現在、薬理学勉強中の学生です。
理解不足を補うため、拝見しました。
教えて頂きたいのですが、ロキソニンの投与方法で60mgを一日3回とあります。
何故、1日3回なのかについて聞きたいです。
自分の理解では、薬剤添付文書にのっているロキソニンのAUCをみると、6時間で殆ど血中から排泄されるためと理解しています。しかし、添付文書では数字として記載されておらず、AUCのグラフをみた解釈です。その解釈でよいのでしょうか?また、T1/2が1.22と記載ありましたので、約1時間半経てば効果が無くなる計算なので、痛みがあれば2~3時間経過したときに内服してはいけないですか??
みい さん、ご質問ありがとうございます!
答え、とはならないかもしれませんが、
僕の考えを書いていきますね。参考程度に!
まず、薬の用法には、1日2回や3回といろいろ飲み方がありますよね?
これって、何か厳密な法則があるかといわれると、「ない」と思います。
例えば、半減期が2時間のものは3回とか、5時間以上は1回とか。
ただ傾向として、
1日3回服用する薬の半減期は数時間と短いことが多いですよね。
みいさんのおっしゃるように、
”ロキソニンのAUCをみると、6時間で殆ど血中から排泄されるためと理解しています。”
というのはその通りだと思います。
「健常人」を対象してみたとき、
ロキソニンは服用後、6時間程度でだいたい体からなくなるということですね。
でも腎機能の悪い方などでは、これが延長することになりますから、このデータはあくまで参考ということでもありますが^^
これを踏まえて、6時間程度間隔をあければ、
つまり1日3回程度の服用であれば、
理論上、蓄積することはありません。
ロキソニンのインタビューフォーム
にもそのように書いてあります。
⇒インタビューフォームへ
話は変わりますが、
そもそも「薬が効く」ってどういうことでしょうか?
薬物動態学というのは、
コンパートモデルという非常に簡単なモデル
を使って「人の体内」を考えています。
⇒コンパートメントモデルの復習はこちら
これは、あくまで
ものすごーくざっくりしたモデルで
基本的に血中濃度を追っていくというものです。
AUCにしても
クリアランスにしても、
すべて”血中濃度”を使っている訳です。
で、果たしてこれで
薬効を考えるのに十分なのか、
といわれるとどうでしょう?
薬は血中にあるだけで、
効果を発揮するわけではありません。
それぞれの受容体にくっついて、はじめて効果を発揮します。
血中のなかをふらふら~っと
浮いているだけでは、
ただのゴミですよね(笑
そこで「薬理」「有機化学」「物理」の出番なわけです。
薬と受容体の結合率や親和性、
膜透過性、pHなど非常に複雑な問題になります。
そして、それらはすべて
「薬によって異なる」わけです。
なので、本質的には、
「血中濃度」だけでそれぞれの
薬の用法や強度を比較することはできないわけです。
なので、
この薬はなぜ1日1回なのに
あの薬はなぜ1日3回なの?
という答えは、薬物動態学だけでは説明できないと思います。
あくまで、薬の用法というのは、
「連続して投与したときに、有害な蓄積性がなく
最大限の効果を発揮する最少量を設定した」ということでしょう。
それを臨床試験で調べて
申請し、用法・適応を取得したということだと思います。
分かりやすくいうと、
実際に1日2回服用と3回服用を比べてみて、
効果は同じだったら1日2回でいいよね!って感じですね^^
で、最後、話を戻して、
ロキソニンは2.3時間で飲んでもいいのでは?
という質問がありましたが、僕は特に問題ないと思います。
「投与間隔 / 半減期 ≦ 3」の法則で、
ある程度血中濃度は高くなると思いますが、
常用量でそれほど問題になる高濃度にはならないと思います。
本当は一定の鎮痛効果を得るには、
「点滴静注で薬物濃度を常に一定に保つ」
のがベストを思いますが、現実的に不可能ですよね(笑
なので、なるべく日常生活に支障のない範囲で、
有効血中濃度のエリア内に薬物濃度を維持できるように
用法が決められていると思います。
以上、何かの参考になれば幸いです^^
コメント
返事頂き大変ありがとうございます。
薬理の本を読んでも、書いておらず、一日悩んでいました。
とても分かりやすく、かつこんなに早めに返事をいただき、感激すっきり致しました。
ありがとうございました。
こちらこそ、コメントをいただきありがとうございました!
疑問解決とはまではいかなかったかもしれませんが、少しでも参考になればよかったです>< これからも勉強がんばってください!