糖尿病が治らない本当の「理由」

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医療に関わる者であれば、一度は疑問に思うこと。

「なぜ、薬を飲んでいるのによくならないんだろう・・・?」

今回は「糖尿病」をテーマに、その理由について考えていきたいと思います。

今後の薬物治療の主役は「薬理学」になる!?

そんな予言も込めてお話したいと思います。

原因を考えることを忘れない

薬が効かない、とすれば、その「原因」があるはずなのです。

何らかの結果には”必ず”原因があります。

ヒトの体の基本的な構造や仕組みは同じなのですから、同じ薬を使って効果が異なる原因があるはずです。

そもそも飲んでいない、飲み方(飲み合わせ)が悪い、体質や病態に合っていない、用量が合っていない・・・などなど原因はいくらでも考えられます。

何となく効かない、は本来あり得ないのです。

そういった観点がなく、薬をどんどん追加・増量されて、結果的にコントロールできていないというケースが非常に多いと感じています。

この状況を打破する一つの方法として考えられるのが、「薬理学」をフル活用する方法です。

今回は糖尿病を例にして考えてみたいと思います。

では、まず現在糖尿病の治療に使われている薬を振り返ってみましょう。

突然ですが、僕は糖尿病の薬って基本的に2種類しかないと考えています。「糖質の吸収を阻害する」か「インスリンの働きを調整する」か、の2通りです。

えっ!?もっと種類あるでしょ?という意見が聞こえてきそうですが、冷静に考えてみていくと、根本的な作用は2種類に絞られるはずです。

そして、現在知られている血糖値を直接的に下げるホルモンは「インスリン」だけです。

つまり、糖尿病治療はインスリンと薬との関係を徹底的に考えていく必要があるのです。

インスリンにすぐに手をつけてはいけない

糖尿病の場合、1型(インスリン依存状態)と2型(インスリン非依存状態)とに大別されますよね。

当然ですが、1型は絶対的なインスリン不足を起こしているわけですから、考える余地なくインスリン製剤を使用するしかありません。

問題は2型の治療です。治療開始時点で「軽度」であるならば、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)から開始というのは、すごく理にかなっていると思います。

それで、コントロールできれば一件落着、めでたし、めでたしです。あとは食事に注意すればいい。

では、それでコントロールできない場合はどうするか?

基本的には、後々のことを考えるとインスリン分泌をいじるようなことは出来る限り避けたいはずです。(理由は後に述べます)

海外では、ビグアナイド(メトグルコ)が推奨されているようです。

ビグアナイドは、肝臓からのグルコース放出抑制、筋肉などのインスリン感受性を高めるという作用ですから、内因性のインスリン分泌には手をつけません。

最近、日本でも高用量で使用できるようになっており、血糖の降下作用としても十分期待できるかと思います。

また、人によってはチアゾリジン(アクトス)が著効する場合もあるようなので、同時に検討するのもいいでしょう。

まずは、このあたりで食事療法も含めてしっかりと治療できるようにもっていくべきです。

そして、最終手段が魔のドーピング剤「インスリン分泌促進薬」です。現在は、この薬をあまりにも安易に使いすぎていると思います。

悪魔のインスリン分泌促進薬

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残念ながら現在の糖尿病治療の中心は、「インスリン分泌を促進させる経口薬」です。具体的には、SU薬、DPP-4阻害薬、グリニド薬ですね。

心の底から思うのですが、これらの薬は最終手段だと捉えるべきです。漫画のヒーローが死にそうになったときに出す必殺技くらいの感覚で使用するべきです。

これらに頼った時点で消耗戦になりますから。どんどん底なし沼にハマっていく可能性だってあります。

ちょっと具体的に説明していきますね。

まず、インスリン分泌促進薬というのは、すべて膵臓のβ細胞を薬で刺激してインスリンを吐き出させる薬です。(それぞれタイミングが違うだけ)

SU薬にいたっては、それが食事など関係なく刺激するわけですから、「もし膵臓が生きていれば」、延々とインスリンが分泌されます。

(だから、空腹時にSU薬を低血糖を起こすのでしたね)

膵臓が生きていれば、と言ったのは、膵臓の細胞が弱っていたり、死んでいたりするとこれらの薬は効かなくなるからです。(二次無効)

グリニド薬も基本は全く同じですが、その作用を短くした分だけ少しは膵臓の負担が少ないようです。

DPP-4阻害薬はインクレチン関連薬であり、食事に応じた(血糖上昇に応じた)作用なので、膵臓の負担は少ないはず。使うタイミングさえよければ効果的かもしれません。

個々のインスリンを調べよ

と、ここから核心の部分です。

これだけ薬があって、なんで血糖コントロール不良の人がこんなに多いのだろう?と疑問に思いませんか?

僕の答えはひとつ。

「インスリンをみていない」

たったこれだけです。

HbA1cだけみて、インスリンをみていない。また、インスリンの効きをみていない。

すごくシンプルじゃないですか?

インスリンがでていないのであれば、膵臓が働いていないんですから、SU薬を飲んだって効かない、もしくは効いても膵臓は確実に消耗していきます。

DPP-4だって、グリニド薬だって基本的には同じですよね。

もし、インスリンが絶対的に不足しているのならインスリンを「補給」すべきですよね。注射だから敷居が高い、という意見もあるかと思いますが、糖尿病をこじらせるよりは、よほどよいと思います。

また、その心理的な抵抗を利用し、注射の導入を匂わすことで治療に積極的に取り組む人も増えることでしょう。

もし、それでも経口薬を使いたいのなら(一時しのぎであることは自明ですが)、「薬を使ったら効果を確認する。効果なければ中止する。」ということを徹底すべきです。

「抗菌薬の感受性検査」のように、「血糖降下薬の感受性検査」をやってから続けるか判断すべきだと思います。

これらの薬を飲んでいて血糖値が下がらないのであれば、「膵臓が疲弊している」か「インスリン抵抗性」になっているか、どちらかしかないのです。

その原因は、インスリン検査をすればすぐにわかるはずです。

インスリンがしっかりでていて、血糖値が下がらないのであればSU薬を飲んだって無駄ですよね。インスリン抵抗性を悪化させるだけです。原因はインスリン分泌ではなく、感受性の方です。

インスリンがでていなくて、SU薬を飲んでも分泌されないのなら、余計にSU薬はやめるべきです。(膵臓の疲弊が進むだけ)

SU薬を飲んでしっかりインスリンが分泌されるようになり、かつ血糖値も顕著に低下したのであれば、「つなぎ」として短期間だけ使用すればよいと思います。

しかし、効果があるにせよ、ないにせよ、インスリン分泌促進薬の長期使用には反対です。薬そのものの性質として、そういう使い方ができるものではないと思います。

少なくとも薬理作用を理解した僕自身はこれらの薬は飲むことはないでしょう。

すべての人に使える確実な方法

実は、血糖値が上がる根本的な原因はすでに分かっています。

「糖質の摂取」

当たり前のことです。

極端な糖質制限をせずとも、少し学んで取り組めば、からだの原理から考えて間違いなくすぐに血糖値は下がります。

血糖値が通常時よりも異常に高くなる、ということは必ずどこかで糖質を摂取しているはずです。まず、それを自覚して一旦止めることです。

(もし糖質を摂取しないで、食後血糖が上がったら、通常の人間ではないということになります。)

しかし、不幸なことにSU薬漬け、インスリン漬けになった人は、おそらくインスリンが働かない体になっているはずです。

膵臓は疲弊し、内因性のインスリン分泌はなくなり、さらにインスリン抵抗性が極限まで高まった状態です。

これは、先天性のものでない限り、自然に起こることはありえません。

薬により、人工的な高インスリン状態に長期間曝された場合に起こることであり、こうなってしまうとかなり治療が難航すると思います。

これが、糖尿病治療において想定される最悪のケースですが、こうなったら食事制限と運動療法をするほかありません。

必要最低限の糖質に抑えながら(原理的には糖質はいらない)、運動によりインスリン抵抗性を改善、さらにインスリン注射により生命を維持していきます。

この方法しか、原理上は治せないでしょう。

そういう危険な状態になる前に、各々が糖尿病の本質を学んで、悪化させないようにしたいものです。

そして、糖尿病の治療を施す側も、ぜひ一旦冷静に考えてみましょうよ、という提案でした。

目新しい薬に次々に飛びついて、併用できるの?できないの?なんて言っている場合ではないでしょ、というお話でした。

あとがき

こういうことを書くと、一面だけをみて物事を判断する人がいるので追伸を。

確かに薬によって、「数値」を維持している人も大勢いることでしょう。その恩恵は否定できないものです。

しかし、特に糖尿病をはじめとする生活習慣病に関しては、薬を飲んでいる状態が正常とは私は思いません。ましてや薬が増えていくのであれば。

これでもまだ「その人が生活を変えないで、薬で維持できているんだからいいだろ!」という方もいます。

それは、人の価値観ですから否定しませんが、人は一人で生きているのではありません。

誰かが体を壊せば、周りの大切な人に負担がかかり、場合によってはその人生を狂わせます。

僕としては、そういう自己中心的な生き方は目指すべきではないと思うのです。

また、それを助長するような医療は決して目指したくはない。

今回のテーマはずっと思っていた内容だったので、ちょっとアツくなりましたが、こんな意見もあるんだな〜くらいにでも感じてもらえると幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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コメント

  1. しろちゃん より:

    今の糖尿病の治療は、今まで通りの食事していいよ、血糖値は薬で下げるからというスタンスです。そして、低血糖になったらブドウ糖、マッチポンプです。患者さんも指導通り、炭水化物60%カロリー制限がんばってもどんどん悪くなり、薬が増えていくという悪循環。
    血糖値を上げるのは糖質のみというシンプルな事実がもっと浸透してほしい。

    • しゅがあ より:

      しろちゃんさんへ

      コメントをいただきありがとうございます。
      まさにおっしゃる通りと思います。そもそもですが「今まで通りの食事」や「生活」が、糖尿病の原因であるのに、それらを何も変えなくてよい、ということが非常に不自然なことであることになぜ気づかないのか、が純粋に疑問です。

      その結果が「現状」ということに、ある意味で納得はできるのですが。
      人に楽をさせる薬=儲かる薬という構図がある以上、仕方のないことかもしれませんが、このままでいいのでしょうか?という問題提起でした(苦笑

  2. ぐっち より:

    初めまして。
    母の病気からいろいろ調べてここに来ました。
    母は何年も前から糖尿病なのですが、最近糖尿病の血糖値数値が下がらず、でも体重が下がり、膵臓の数値がオーバー(よくわからないのですが)してたそうで、来月に検査をするようです。本人は膵臓癌ではないか、と情緒不安定状態です。
    こちらの記事を読んでいろいろ納得部分がありコメントさせて頂きました。
    私自信あまり母の飲んでる薬などわからないので憶測ですが、おそらく糖尿病の血糖値が正常にならないからとSU薬を飲み、膵臓に負担がかかり膵臓機能が低下、それにより本来血糖でエネルギー消費すべきものが膵臓機能が下がっているため脂肪でエネルギー消費をするため体重も低下しているのかな、と。そう考えると症状も当てはまり納得してしまいました。まだ昨日今日の事なので、また母といろいろ話してみようと思っています。
    こちらではいろいろ学ぶことが出来ました。ありがとうございます。

    薬は病気を治さない、症状を軽くしたり抑える為に服用する事がほとんど。
    薬で治療せず食事で身体改造していくのが本来の治療方法だと私も思います。

    • しゅがあ より:

      はじめまして。

      ご家族のお身体へのご心配、お察しします。

      いわゆる「病名」がつく症状には、ガイドラインというものが存在していて、医師はそれに基づいて、その時代によいとされている薬で治療しています。

      糖尿病にも当然ガイドラインが存在していて、血糖値の状態や他の身体情報をあわせて治療方針を決めていくことになります。

      時代が流れるにつれ、副作用の少ない薬や効率的に血糖値をコントロールできる薬が登場し、ひと昔前に比べるとよりより治療が可能になってきていることも事実です。

      ですが、2型糖尿病に関しては、患者ご本人の生活習慣により悪化しているものが少なくありません。

      原因が分かるものに関しては、臭いものにすぐに蓋をしてしまうのではなく、可能な限りにおいて、その原因となる習慣を見直さなくてはいけません。

      糖尿病に関しては、まずは糖質制限というのが当然必要となるわけです。(いきなりの極端な糖質制限は危険と思いますが)

      それに取り組むには、「患者本人の深い理解と行動意欲」が不可欠だと考えています。いくら周りの人間が表面的な注意をしても無駄です。

      正しい知識と時間をかけた教育が必要です。

      単なる病気や薬の知識ではなく、哲学・人生観を含めた包括的な意識改革がなければ、人の習慣というものは変わるものではありません。

      ぐっちさんのように真剣に自分の健康を考えてくれる方が身近にいらして、お母さまは幸せな方ですね。

      糖尿病に関しては、原理的には非常にシンプルに治せる病気ですので、薬でこじらせる前にぜひご対応していただきたいと思います。

      お母さまのご回復をお祈りしております。

  3. […] 糖尿病が治らない本当の「理由」 – Next Pharmacist.net 2015年2月12日 … 医療に関わる者であれば、一度は疑問に思うこと。「なぜ、薬を飲んでいるのによく ならないんだろう・・・? […]

  4. みかん より:

    主人の糖尿が悪化して調べていたところ大変わかりやすい解説で参考になりました。
    糖尿を発症してから15年程でこの5~6年アマリールとグラクティブという薬を飲んでA1C7~8だったのですが、この春から転院をして、メトグルコとトラゼンタに変ってからA1cが9に上がりました。
    昨年の秋頃から体重も5キロくらい減ったこともあり、おそらくインシュリンが出にくくなっているのかと思います。
    空腹時血糖は120くらいで、先月は食後血糖値2時間後300近くありました。
    今までの先生は空腹血糖とA1cばかりしかみてなかったようです。
    食後血糖値の方が大事みたいですね。

    先日ペプチドという検査をしてインシュリンの量を調べ今結果まちです。
    結果次第ではインシュリン注射を受け入れないといけないと思っています。
    糖尿の薬がこんなにいろんな種類があることや、SU剤に頼ってしまったことを今になって知りました。
    SU剤の怖さも最近知りました。
    医師の処方する薬を飲んでいれば大丈夫だと思っていたことや、糖尿に対する甘さが招いた結果で今は後悔ばかりしています。
    本人自身もあまり病気に対してきちんと向き合うことなくきたので、これ以上悪くならないようにしてもらいたいですが、ごはんやパンなどの糖質制限を理解してもらうにはどうしたらいいのでしょうか?ここまでひどくなっても教育入院とかできるならし欲しいくらいです。
    私がいくらやっても本人に意識がないとよくならないですし・・。
    インシュリンを打ち始めたらやめられないと聞きますし、不安な日を送っています。
    私にできることはやっていくつもりですがなにかアドバイスいただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

    • しゅがあ より:

      >みかんさま
      コメントをいただきありがとうございます。

      糖尿病に限らずですが、本当に患者の体の変化に気付けるのは自分とその身近にいる人です。

      医師はあくまで受診したその瞬間の状態をみて、基準値と見比べて単純に「高い」「低い」をみて薬を処方します。

      もちろん救急医療であれば、この方法論で問題ありませんが、慢性疾患は別です。

      慢性疾患には、救急医療ではなく、慢性医療とでもいいましょうか。長い目でみた方法論が必要なのです。

      基本的に病院で処方される薬というのは、すべて「救急医療」に近いものであり、すべて対症療法であることを決して忘れないようにしてください。

      もちろん効き目はシャープに現れることもあり、あたかも魔法のように思うかもしれません。

      血糖値に関しても、1種類薬を飲んで、特に生活習慣を変えなくてもHbA1cが1〜2下がることはざらにあります。

      ただ、これがその人にとって幸せかどうかは、単純には言えません。

      ・・・すいません、本題にうつりますね。

      ご家族に病識と治療意識をもたせるには・・・、ということですが、

      これは、生半可なことではできないと思います。

      本当に涙を流すぐらいに本気で相対する気持ちでいかなれば、人は変えられません。

      夫婦であれば、あなたが変わらないなら別れる、くらいの真剣さをもってぶつかっていく覚悟をもつことです。

      糖尿病は、進行が早い難病の類とは違い、原因と対策が明確であり、本人と家族の協力さえ得られれば必ず完治すると私は考えています。

      正しい知識と自らの体をマネジメントする意識さえあれば、必ず治ります。

      もちろん、現状を確認し、薬を中断できる状態なのか、そうでないのかという判断はしなくてはなりません。

      そこは医師と一緒に、といいたいところですが、そこまで理解のある医師をみつけるのは難しいと思います。

      もし、本気で最小限の薬で克服したいのであれば、糖質制限をしっかり指導してくれる先生の基で治療を受けることをおすすめします。

      本などでも「知識」は得られますが、ある程度の強制力と継続性、安全性を考えれば直接受診すべきと私は考えます。

      まだ、間に合います。

      ぜひ、人の人生を左右する問題だと認識し、甘い対応や考えは捨ててください。

      • みかん より:

        しゅがあ様
        早々にお返事をありがとうございました。
        しゅがあさんがおっしゃるように本人にどのように理解してもらうかが肝心だと思いますが、主人は67歳で残り少ない人生、美味しくないものを食べてくらすのが嫌だとか言ったりしていますが、合併症の怖さなど気にしない様子で、結局痛い目に合わないとわからないのかと思ったり・・。
         リウマチも患っており、たんぱく質をあまり食べない(ごはん食い)なので糖質制限食はどうしたものかと。
        すぐに検索しましたが、取り入れている病院は少ないですね。
        江部先生のブログを見て図書館で本を借りてきました。糖質制限も賛否両論あるようですが全く食べないのは無理にしても少しでも減らせれば血糖値も変わるんですよね。
         しゅがあさんに、「まだ間に合います」と言われて内心ほっとしました。
        作る方もめんどうだし、作っても食べてくれなかったり、あきらめようかと思ったりもしますが、あきらめたら悪くなる一方ですものね。
        以前の先生も今の先生も、やさしすぎて、もっと厳しく言って欲しいくらいなのですが。これまで不勉強で努力もせず薬に頼ってしまっていました。
        検査の結果が悪ければ主人がインシュリンを受け入れられるのかも心配です。
        私一人だけが焦っていてもどうにもならないし、人の気持ちを変えるのは本当に難しいです。

        • しゅがあ より:

          >みかん様
          詳細教えていただきありがとうございます。

          >主人は67歳で残り少ない人生、美味しくないものを食べてくらすのが嫌だとか言ったりしています

          そういう視点も私は大切だと思います。
          人生とは、ということを考えた時に、その人の自由を奪うことは誰にもできないと思うからです。
          自分の価値観を押しつけることはできません。

          しかし、ですよ。
          そういう人には、本当に自分だけの問題なのか?ということを今一度考えてもらいたいのです。
          はっきりと申し上げて、「いい歳してなにを学んできたんだ?」という大人がたくさんいます。自堕落で、自分に甘い人間が多すぎます。

          これをみかんさんに申し上げても何の解決にもならないのですが、こういう問題は、根本的にはそこに存在すると考えています。

          話を戻しますが、生活習慣で誘発された糖尿病には「糖質制限」が必須です。これは当たり前の話です。

          糖質ゼロを目指す必要なんてありませんし、私も経験がありますが、非常にQOLを下げてしまいます。

          ですので、まずはできることから。

          とりあえず飲み物で糖分を含むものはすべてカットです。
          お酒も蒸留酒に切り替えです。

          どうしても甘いのが飲みたい時には糖質zero飲料で対応です。
          これも甘いという感覚刺激でインスリンがどうこうという話はありますが、理論的に糖質が入っていなければ、血糖値をあげることはありません。ただし毎日はダメです。

          食品も吸収されやすい糖とそうでない糖などありますので、書籍で勉強して取り入れてみてください。

          どんな状況であっても、無駄な努力はありません。
          もし、進展してしまってもそれを遅らせることができますし、協力者がいれば糖尿病は確実にコントロールできます。

          ぜひ旦那様を助けてあげてください。

          • みかん より:

            しゅがあさん
            何度もお返事をありがとうございます。
            本当に今頃になってじたばたしている自分が情けなくて・・・。
            もっと真剣に取り組まなければいけなかったのだと反省しきりです。
            将来、合併症になった主人を介護していかなくてはならないとか悪いことばかり考えてしまいます。
            当面は糖質制限食を少しずつ始めてみようと思います。
            月末に結果がわかるのでまたご相談させていただくかもしれませんが、よろしくお願いします。
            この度は見ず知らずの者にご教示いただきありがとうございました。

            • しゅがあ より:

              みかん 様

              いえ、真剣に取り組まれているみかんさんは何も恥じることなどありませんよ。

              むしろ、この段階で気づけて学ばれているという状況は幸運と考えるべきです。こういう比較は好きではありませんが、もっと悲惨な状況まで進んでしまった方々は数え切れないほどいるのです。

              ご主人の人生と幸せを維持しつつ、健康になれる方法はきっとあるはずです。努力は1か100か、ではありません。まずは1から、そして2へとワンステップずつ頑張ってみてください。

              そして、「本気」は相手に必ず伝わります。
              一時的に関係が悪化しても、相手のことを想う純粋な想いは必ずよい結果につながります。
              これまでのご自身のご経験でも思い当たることはいくつかあるのではないでしょうか?

              陰ながら応援しています。

  5. みかん より:

    しゅがあさん
    何度も励ましのお言葉、本当にありがとうございます。
    いろいろ調べすぎて不安が募り、今日は主人にだまって主治医に相談に行きました。
    本人に自覚がないことやペプチド検査の結果の良し悪しに関わらず教育入院してもらいたいなど・・・。
    すでに結果がでており、ペプチド検査は0.93でした。その日の空腹時血糖が119なので
    CPIが0.78(自分で計算しましたがあっていますか?)
    0.8以下だとインシュリン開始のようですが、その先生は、いずれはインシュリンになるでしょうと言いましたが、もうSU薬ではない2~3種類お薬があるので試してみましょうかと。
    アクトスという薬が効く人には凄く効くということでご提示いただきましたが、調べていると膀胱がんのリスクがあるとか?
    しゅがあさんはアクトスという薬はどう思われますか?
    医師から提示された薬を拒むことなどしてもいいのでしょうか?
    もし何か情報があったら教えていただけますか?

    • しゅがあ より:

      みかん 様

      着実に一歩ずつ進まれていますね。素晴らしいです。

      現状をまずはしっかり把握する、それに対してベストと思われる対応をしていく。
      それしかありません。

      さて、推奨治療となるとインスリン注射開始の境界にあるようです。
      しかし、先生も内服治療に意欲的なようですので、その方向性も検討すべきですね。
      ただ、遅れると余計に膵臓を疲弊させる結果になるため慎重に進めるべきだと考えます。

      アクトスに関しては、調べてみてどう思われましたか?
      膀胱癌のリスクというところまでは分かっているということなので、もう少し深堀りしてみてください。分かりやすい情報はすぐにみつかりましたので。

      分からないところや判断に困ることなど具体的に質問いただければ、私個人の考えはお教えしたいと思います。

  6. みかん より:

    しゅがあさん
    お忙しい中、早々にお返事をありがとうございます。
    主人の場合は、0.93だとインシュリンが出てるのが少なくなっているんですよね?
    1以下でインシュリンという文献が多かったような気がします。
    しゅがあさんの書かれているようにSU薬(アマリール)を飲んでも酷使するだけだとしたら、違う薬で試しても良いということですか?
    SU薬でなければ、少しは安全なのでしょうか?
    そのアクトスという薬、膀胱がんのリスクはあるようですが、使用期間や量を考慮すればそれほど心配いらないようなことが書いてありました。
    ペプチドの数値はこれ以上、下げたくないですし、下がったらもうインスリンでしょう。
    この数値を上げることは薬ではできないのでしょうか?インスリンはなくなっていく一方なんでょうか?
    逆にインシュリン注射をすぐに始めれば少しは分泌が増えるのでしょうか?
    主人がすぐにインシュリンを受け入れるとは思えないのですが、もし少しでも望みがあれば説得してみようとも考えています。
    インシュリンの注射を始めるにはまだ遅すぎず早すぎずというところでしょうか?
    決断迷います。

    • しゅがあ より:

      みかん 様

      ペプチドに関しては、インスリンのおまけみたいなもので、それ自体が機能しているわけではないので勘違いはしないでくださいね。

      CPIはインスリン導入の目安となるものですから、厳密に気にされることはないと思います。

      膵臓の機能が今後どうなるか?はその数値や血糖値からは分かりませんが、変化をみていくしかありません。

      SU薬についても、適正な量をみつけて生涯コントロールされるのであれば、治療としては間違いではないですし(もう始めてしまっている場合)、SU以外のものが安全というわけではありません。

      目標をどこにおくか、が重要です。

      完全に薬を卒業となれば、それだけの努力が必要になりますし、ある程度薬を飲みながら、食事も自由に楽しみながらというのであれば、それも否定はしないです。

      が、基本的に放置すれば進行していくものと考えて間違いありません。

      いずれも程度の差こそあれ、食事や運動療法は必須です。

      アクトスに関しては、膀胱炎に限っていえば意識するほどリスクはないと思います。作用機序もユニークですし、薬に頼るのであれば選択肢のひとつと考えます。

      ただ、しっかりと筋肉をつけて、脂肪を落とせば同じ効果を得られるということではありますが。

      「生活習慣病の薬は、人間が楽をするためだけのもの」と私は思っているので、それを利用するかは、患者さんの哲学、リテラシーに依存すると思っています。

      周りの人間がいくら真剣になっても最終的には本人の意志が重要です。今後どう生きていきたいか?をご本人とよく話あってみてはいかがでしょうか。

      また、医師を誘導することは可能ですが、くれぐれも上手にコミュニケーションをとってくださいね。
      最後には「お前は医者か?」といわれてしまうケースが散見されますので・・・。

  7. みかん より:

    しゅがあさん
    何度も何度もお返事をありがとうございます。
    これまできちんと糖尿のことを知ろうとせずに、アマリールに頼ってA1cが7前後で大丈夫のような気がして過ごしておりました。
    調べていくといろんな計算式があったりしてそれを鵜呑みにしてしまいそうで。
    それも厳密ではないと聞いて安心しました。

    薬を卒業してインスリンになるとやはり血糖コントロールが大変そうですね。
    何を食べたらどのくらい血糖値があがるのかとか、もちろん私も勉強しますが主人が理解して一人でもできるようになるのかとか、低血糖にも注意が必要だとか。
    よく低血糖で病院に運ばれる人がいると聞きます。血糖値がさがり網膜にも負担がかかるとか。
    薬をいろいろ試して、血糖を下げられるのならやってみる価値もありそうですね。

    アクトスは期待してもよさそうな薬なんですね。筋肉が必要とのことでたんぱく質をあまり食べてくれないので少し不安なのと、162㎝67キロから、昨年秋頃から60キロまで落ちたので少し心配です。
    血糖値は空腹は120位で食後2時間が200は軽く超えた状態(2か月前は289ありました)が半年くらい続いてるし、早く食後血糖値を下げたいとは思うものの先生はわりとのんきで今すぐどうこうというものではないという感じです。
    一か月ごとの診察ですがこんな状態でそのくらいのスパンでいいのでしょうか?

    自分で血糖値を図るメリットはありますか?
    測定器もかなり費用がかかるみたいですね。おすすめのメーカーなどありますか?
    「生活習慣の薬は・・・」の言葉は、身にしみます。楽をしてきたつけが帰ってきたんだと本当に思います。
    あきらめて楽をしてしまった自分が本当に悔しい毎日で、泣いてもどうにもならないのに主人の寿命を縮めてしまって涙が出ます。

    しゅがあさんのおっしゃるように私が本気になれば主人もわかってくれると信じてやっていこうと思います。
    お前は医者か?はというのは確かに情報がありすぎてついつい先生に聞きたくなりますがあまり出すぎないよう注意します。

    ご親切にお返事下さり甘えてしまって恐縮しております。

    • しゅがあ より:

      みかん 様

      まず少し安心していただきたいのが、現状の血糖状態であれば明日、明後日とすぐに合併症が現れて命にかかわるというものではなありません。

      文面からですが、すごく焦りを感じます。
      もちろん早いに越したことはないのですが、あまりにも気を病んで、それこそみかん様まで体調を崩されては元も子もありませんからね。

      その前提でゆっくりと今後のこと、考えていきましょうね。

      私は少し厳しい言い方、伝え方になっているかもしれませんが、自分の関わった人に少しでもいい方向へといってほしいと本気で願っているからです。

      ただ共感したり、同情することは容易いですが、それでは人を変えてあげることはできないと思っています。

      もちろん私も正解を知っているわけではありません。
      信じていること、確信していることを伝えているだけですのでご理解ください。

      さて、まずは思考を少し切り替えてほしいです。
      「楽をしてしまった」と後悔をしているとのことですが、それはそれで人生の楽しみであり、大切な時間を過ごされてきた、ということではありませんか。

      そして、今無事にお二人が生きていることというのは、すべての出来事が複雑に関わってきた結果だということを忘れないでください。

      少しでも過去が違えば、死んでいた、かもしれません。
      もし毎日ランニングをして健康づくりをしていたとしても、夜道で車に轢かれてしまうことだってあるわけです。
      今、ここに、こうして在ること。それだけで感謝すべきことではないでしょうか。

      そして、今ならもっと未来をよくできる、
      そういう希望に変えていけばよいのではないでしょうか。

      考え方で、見えている世界や未来は変えることができます。

      話は脱線しましたが、
      ご自身での血糖測定は、すごくおすすめしますよ。
      特に色々な食事をした後に測定して、楽しんで取り組んでほしいですね。

      こんなにも食事が血糖値に直結してるんだ、と身をもって体感できるはずです。
      そういう気づき、が本人のモチベーションに繋がると思います。
      特に男はこういうの好きな方多いのでは?^^

      メーカーについては詳しくないので、今はお伝えしませんが、血糖測定器に関しては販売の指定が必要なので、お近くの薬局にお電話してみてはいかがでしょうか。
      リンク貼っておきます。http://mds.terumo.co.jp/pharmacy/list_touhoku.html

      先生に訊くのは全然かまいませんよ!
      ただし、よく勉強された方のなかに、私のほうが知っていると思い込み、先生との関係が悪化するケースがあるので注意です。

      たしかに一部の限定された分野においてなら、先生よりも詳しく「情報」を得ることは可能な時代になりました。

      が、情報と実務は異なります。経験、勘、洞察、背景知識、基礎的な思考力なども判断するうえで大切な要素です。

      そのあたりも理解したうえで、相手の話をしっかりと聴くということが大切だと思います。

  8. みかん より:

    しゅがあさん
    お返事を見て涙が溢れてきました。
    おっしゃるように、焦りと不安でいっぱいです。
    ネットで調べては一喜一憂していました。
    このような状態で、運よく元気にいられることに感謝しなくてはなりませんね。
    高血圧もあるのに血糖値の薬を降圧剤と思っていたので7年も放置していたこともわかりました。
    しっかり主人を見てこなかった私の責任は大きくて自分を責めてばかりいましたが、しゅがあさんにアドバイスをいただいてだいぶ気持ちが落ち着きました。

    気が付くのが遅すぎたかもしれませんが今できることをやるしかないのだと思います。
    やはり入院して、全身の検査をして今の状況を把握しておいたほうがよさそうです。

    血糖値測定器のリンクまでありがとうございました。
    主人にももっと意識をもってもらうために購入したいと思います。

    薬剤師さんは素敵な職業ですね。
    心が救われました。

  9. みかん より:

    しゅがあさん
    何度もすみませんが、血糖値測定器を自費で購入することになりますが、付属品が高いようで、1回あたり100円以上するようですが、これは一日に3~4回測るとしたらその都度かかるということですか?
    インシュリンでないと相当費用がかかりますね。
    ご存知でしたら教えていただけますか?

    • しゅがあ より:

      みかん 様

      少しでもお気持ちが楽になったのであればよかったです。
      なかなか普段は、ここまで深くお伝えすることはできませんが、少しでもこういった場でお役に立てれば私も嬉しく思います。

      ご自身のことであれば、すぐに取り組むことも可能ですが、旦那様のことですので焦らず取り組んでいきましょう。

      血糖測定に関しては、何も毎日やる必要はないと思います。
      例えば1週間、食材を色々と変えて食後の血糖値を測ってみて、どんなものか?というのをご主人と一緒にみてみるといいでしょう。
      おそらく、明確な結果がでると思います。

      個人的に、傾向が分かれば血糖値を毎日測る意味はそれほどないと思います。
      自己負担の場合には費用も嵩みますし。

      その後、血糖値が上がらない食品をみつけていきます。
      ただし、その食品ばかりに偏ると今後は生活の質(QOL)の低下を招くと思います。

      たとえば1食からはじめてみてください。
      ここで、おそらく性格が分かれてきます。自ら血糖値をあげる食品を避けるようになる人と、苦痛に感じてしまう人がいるかと思います。

      前者はそのまま糖尿病完治の道へといくでしょうが、後者の場合には薬とのお付き合いは続くことになるでしょう。

      こればっかりは他人がとやかくいうことではないので、ご主人のご様子と経過を観察し、みかん様がご判断いただければと思います。

      あわせて信頼できる先生とコミュニケーションをよくとるようにしてくださいね。

  10. みかん より:

    しゅがあさん
    お返事下さっていたのに気が付かずにすみませんでした。
    この度は、通りすがりのものに、親切にわかりやすく説明くださりありがとうございました。
    こんな大変な思いをするくらいならもっと最初から向き合うべきだったと本当に思います。
    血糖値の件よくわかりました。毎回計る必要はないんですね。
    本人に意識を持たせるためにも先生に相談してやってみようと思います。
    これからどうなっていくのかわかりませんが、やれることをやり、主人をよく見て生活していきたいと思います。
    しゅがあさん、本当にありがとうございました。

    • しゅがあ より:

      みかん様
      こちらこそ、お話いただきありがとうございました。

      私も最近は少しまるくなり、人生を様々な角度や価値観で観ることが大切だと考えるようになりました。

      自分の考えを押し付けるのは、視野が狭く、結局相手をよい方向へと導くことはできないのだと感じたのです。

      糖尿病に関しても、理屈は非常に簡単でも、人の人生や生き方を変えるのはそう簡単ではないのだということも少しずつ実感しています。

      みかん様もぜひお身体を大切にし、ご自愛くださいませ。

  11. みかん より:

    以前いろいろアドバイスをいただいたみかんです。
    あれから主人はかかりつけ医から専門医に紹介状を書いてもらい2週間の教育入院となり、いろんな検査を終え、これからの治療の見通しを聞いて安堵しまして、しゅがあさんにもう一度お礼を言いたくメールいたしました。
    入院してアマリールなしでA1cは7.6に戻り(メトグルコとトラゼンタは飲んでます)
    血中ペプチドCPRが1.67,空腹血糖が104で、インシュリンは打たないで薬だけでまだ大丈夫という診断でした。
    CPRがこんなに変動があるものだとは知らず悲観しておりましたが、血糖にずいぶんと左右されるものなんですね。
    ついひと月まえは0.93でインシュリン導入が近いようなことを言われたのでどうしようかと思っておりましたが、インシュリンの分泌量はこれ以上上がらないのかと思っておりました。
    これから専門医の先生がお薬を調整していくということでしたのでひとまず安心いたしました。
    幸いなことに、今のところ目と神経と腎臓の合併症もなく、脳と心臓も大丈夫でした。
    これからまた気持ちを新たに糖尿にしっかり向き合っていきたいと思います。
    本当にありがとうございました。