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好中球とは
血液中に流れる白血球の50~70%を占める細胞で、細胞内に中性色素の染まる顆粒をもっています。
一方、好塩基球・マスト細胞は塩基性色素に染まる顆粒をもち、好酸球は酸性色素に染まる顆粒をもちます。
これらの細胞内に「顆粒」をもつ白血球は「顆粒球」とよばれています。
好中球の働きは?
好中球の一番の役割は、細菌(化膿菌)を「貪食」「殺菌」することです。
好中球の顆粒には、「ミエロペルオキシダーゼ(MPO)」や「リゾチーム」といった分解酵素が含まれており、異物を消化・殺菌します。
また、NADPHオキシダーゼという酵素によって「活性酸素」は発生させ、強力な細胞障害を行います。
マクロファージと同様に、非特異的な1次防御(自然免疫)として異物を貪食することもありますが、メインの仕事は抗体(IgG)が結合した異物(抗原)を特異的に認識して貪食・殺菌することです。
抗体で好中球はパワーアップ!
好中球は、抗体(IgG)が結合した異物を認識して、それらを実に効率よく貪食することができます。
なぜなら、好中球は「IgGのFc部分に対する受容体:FcγR」をもっているからです。
※γ(ガンマ)はIgGを表わします。IgG(抗体)の構造が知りたい方はこちら
抗原に抗体が結合するときは、必ず「Y字」の両腕部分(Fab部分)で結合します。すると、IgGのおしりの部分(Fc部分)が外側に突き出すように向けられます。
そこに好中球がやってくれば、Fc部と非常に相性のいい受容体をもっているため、抗体と好中球が結合しやすくなり、貪食が進むというわけです。
また、補体のC3bに対する受容体(CR)ももっており、補体が結合した異物にも反応して貪食をすることができます。
※補体について詳しく知りたい場合はこちら
これらIgGやC3bなどにより、好中球の貪食作用が高まることを「オプソニン化」といいます。
マクロファージとの違いは?
実は、マクロファージ(単球系の1つ)も「FcγR」や「CR」といった受容体をもっているため、好中球と同じような性質をもっています。
ただし、マクロファージは「細胞性免疫」で出てくるIFN-γがないとあまり働いてくれません。よって、抗体を主役とした「体液性免疫」では、好中球が主体となって異物に立ち向かいます。
一方マクロファージは、抗原提示細胞としても働き、貪食した異物をMHC分子を介してTリンパ球へ抗原提示するという役割もあります。