コエンザイムQ10とスタチン系薬剤の関係とは!?

コエンザイムQ10(CoQ10)って?

1957年に初めてウシ心筋ミトコンドリアから
単離された脂溶性のビタミン様物質である。

ミトコンドリア内膜やミクロゾーム-ゴルジ体で
生合成され、食品中の肉類、魚肉類、植物油にも含まれる。

医薬品としてはというと、
うっ血性心不全の症状を改善する代謝性強心剤
ノイキノン(ユビデカレノン)がそれにあたる。

※ただし、心不全に対する効果は疑問視されており、昔ほどは使用されなくなってきている。
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91年からはスイッチOTC(ユビテンSなど)としても販売されている。
2001年からは欧米での使用経験や安全性などからサプリメントとしても利用が可能になっている。

CoQ10のつの作用

1.エネルギー産生賦活作用
細胞はエネルギー貯蔵物質として
ATP(アデノシン三リン酸)を産生するが、
その際ATP合成酵素が機能するためにCoQ10は不可欠な補酵素である。
※ミトコンドリアの電子伝達系で必要だったはず!

2.強力な抗酸化作用
ビタミンEなどほかの抗酸化物質とともに抗酸化作用を強化し合うと考えられている。

加齢とともに。。。

CoQ10の生成量は20歳をピークに
加齢に伴って減少してしまう。
食事から摂取できるCoQ10量はせいぜい1日5~10mg程度。

CoQ10が不足すると、
多くのエネルギーを消費する心臓や肝臓、
腎臓、筋肉などが影響を受け、「疲れやすい」「手足がむくむ」などの症状が出るといわれている。

スタチンはCoQを減少させる!?

最近、HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)
の服用によってCoQ10の生成量が低下することが指摘されている。

なぜ。。。?

スタチンの作用機序は、
HMG-CoAからメバロン酸の合成を阻害し
コレステロールの産生を抑制するというものだった。

メバロン酸はというとCoQ10の前駆物質なのだ。
つまりコレステロール産生を抑制するけど、
CoQ10の産生も抑制してしまうのだ。

実際に4~24週間のスタチンの投与で、
CoQ10量が投与前に比べて約26~50%減少したなどの報告がある。

さらに、スタチンによる横紋筋融解症と
CoQ10の減少との関連も現在研究中である。

そのため、欧米ではスタチンを投与する際、
CoQ10生成量の減少を補うために
CoQ10サプリメントの併用が積極的に行われる場合もあるそうだ。

サプリメントとしてCoQ10を摂取する場合の目安・・・1日30mg~100mg。
CoQ10は重大な副作用の報告がなく、
1日1200mgという高用量の摂取でも目立った副作用がみられていないとのこと。

ただし、CoQ10の服用により、
収縮期血圧が25.9mgHg低下したとの報告があり、
降圧剤との併用は注意が必要かもしれない。
軽度の副作用としては0.39%に胃の不調、0.23%に食欲不振がある。

簡単ではあるけど、CoQ10整理できたかなと。
こういう系統の薬はなんとなくで理解していることが
少なくないと思うので、たまに勉強してみるとおもしろいと思います。

参考
医薬ジャーナル 2004;40(7)
クリニカルプラクティス 2004;23(6)
国立健康栄養研究所ホームページ

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コメント

  1. よーだみっち より:

    はじめまして。糖尿病専門医である内科医師のクリニックで、患者さんの食事指導を担当している管理栄養士です。
    脂質異常症の患者さんは、医師からスタチン系薬剤を処方されている方が多いので、この手の質問はとても多いですね。
    CoQ10とスタチンの関係、なるほど、その可能性があるのか…と納得。

    ただ、加齢や運動不足、栄養失調ほかで、筋肉組織が減っていたり、細胞内のミトコンドリア数が減っていたら…サプリメントで入れても効果は出ない気がしますが、いかがでしょうか。受け皿がないのに、ミルクを入れてもこぼれる…みたいな。

    • しゅがあ より:

      >よーだみっち さん
      はじめまして!コメントいただきありがとうございます。

      患者さんの中でも、そのように勉強なさっている方多いんですね^^関心があるということは素晴らしいと思います!

      ちょっとスタチンとCoQ10との関係についてみていたんですが、また分かってきたことがあります。

      まずは、スタチンによるCoQ10の低下そのものが、「実際の副作用」としてみられるケースは多くないのでは?ということです。

      ある記事では、合剤の開発も検討されていたようですが実用性の面から中止された経緯があるようです。

      実際に、スタチンを服用されている患者さんは非常に多いですが、長期服用されている方でも自覚的な異常ってほとんど聞いたことありません。

      あと薬学的な観点からいうと、「薬の作用時間」というのも問題があるのかもしれません。スタチン系にはストロングスタチンと分類されているものがあり、それらは半減期(≒薬の作用時間)が長い傾向があります。

      ラットの実験ですが、ストロングスタチンの方が筋肉への負担が大きいというデータもあるようです^^

      筋肉(ミトコンドリア)には回復能力みたいなものがあり、短時間の障害であれば耐えられる、みたいな。。。蛇足かもしれませんが!

      あとご指摘の、細胞内のミトコンドリアが減ってしまったら・・・
      ということに関してですが、筋組織そのものが破壊されてしまってからではCoQ10の補給は意味をなさないと思います。

      ただ、CoQ10不足が筋肉細胞の負担に繋がるということであれば、それを事前に補給していく、というのは必ずしも無意味ではないかもしれません^^

      あともし差し支えなければ質問です!食事でCoQ10を多く含むものというと、どのようなものをアドバイスされているのでしょうか?

      総合的な栄養バランスを考慮したうえで、CoQ10もとっていくことはできそうでしょうか^^?

      もしよかったら教えてもらえると嬉しいです!