マクロファージの働きは?

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目次

マクロファージとは?

マクロファージは白血球のひとつで、血液中の「単球」から分化します。

造血幹細胞から分化した単球は骨髄で成熟し、血流に入ると体中で免疫に関わるようになります。

単球は約2日間血中に滞在した後、血管壁を通り抜けて組織内に入りマクロファージになります。

マクロファージの役割は?

マクロファージは、感染防御の第一線で監視役として働き、外敵(最近やウイルス)が侵入したときに最前線で戦う細胞です。

好中球などとともに、貪食細胞(どんしょくさいぼう)とも呼ばれ、異物を食べて消化・殺菌する能力があります。

貪食作用とは?

細胞膜の一部が陥入して、直径1μm以上の粒子(細菌など)を細胞内に取り込む作用のこと。専門用語では、「ファゴサイトーシス」と呼ばれることもあります。

多くの細胞が貪食細胞をもちますが、マクロファージ、好中球、樹状細胞がとくに貪食作用の強い細胞です。

①疑わしいものは食べる!

マクロファージは、その表面にTLR(Toll like receptor , Toll様受容体)をもっています。TLRからの刺激により、「ちょっとでもあやしい」と認識すると、相手が誰であっても「無差別に」食べてしまう性質をもっています。

この「無差別に」ということを、免疫学では「非特異的」とよんでいます。

つまり、マクロファージは細菌だろうが、ウイルスだろうが、よく分からないゴミだろうが、それを「異物」を認識すると、とりあえず食べてしまうというわけです。

②炎症反応の準備を整える!

炎症性サイトカイン、ケモカイン、脂質メディエーターを産生し、血管を拡張したり、他の免疫細胞を集めて、炎症反応をはじめる準備を整えます。

③IFN-α、βを産生し、ウイルスの増殖を抑える!

ウイルスを抗原として取り込むと、細胞の内側にあるTLRで感知します。そして、IFN-α、βを産生することで、ウイルスを増殖を抑えます。

④抗原提示細胞として働く!

異物をなかに取り込んで(貪食)分解し、抗原部分をもう一度細胞表面のMHCクラスⅡ分子の上に出します(=抗原提示)。

あくまで抗原提示という仕事の主役は「樹状細胞」ですが、マクロファージも抗原提示をすることができます。

⑤IFN-γを浴びるとスーパーサイヤ人状態に!

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)やTh1(ヘルパーT細胞)から産生されるIFN-γを浴びると、とてつもなくパワーアップして、「活性化マクロファージ」となります。

活性化状態になると、貪食能がより強力になり、ウイルスの不活性化(感染力を失わせる)もできるようになります。

また、炎症性サイトカインやウイルスの増殖を防ぐIFN-α、βもガンガン分泌し、まさに無双状態となります。

⑥掃除もできる万能屋!

マクロファージは最初から、ある程度組織も存在していて、最前線で防御を張っていますが、後から単球⇒マクロファージとなってやってきたものもいます。

後から駆けつけたマクロファージは、炎症部位に残った「戦い終わって死んだ細胞」や「炎症によって壊れた組織」を貪食していきます。

つまり、最後の「炎症現場の掃除屋」としても働いてくれるのです。

マクロファージのまとめ

◆単球が血管から組織に入りマクロファージとなる

マクロファージの6つの役割

①TLRによる大まかな外敵の認識と「非特異的」な貪食

②炎症性サイトカイン、ケモカイン、脂質メディエーターの産生

③ウイルス感染時にIFN-α、βを産生して、ウイルスの増殖を防ぐ

④抗原提示して、体液性免疫(抗体産生)への橋渡しをする

⑤IFN-γにより活性化マクロファージとなり細胞性免疫の主役になる

⑥炎症部位での最後の掃除屋として戦場を片付ける

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コメント

  1. […] 引用元:ーNext Pharmacist.net マクロファージの働きは?よりー […]