アーテン(トリヘキシフェニジル)を正常な人が飲むとどうなるか?

今回はこんな質問をいただきました。

さっそくですが、見ていきましょう。

以前に書いた記事をご覧になって、質問をいただきました。

パーキンソン病のつくり方~ドパミンとアセチルコリンの不思議な関係を探れ!

質問

題名: アーテン について

メッセージ本文:
長い間、探しもとめて やっと こちらのサイトにたどり着きました。
パーキンソン病のつくり方~ドパミンとアセチルコリンの不思議な関係を探れ!を読んで、まさに知りたかった内容でした。
パーキンソン病でない正常の人が誤ってアーテンなどを長期服用すると どのような副作用が出るか知りたいのです。
私の母が苦しんでいて、なんとか協力していただけないかと、ご連絡をされていただきました。宜しくお願い致します。

回答

記事がどのように参考になったか少し不安ですが、どうやらお母様は何らかのお薬を飲んでいて、薬剤性のパーキンソニズムがでてしまったようですね。

それでアーテンが処方されていると。

でも、その症状はあくまで薬剤性のものであって、病気ではないのでは?というのが根本的な思いとしてありそうです。

では、

パーキンソン病でない正常の人が誤ってアーテンなどを長期服用すると・・・

という疑問ですが、

これは簡単にいうと、アーテンの副作用が現れる可能性があります。

さらっと見てもらえるといいのですが、

添付文書にはこう書かれています。

重大な副作用

1. 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
抗精神病薬、抗うつ薬及びドパミン作動系抗パーキンソン病薬との併用において、本剤及び併用薬の減量又は中止により、発熱、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇があらわれることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下があらわれることがある。

2. 精神錯乱、幻覚、せん妄(頻度不明)
精神錯乱、幻覚、せん妄があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量又は休薬するなど適切な処置を行うこと。

3. 閉塞隅角緑内障(頻度不明)
長期投与により閉塞隅角緑内障があらわれることがある。
その他の副作用

以下のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。

1. 精神神経系注1)(頻度不明)
興奮、神経過敏、気分高揚、多幸症、見当識障害、眠気、運動失調、眩暈、頭痛、倦怠感

2. 消化器(頻度不明)
悪心、嘔吐、食欲不振、口渇、便秘

3. 泌尿器(頻度不明)
排尿困難、尿閉

4. 過敏症注2)(頻度不明)
発疹

5. 循環器(頻度不明)
心悸亢進

6. 眼(頻度不明)
調節障害、散瞳

はい、これらの症状たちですね。

基本的に「アセチルコリン」は体全体で働いている物質ですから、当然、体全体に影響がでる危険があるわけですね。

アーテン(トリヘキシフェニジル)は「中枢性抗コリン薬」といわれ、脳内に移行します。(だからこそパーキンソン症状に効果があるわけです)

これは、効果としてみればよい特性ですが、副作用からみるとやっかいな特性です。

「末梢性の抗コリン薬」の副作用に加えて

精神錯乱、幻覚、せん妄、興奮、神経過敏、気分高揚、多幸症、見当識障害、眠気、運動失調、眩暈、頭痛、倦怠感・・・

というように、精神や神経系にも影響がでてくるわけです。

また、以前の記事に書いたように、認知症への影響も心配です。

仮に、健常な人でもアーテンを飲み続けていれば、こういった症状がでてくる恐れがあります。

直接的な回答はここまでとなります。

理屈としてはこうなのですが、

では、質問者様がこれを知ってどう対応していけばいいのでしょうか?

今後の対応

まず、医師にしっかりと気持ちを伝えられるでしょうか?

患者さんのなかには、先生にまったく相談できない、という人がかなりいます。

理由としては、

恐れ多い、先生がこわい、怒られるかも?、見放されるかも?などという懸念。

また、

以前に相談してみたけど、「お前は医者なのか!?」と叱責されてそれ以降は相談できない。

というケースもよく耳にします。

が、本当にそれでいいんでしょうか。

自分で納得さえできればいいと思いますが、モヤモヤしたまま治療を受けるのって嫌じゃないですか?

もしそれで、体調が思わしくなくなったときに後悔しないですか?

何も知らないというのは、ある意味では幸せですが、少なくともネットで自ら情報を探す人はそういう部類の人ではないはずです。

ならば、行動しましょう。

行動しない、相談しない、なら文句はいわないことです。

だって、命を預けるんですよ?信頼がなくて任せられるんですか?

別に見当違いなこと言ったっていいじゃないですか?素人なんだし。

それに対して、専門家として納得できる回答ができないんだったら、その医師は何の根拠も考えもなしに適当に薬選んでるってことですよ?

こわいです。本当に。

で、実際に考えなしにテキトーに薬を選び、処方する医師は、います。

そういう医療の裏側を知って、どう行動するか?です。

話が大きくなりましたが、今回のケースで具体的にすべきことは、お母様の経過をよく思い返し情報を整理することです。

どのタイミングで薬を飲みはじめ、どういった体調変化や症状が現れたのか?

それらを不安な気持ちとともに医師にぶつけてみることです。

その聴き取った情報をどれほど大切にして、患者さんに寄り添って今後の治療戦略を考えていけるのか?、それは医師の度量と力量です。

パーキンソンの原因となっていそうな薬を減らしたり、中止するのか?

または、病状からそれらの薬が必要と判断し、ある程度の副作用を我慢してアーテンをそのまま継続していくのか?量の調整も検討してですね。

現実的にはそういった対応をとっていくはずです。

私が言えるのはそこまでです。

申し訳ありませんが、医師免許がないため、診断も具体的な指示もすることはできません。

いずれも良い方向に向かわれるよう幸運をお祈りしています。

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