基本的なテーマですが、
ちょっとだけ詳しくまとめておきます。
そもそも外用剤は3種類に分類されます。
・油脂性軟膏
・乳剤性軟膏
・水溶性軟膏
このうち一般的に、
油脂性軟膏を「軟膏剤」
乳剤性軟膏を「クリーム剤」
と呼んでいるわけです。
外用剤で最も使う頻度が高いのが、
ステロイド外用剤だと思います。
商品名に「軟膏」がつくものは、ほとんどが
白色ワセリンを基材しています。
この軟膏は適応が広く、
湿潤した病変にも乾燥した病変にも使えます。
また皮膚への刺激が最も少なく、
病変部を保護する効果も期待できます。
ただ欠点もあります。
それは見た目とべたつき感です。
顔面などに塗ると塗布部だけ光ってみえます。
一方、クリーム剤は水成分と油成分を
界面活性剤で混合させた製剤です。
性質的な分類からクリーム剤は2種類に分けられます。
①O/Wタイプ
水成分の中に油成分が細かい粒子として
浮遊しているタイプ
⇒水が主体
②W/Oタイプ
油成分の中に水成分が細かい粒子として
浮遊しているタイプ
⇒油が主体
このうち一般的にクリームと呼ばれる
ものはほとんどが「O/Wタイプ」です。
O/Wタイプはべたつき感が少なく、
塗布時の伸びがよいなど使用感に優れます。
ただし、水泡、膿疱、びらん、潰瘍などの
湿潤した(じゅくじゅくした)病変に使用すると、
界面活性剤や防腐剤などの添加物が刺激
になってしまうことがあります。
さらに、湿潤病変にクリーム剤を塗布すると、
基剤に一度吸収された湿潤液が再び病変部
に移行して症状が悪化することもあります。
一般にクリーム剤は保湿剤としてのイメージが
強いですが、特に冬では乾燥病変への塗布により
「過乾燥」を招くことがあります。
よって、皮膚を乾燥から守る目的で
使用する際はクリーム剤よりも軟膏が
適しています。
以上から、単純に皮膚の保護や病変の治癒
を考えるなら軟膏の方が優秀と言えるでしょう。
ただ、薬は快適に服用・使用できるという
ことも患者さんにとっては重要な問題です。
病変の場所やTPOに適した外用剤を
選びたいものです。
ちなみに。。。
マニアックですがW/Oタイプのクリーム剤は
「ユニバーサルクリーム」というものがあります。
商品名で言うと、
「ネリゾナユニバーサルクリーム」
W/Oタイプは基剤が油性成分中心で、
使用感や適応はO/Wタイプと軟膏剤の
中間に位置します。
以上、少しでもお役に立てれば幸いです!
参考:軟膏治療のポイントと外用剤の問題点・都薬雑誌22