今年(H29)の3月にあったベンゾジアゼピン系(通称、BZ系薬)の添付文書改訂。
具体的には、催眠鎮静剤、抗不安薬、抗てんかん薬を含む44成分。
簡単にまとめますね。
これまで、これらの薬は「普通に」使う分には依存性も少ないし、安全に使えるよってなことで、内科や整形でもバンバン処方されてきました。
で、処方量が増える一方だし、だんだん効かなくなる(耐性)やら、薬なしには生きられない!(依存)やらを訴える人たちが多くなってきて、これはまずいってなったんですね。(いまさら・・・)
で、今回厚労省から、それに関する注意喚起がでたという経緯でした。
「長期間服用することにより患者に依存を引き起こし、薬剤の中止が困難になること、増量を余儀なくされることが問題と考え、臨床上の使用によっても依存が起こりうる」
⇒連用により薬物依存が生じることがあると指摘し、漫然として継続投与を避けることを明記することにした。
で、さらに・・・
「ベンゾジアゼピン受容体作動薬には、承認用量の範囲内でも長期服用するうちに身体依存が形成されることで、減量や中止時に離脱症状があらわれる特徴がある」
は??
結局やめられないじゃん(笑)
ということで、愚痴を吐きたいと思います。
こんな注意喚起は何の意味もないから!
いつも思うけど、こういうお役所仕事って、添付文書の中身もそうだけど、表現と対策が曖昧すぎるんだよね!
医療の現場では、はっきり線引きできないことがあるし、適用外処方などルールに縛られながらもなんとか保険治療をしているという現状もある。
でも、こういう「ふわっ」とした注意喚起には何の強制力もないし、そんなこと言われなくたって、そもそもみんな分かっていたことでしょ?って。
今さら「睡眠薬って依存性あるかも!?できれば長く使わないようにしてくださいね♪」なーんてぬるい通知を出して、何か変わるとでも思っているのか、と。
本当に減らしたいなら、もっと「具体的な」政策をだせよ!
もっとも絶対的な処方権が医師にあるから、薬局がどうのこうの言われても何の対応もできませんが。
「これからは長期で処方している場合には疑義照会してくださいね!」なんて訳わからない指導しないでくださいね!
そもそも!!処方している医師にペナルティーを科さないと筋違い。
(もちろん依存性や不適切な使用、明らかな副作用がでている場合は、薬局でも医師に連絡するなど対応は必要ですよ)
んでも、こういう睡眠薬や安定剤って、文字通り依存してるから減薬なんて薬局でやろうもんなら患者が来なくなるパターンもあります。
(正直、そこまでして介入するのは会社的に正解とはいえないですし、結局はほかの(物言わぬ)薬局で薬をもらうから意味なし!)
はっきり決めろ!
この問題は、どこかで線引きしないとどうにもならないと思うのですよ。
専門家に対する、曖昧な注意喚起ってなーんの意味もないですからね。
たとえば、
①PPIみたいに処方日数を決める⇒オーバーしたら問答無用で査定(処方元から)
②減薬ガイドラインをつくり、保険医療の場合にはそれに従う。(ある程度の幅は設けるが、逸脱は禁止)
②長期処方の場合には、非薬物療法の義務化を行う。BZ系の処方医には、認定制度を設けて非薬物療法の指導ができる前提で処方資格を与える。
③それでも長期処方でほしい方は全部実費で。
なんていう対策が必要じゃないかと思うのですね。(ちょっと極端なのもありますが)
まずは、処方する時点で「辞める前提」で開始しないと、当たり前に薬物依存者を大量生産してしまうわけです。
この「薬に対する感覚」ってのを、処方する側も使う側もしっかり共有する必要があって、続けていく薬なのか、一時的に使う対処薬なのかってのをもっと深堀していかないといけないですよね。
でも、それってやっぱり処方する医師がしっかりと患者さんに伝えてもらわないと、薬局としてはフォローしにくいし、説得力もないんですよね。
「お薬はどうしても寝られないときに使用してください」
なのか
「毎日、お薬を使用して勝手に減らしたりやめたりしないように」
なのかで、全然意識が違いますし、
もちろん後者であれば、依存したくなくてもそういう身体にさせられてしまいます。
これでは、一時的に眠れても、最終的にその患者さんは不幸になると思うんです。
これまで対応した患者さんのなかには、自分から「薬には依存したくない」と言って眠剤とよい距離を保っている方もいました。
そういう方は、私個人的には素晴らしいと思っています。
眠剤は毎日飲むのがいいなんて、そんなの絶対ありえないですからね(苦笑)(でも、そう言わないといけない現実もあるという。)
毎日飲んでたらどのタイミングで薬から離れるの?って話だし、だいたいの人はずっと処方されていることから、不眠は治ってないっていう証明ですから。
こういうアホみたいな医療のスパイラルをどっかで断ち切らないとどうにもならん!
まぁ、こうやって読んでもらって、自分なりに考えて行動するきっかけになってくれたら、これ幸いです。
医療はうまく利用して、決してカモにはならないように。(裏では、いろんなカラミがありますからね。)
根本的な視点も大切。対処療法的な視点も大切。これらの両輪を上手に使い分けて物事を考えていきたいものです。
西洋医学においては、根本的視点はごっそり抜けています。自分で学んで実践していかないと、現代医療のカモにされるので注意が必要です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
では、また!
コメント
久しぶりに記事を更新されていたようですね。しゅがあさん、ご無沙汰してます。
私も、実習が終わり、新学期を向かえ、来年度に向けて襟を正さないとと感じています。
この度の記事を見て、実習先の精神科門前薬局でも、今回のことについて少し、先生方同士の会話が繰り広げられていました。
そこで、論点にもなっていて、私も、凄く思っている、「多剤併用療法」に話題が逸れたことがありました。今回の記事においても、厚生労働省からの通達がなぜ、薬局にだけ突きつけられるのか、意味が不明でした。
私が疑問視しているのは、今回の記事にもありました、専門外の医師たちにまで
ベンゾジアゼピン系薬物が処方されている現状です。
精神科専門医が出すのなら、致し方ないと感じますし、もし何か問題が起きても
疑義照会を行うことができ、解決が可能になります。
しかし、専門外の医師の場合、万が一問題が起きた時、どう対処すればいいのでしょう。
専門外だから知らないでは、許されないのではないかと感じています。
薬局に通知を出すのは、筋違いであるとも思います。
医師が出した薬なら、最後まで責任を持つこと。
それができないから、薬剤師が、尻拭いをしないといけなくなるのではないか
とも思います。
今回の記事、しゅがあさんの怒りが目の前に迫ってくるような勢いがあり、
大変強く同意しています。
私も、将来薬剤師として、本当に医療のためになる薬剤師になるべく、気を引き締めて
いかないといけないと感じました。
ご無沙汰しています。
>厚生労働省からの通達がなぜ、薬局にだけ突きつけられるのか、意味が不明でした。
薬局だけ、というわけではないんですけどね(苦笑
ただ、医師がいいっていえばオールオッケーというのはなんだか意味がないよなぁと感じているんですね。
薬の用法や用量にしたって、適応と違くても「疑義照会」さえしていればオッケーって、それなんなのさ?って思うわけです。
じゃあそもそもそんなの突っ込んでくるんじゃないよ!って思いませんか?笑
もちろん薬剤師的にいかん!っていうものは止めるべきですが、あらかじめ医師がオッケーしているものや指導でなんとかなるようなことについて、とやかく言ってくるなって思うんですよね。
そんなに「形式的に」直したいなら処方もとに警告したほうがはやくない?と。
今回の件に関しても、何の強制力もないぼや~っとした改定なんで、今日の医療には何のインパクトもないものだろうなぁって個人的には思っているところです(笑)
実習で肌で感じているとは思いますが、医療の現場はこんな感じで謎な状況も多々あります^^;
ラストの1年間、悔いのないように頑張ってくださいね!
実習で鍛えた精神力で、この一年間をものにできるようにしていきたいです。
医療の現場の謎に迫れる医療職になり、職場の環境を変えれるぐらいの薬剤師に
なりたいと思います。
この縁を大事に、今後も頑張ります。
疑義”照会”です。
モイケルさん
ご指摘ありがとうございます。
2箇所、漢字変換ミスをしておりました。
訂正いたしました。