。

小型脂肪細胞に脂肪分が蓄えられて
肥大した大型脂肪細胞になり、体重が増加することがあります。
浮腫によっても体内の水分が増えることにより、
その分体重も増えることも考えられます。

このように、TZD薬の服用によって
肥満になりやすい状態になり、
服用前よりも肥満が進行してしまうリスクもあります。

それでは薬が逆効果になってしまうので、
定期的な体重測定と食事・運動療法の徹底も
必要ということです。

◆副作用のまとめ◆

☆顔や手足がむくむ、急激に体重が増えた、
心臓がドキドキする、息切れがするなどの症状に注意する!

☆特に心臓に疾患のある人、高齢者・女性は、
体調経過を十分に観察しながら慎重に服用する!

以上、TZD薬の作用メカニズムについてまとめてみました。
薬の作用機序を学ぶことで
肥満と糖尿病は別個のものではなく、
密接に関わっていることが分かりますよね。

では、最後までお読みいただきありがとうございました!

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