糖尿病が治らない本当の「理由」

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医療に関わる者であれば、一度は疑問に思うこと。

「なぜ、薬を飲んでいるのによくならないんだろう・・・?」

今回は「糖尿病」をテーマに、その理由について考えていきたいと思います。

今後の薬物治療の主役は「薬理学」になる!?

そんなすごく個人的な予言(笑)を込めてお話したいと思います。

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原因を考えることを忘れない

薬が効かない、とすれば、その「原因」があるはずなのです。

何らかの結果には”必ず”原因があります。

ヒトの体の基本的な構造や仕組みは同じなのですから、同じ薬を使って効果が異なる原因があるはずです。

そもそも飲んでいない、飲み方(飲み合わせ)が悪い、体質や病態に合っていない、用量が合っていない・・・などなど原因はいくらでも考えられます。

何となく効かない、は本来あり得ないのです。

そういった観点がなく、薬をどんどん追加・増量されて、結果的にコントロールできていないというケースが非常に多いと感じています。

この状況を打破する一つの方法として考えられるのが、「薬理学」をフル活用する方法です。

今回は糖尿病を例にして考えてみたいと思います。

では、まず現在糖尿病の治療に使われている薬を振り返ってみましょう。

突然ですが、僕は糖尿病の薬って基本的に2種類しかないと考えています。「糖質の吸収を阻害する」か「インスリンの働きを調整する」か、の2通りです。

えっ!?もっと種類あるでしょ?という意見が聞こえてきそうですが、冷静に考えてみていくと、根本的な作用は2種類に絞られるはずです。

そして、今現在の常識として血糖を下げるホルモンは「インスリン」だけです。

つまり、糖尿病治療はインスリンと薬との関係を徹底的に考えていく必要があるのです。

インスリンにすぐに手をつけてはいけない

糖尿病の場合、1型(インスリン依存状態)と2型(インスリン非依存状態)とに大別されますよね。

当然ですが、1型は絶対的なインスリン不足を起こしているわけですから、考える余地なくインスリン製剤を使用するしかありません。

問題は2型の治療です。治療開始時点で「軽度」であるならば、α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)から開始というのは、すごく理にかなっていると思います。

それで、コントロールできれば一件落着、めでたし、めでたしです。あとは食事に注意すればいい。

では、それでコントロールできない場合はどうするか?

基本的には、後々のことを考えるとインスリン分泌をいじるようなことは出来る限り避けたいはずです。(理由は後に述べます)

海外では、ビグアナイド(メトグルコ)が推奨されているようです。

ビグアナイドは、肝臓からのグルコース放出抑制、筋肉などのインスリン感受性を高めるという作用ですから、内因性のインスリン分泌には手をつけません。

最近、日本でも高用量で使用できるようになっており、血糖の降下作用としても十分期待できるかと思います。

また、人によってはチアゾリジン(アクトス)が著効する場合もあるようなので、同時に検討するのもいいでしょう。

まずは、このあたりで食事療法も含めてしっかりと治療できるようにもっていくべきです。

そして、最終手段が魔のドーピング剤「インスリン分泌促進薬」です。現在は、この薬をあまりにも安易に使いすぎていると思います。

悪魔のインスリン分泌促進薬

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残念ながら(と僕は思うが)現在の糖尿病治療の中心は、「インスリン分泌を促進させる経口薬」です。具体的には、SU薬、DPP-4阻害薬、グリニド薬ですね。

これ、心の底から思うのですが、これらの薬は最終手段だと捉えるべきです。漫画のヒーローが死にそうになったときに出す必殺技くらいの感覚でつかうべきです。

だって、これに頼った時点で消耗戦になりますから。どんどん底なし沼にハマっていく可能性だってあります。

ちょっと具体的に説明していきますね。

まず、インスリン分泌促進薬というのは、すべて膵臓のβ細胞を薬で刺激してインスリンを吐き出させる薬です。(それぞれタイミングが違うだけ)

SU薬にいたっては、それが食事など関係なく刺激するわけですから、「もし膵臓が生きていれば」、延々とインスリンが分泌されます。

(だから、SU薬を飲んで低血糖を起こすのでした!)

膵臓が生きていれば、と言ったのは、膵臓の細胞が弱っていたり、死んでいたりするとこれらの薬は効かなくなるからです。(二次無効)

グリニド薬は、その作用を短くした分だけ少しは膵臓の負担が少ないようです。

DPP-4阻害薬はインクレチン関連薬であり、食事に応じた(血糖上昇に応じた)作用なので、膵臓の負担は少ないはずです。使うタイミングさえよければ効果的かもしれません。

個々のインスリンを調べよ

と、ここから核心の部分です。

これだけ薬があって、なんで血糖コントロール不良の人がこんなに多いのだろう?と疑問に思いませんか?

僕の答えはひとつです。

「インスリンをみていない」。たったこれだけです。

HbA1cだけみて、インスリンをみていない。また、インスリンの効きをみていない。

すごくシンプルじゃないですか?インスリンがでていないのであれば、膵臓が働いていないんですから、SU薬を飲んだって効かないか、効いたとしても膵臓は消耗していきます。

DPP-4だって、グリニド薬だって基本的には同じですよね。

もし、インスリンが絶対的に不足しているのならインスリンを「補給」すべきですよね。注射だから敷居が高い、という意見もあるかと思いますが、糖尿病をこじらせるよりは、よほどよいと思います。

また、その心理的な抵抗を利用し、注射の導入を匂わすことで治療に積極的に取り組む人も増えることでしょう。

もし、それでも経口薬を使いたいのなら(ここまで分かれば一時しのぎであることは自明ですが)、「薬を使ったら効果を確認する。効果なければ中止する。」ということを徹底すべきです。

「抗菌薬の感受性検査」のように、「血糖降下薬の感受性検査」をやってから続けるか判断すべきだと思います。

これらの薬を飲んでいて血糖値が下がらないのであれば、「膵臓が疲弊している」か「インスリン抵抗性」になっているか、どちらかしかないのです。

その原因は、インスリン検査をすればすぐにわかるはずです。

インスリンがしっかりでていて、血糖値が下がらないのであればSU薬を飲んだって無駄ですよね。インスリン抵抗性を悪化させるだけです。原因はインスリン分泌ではなく、感受性の方です。

インスリンがでていなくて、SU薬を飲んでも分泌されないのなら、余計にSU薬はやめるべきです。(膵臓の疲弊が進むだけ)

SU薬を飲んでしっかりインスリンが分泌されるようになり、かつ血糖値も顕著に低下したのであれば、「つなぎ」として短期間だけ使用すればよいと思います。

しかし、効果があるにせよ、ないにせよ、インスリン分泌促進薬の長期使用には反対です。薬そのものの性質として、そういう使い方ができるものではないと思います。

少なくとも薬理作用を理解した僕自身はこれらの薬は飲むことはないでしょう。

すべての人に使える確実な方法

実は、血糖値が上がる根本的な原因はすでに分かっています。

「糖質の摂取」。当たり前のことです。

別に極端な糖質制限をせずとも、少し学んで取り組めば、からだの原理から考えて間違いなくすぐに血糖値は下がります。

血糖値が通常時よりも異常に高くなる、ということは必ずどこかで糖質を摂取しているはずです。まず、それを自覚して一旦止めることです。

(もし糖質を摂取しないで、食後血糖が上がったら、通常の人間ではないということになります。)

しかし、不幸なことにSU薬漬け、インスリン漬けになった人は、おそらくインスリンが働かない体になっているはずです。

膵臓は疲弊し、内因性のインスリン分泌はなくなり、さらにインスリン抵抗性が極限まで高まった状態です。

これは、先天性のものでない限り、自然に起こることはありえません。

薬により、人工的な高インスリン状態に長期間曝された場合に起こることであり、こうなってしまうとかなり治療が難航すると思います。

これが、糖尿病治療において想定される最悪のケースですが、こうなったら食事制限と運動療法をするほかありません。

必要最低限の糖質に抑えながら(原理的には糖質はいらない)、運動によりインスリン抵抗性を改善、さらにインスリン注射により生命を維持していきます。

この方法しか、原理上は治せないでしょう。

そういう危険な状態になる前に、各々が糖尿病の本質を学んで、悪化させないようにしたいものです。

そして、糖尿病の治療を施す側も、ぜひ一旦冷静に考えてみましょうよ、という提案でした。

目新しい薬に次々に飛びついて、併用できるの?できないの?なんて言っている場合ではないでしょ、というお話でした。

P.S.
こういうことを書くと、一面だけをみて物事を判断する人がいるので追伸を。

確かに薬によって、「数値」を維持している人も大勢いることでしょう。その恩恵は否定できないものです。

しかし、特に糖尿病をはじめとする生活習慣病に関しては、薬を飲んでいる状態が正常とは思えません。ましてや薬が増えていくのであれば。

これもまた、「その人が生活を変えないで、薬で維持できているんだからいいだろ!」という方もいると思うので、なんともなんですか・・・(苦笑

僕としては、これは目指すべき健康の姿ではないと思うのです。

そういう医療は決して目指したくはない。僕のエゴかもしれませんが。

そのためにはどうすればよいのか?ということを、そろそろ考えていくべきなのでは?という意図で書いています。

そして、今回のテーマはずっと思っていた内容だったので、ちょっとアツくなりましたが(笑)。

こんな意見もあるんだなぁくらいに感じてもらえると幸いです。

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コメント

  1. しろちゃん より:

    今の糖尿病の治療は、今まで通りの食事していいよ、血糖値は薬で下げるからというスタンスです。そして、低血糖になったらブドウ糖、マッチポンプです。患者さんも指導通り、炭水化物60%カロリー制限がんばってもどんどん悪くなり、薬が増えていくという悪循環。
    血糖値を上げるのは糖質のみというシンプルな事実がもっと浸透してほしい。

    • しゅがあ より:

      しろちゃんさんへ

      コメントをいただきありがとうございます。
      まさにおっしゃる通りと思います。そもそもですが「今まで通りの食事」や「生活」が、糖尿病の原因であるのに、それらを何も変えなくてよい、ということが非常に不自然なことであることになぜ気づかないのか、が純粋に疑問です。

      その結果が「現状」ということに、ある意味で納得はできるのですが。
      人に楽をさせる薬=儲かる薬という構図がある以上、仕方のないことかもしれませんが、このままでいいのでしょうか?という問題提起でした(苦笑

  2. ぐっち より:

    初めまして。
    母の病気からいろいろ調べてここに来ました。
    母は何年も前から糖尿病なのですが、最近糖尿病の血糖値数値が下がらず、でも体重が下がり、膵臓の数値がオーバー(よくわからないのですが)してたそうで、来月に検査をするようです。本人は膵臓癌ではないか、と情緒不安定状態です。
    こちらの記事を読んでいろいろ納得部分がありコメントさせて頂きました。
    私自信あまり母の飲んでる薬などわからないので憶測ですが、おそらく糖尿病の血糖値が正常にならないからとSU薬を飲み、膵臓に負担がかかり膵臓機能が低下、それにより本来血糖でエネルギー消費すべきものが膵臓機能が下がっているため脂肪でエネルギー消費をするため体重も低下しているのかな、と。そう考えると症状も当てはまり納得してしまいました。まだ昨日今日の事なので、また母といろいろ話してみようと思っています。
    こちらではいろいろ学ぶことが出来ました。ありがとうございます。

    薬は病気を治さない、症状を軽くしたり抑える為に服用する事がほとんど。
    薬で治療せず食事で身体改造していくのが本来の治療方法だと私も思います。

    • しゅがあ より:

      はじめまして。

      ご家族のお身体へのご心配、お察しします。

      いわゆる「病名」がつく症状には、ガイドラインというものが存在していて、医師はそれに基づいて、その時代によいとされている薬で治療しています。

      糖尿病にも当然ガイドラインが存在していて、血糖値の状態や他の身体情報をあわせて治療方針を決めていくことになります。

      時代が流れるにつれ、副作用の少ない薬や効率的に血糖値をコントロールできる薬が登場し、ひと昔前に比べるとよりより治療が可能になってきていることも事実です。

      ですが、2型糖尿病に関しては、患者ご本人の生活習慣により悪化しているものが少なくありません。

      原因が分かるものに関しては、臭いものにすぐに蓋をしてしまうのではなく、可能な限りにおいて、その原因となる習慣を見直さなくてはいけません。

      糖尿病に関しては、まずは糖質制限というのが当然必要となるわけです。(いきなりの極端な糖質制限は危険と思いますが)

      それに取り組むには、「患者本人の深い理解と行動意欲」が不可欠だと考えています。いくら周りの人間が表面的な注意をしても無駄です。

      正しい知識と時間をかけた教育が必要です。

      単なる病気や薬の知識ではなく、哲学・人生観を含めた包括的な意識改革がなければ、人の習慣というものは変わるものではありません。

      ぐっちさんのように真剣に自分の健康を考えてくれる方が身近にいらして、お母さまは幸せな方ですね。

      糖尿病に関しては、原理的には非常にシンプルに治せる病気ですので、薬でこじらせる前にぜひご対応していただきたいと思います。

      お母さまのご回復をお祈りしております。

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