フォルテオ(商品名:テリパラチド)の「パラドックス」とは!?

フォルテオ×パラドックス

2010年10月に発売されたフォルテオ(一般名:テリパラチド)
「骨折の危険性の高い骨粗鬆症」に適応のある自己注射製剤です。

一般的に使用されるビスホスホネート製剤とともに、
最近すごく使用されている薬剤です。

今回は、このテリパラチドのおもしろい性質について
説明していきたいと思います。

今まで使用されていたビスホスホネート製剤が、
「破骨細胞」を抑える効果があるのに対して、
このテリパラチドは「骨芽細胞」を活性化させる効果があります。

つまり、ビスホスホネートは骨が壊れるのを抑えるのに対して、
テリパラチドは骨がつくられるのを促進するわけです。

テリパラチドはもともと体の中にある副甲状腺ホルモン(PTH)
の活性部位(実際に効果を発揮する部分)を抜き出した34個
のアミノ酸からなるペプチドです。
つまり、PTH受容体にアゴニストとして作用します。

「PTHパラドックス」
これがテリバラチドのおもしろい性質です。

PTH製剤を間欠的に投与すると骨形成が亢進し、
骨吸収された分よりも多くの骨が形成されるため、
骨量は増加します。

一方で、持続的に投与すると、骨吸収の亢進が
骨形成を上回り、骨量が減少します、

ラットを用いた実験では、
1日1回投与した場合は骨形成が促進した一方で、
それを6分割して1時間おきに投与した場合は
骨量の減少がみられたのです。

そのような実験結果から
現在の用法は1日1回注射になっています。

そして本題です。
なぜ、フォルテオは2年間という制限が設けられているか?
についてです。

これは、ラットの実験に端を発します。
テリパラチドをラットに2年間皮下投与した癌原性試験
において、骨肉腫の発生が投与期間、投与量に依存して認められたのです。

このため米国では、
一度臨床試験がストップした経緯があります。

しかしその後、ラットとヒトでは骨の生理が異なり
骨肉腫がヒトで発生する可能性は低いという
結論に至り承認されたのです。

ただし、承認の際には投与制限として
「2年間」が設定されたのです。

実際に使用している患者さんからは、
「歩けるようになった!」
「痛みはだいぶ楽になったよ!」
という声もきく機会があります。

確かに費用の面や注射という大変さも
ありますが人によっては高い効果も期待できる
薬だと感じます。

今後も副甲状腺ホルモン製剤は、
使用例が増えていく可能性が高いので
注目していく必要がありますね。

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