アトピー性皮膚炎(AD)の治療はあくまでステロイド外用剤の十分な塗布が重要です。
しかし、顔面についてはステロイド外用剤の吸収率が高いことが知られています。
よって、基本的にはミディアムクラス以下(ランクについてはこちら)を用いますが、その場合でも1日2回の使用は2週間にとどめ、以後は間欠投与に移行して休薬期間を設けることが推奨されています。
このように、顔面へのステロイド剤の使用は制限があるため、治療が不十分になり、かゆみを紛らわせるために頻繁に眼をこすったり叩いたりして網膜剥離や白内障を合併するケースがありました。
ここで、登場したのが
タクロリムス軟膏(商品名:プロトピック軟膏)です。
もともと、自己免疫性疾患や臓器移植後の拒絶反応を抑えるために使われていた薬ですが、AD治療の外用剤として使用できるようになりました。
抗炎症作用の効果はストロングクラスのステロイド剤に匹敵します。
それでいて、皮膚萎縮、毛細血管拡張、眼圧の上昇などステロイド剤で問題となる副作用もほとんどきたさないことで使用しやすい外用剤です。
さらに。。。
アトピー部の皮膚に効果的に浸透することが知られています。
分子量が約800ダルトンと大きいため、バリア機能が低下したADの皮膚には浸透して効果を発揮しますが、正常な皮膚にはほとんど浸透しないことが挙げられます。
このような理由から、使い始めにはヒリヒリ感を感じることがありますが、3日から1週間程度使用することで落ち着くことが多いです。
アトピー性皮膚炎の治療の選択肢は広がっていて、適切な量の外用剤によってほとんどの症状はコントロールできます。正しい知識のもと治療すれば必ずよくなりますのであきらめないでください!