利尿薬の特徴について

尿薬×特徴

利尿薬にはいくつかの種類が
ありますが、それぞれの特徴について、
簡単にまとめたいと思います。

利尿薬の共通の目的はひとつです。
それは、
Na(ナトリウム)を体の外に出すこと!です。
正確に言うと、Naの再吸収を抑えることです。

Naにくっついて、水も一緒に外にでるため、
尿の量が増えるわけです。
(浸透圧の関係)

では、利尿薬の種類で何か違うか?
というと、それは作用する部位です。

基本的には腎臓の尿細管に作用しますが、
詳しくみてみると、下の図のような構造をしています。
rinyou
引用:http://www.miyake-naika.or.jp/05_health/kouketuatu/kouketuatu_05.html

左の方から、ろ過された尿が流れていきますが、
ループ利尿薬⇒チアジト系利尿薬⇒カリウム保持性利尿薬
という順で作用する場所が後になっていきます。

作用する場所だけではなく、
いわゆる薬のターゲットも異なります。

ループ利尿薬は強力!しかし。。。

<ループ利尿薬の作用機序>
ヘンレループ上行脚にある Na+-K+-2Cl- 共役輸送担体
を阻害することで、Naの再吸収を抑えます。

ループ利尿薬の利尿作用は最も強く、
尿細管でのNaの再吸収を最大25%
も抑えることができます。

ただし長期に使用すると、
遠位尿細管(ループ利尿薬の作用するよりも後ろの部分)
でNa+-Cl-共輸送担体の発現が増加してしまいます。

すると、遠位尿細管での
Naの再吸収はしだいに増えてしまい、
利尿効果が低下してしまいます。

よって、ループ利尿薬は、浮腫(むくみ)が強い
急性期に使用して、軽快した後はチアジド系利尿薬に
切り替えるなど配慮が必要です。

チアジド系利尿薬は、上で説明した「遠位尿細管」
の前半部にあるNa+-Cl-共輸送担体を
を阻害します。

たいだい3~5%程度のNaの再吸収を抑え、
ループ利尿薬のように強力な利尿作用はありませんが、
高血圧との相性がよく、他の薬と併用されることの多い薬です。

ループ利尿薬とチアジド系利尿薬の欠点

最も問題になるのは、
「低カリウム血症」です。

カリウムはナトリウムとともに
心臓など全身に必要なイオンの一つで、
身体の中でバランスが崩れるといろいろな症状が起こります。

これは、なぜ起こってしまうのかというと、
その作用部位に理由があります。

ループ系利尿薬、チアジド系利尿薬ともに、
遠位尿細管の前の段階で作用するため、
遠位尿細管や集合管のNa濃度を高くしてしまいます。
(Naの再吸収を抑えるため)

すると、遠位尿細管や集合管でのNa+-K+交換系が
促進することにより、K(カリウム)の排泄が増えるのです。

弱点を補うカリウム保持性利尿薬

上で説明したように、
体の中のカリウムが減りすぎると具合が悪いので、
カリウムを維持しながら利尿作用を示すものがあります。

それが、カリウム保持性利尿薬です。
これらは集合管におけるNa+-K+交換系を抑制して、
Naの再吸収とKの排泄を抑えます。

ただ、Naの再吸収抑制率は1~2%なので、
ループ利尿薬やチアジド系利尿薬と組み合わせて使い、
互いの長所を活かすという方法が使われています。

今回、説明した作用以外にも、
いい面、悪い面さまざまな特徴があるので
それら特徴を理解した上で使用していくことが大切です!

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