抗体は、B細胞が分化した「形質細胞」により産生されます。
(分化する条件はB細胞の記事を参照)
もともとすべてのB細胞の表面には、それぞれ特異的なIgMが存在しています。
しかし、IgMのままでは、オプソニン化や中和抗体としての働きは弱いため、目的に応じて他のクラスの抗体に変化させる必要があります。
B細胞が形質細胞に分化する過程で、抗体のクラスが「M」から他のクラスに変わることを「抗体のクラススイッチ」とよびます。
そして、クラススイッチの大きな目標は、細菌防御に必要なオプソニン効果の高いIgGにスイッチさせることです。
どのタイミングで行われる?
未熟B細胞⇒成熟B細胞⇒形質細胞というように分化していきますが、抗体のクラススイッチが行われるのは、「成熟B細胞」の段階です。
形質細胞になる前のB細胞は、表面にIgMとIgDをもっています。(もちろん、同一細胞上にある両者の抗体は、”特定の同じ抗原”に結合します!)
そして、成熟B細胞の抗体は、各サイトカインによってクラススイッチを起こします。
ここで、必ずしもすべてがIgGになるわけではなく、一部IgAやIgE、そのままIgMをつくる形質細胞に分化するものもいます。
ただし、あくまで体液性免疫の主体となるのはIgGなので、特定のIgGを増やすことが最終的なゴールになります。
そしてクラススイッチが完了して、成熟B細胞の抗体のクラスが決定すると、あとは形質細胞になって抗体をバンバンつくるというわけです。
IgGへのクラススイッチに必要なものは?
B細胞の分化・成熟には、Th2サイトカインであるIL-4,5,13が重要とされています。これらのTh2サイトカインだけでも、B細胞は形質細胞に分化します。
しかし、それだけだとIgGではなく、IgE(アレルギーなどの原因になる抗体)にクラススイッチしてしまうことが知られています。
正常なIgGへのクラススイッチには、Th1サイトカイン(IFN-γ、IL-2など)とのバランスが不可欠とされています。
Th1とTh2からの絶妙なバランスの刺激によって、B細胞は正常な分化やクラススイッチができるようになるということですね。