フォシーガ錠(ダパグリフロジン)のまとめ

フォシーガ錠
フォシーガ錠について、
シンポジウムで勉強してきたので
簡単にですがシェアしていきたいと思います。

まずどういう薬かというと、
「SGLT2阻害剤」という全く新しい機序に分類される血糖降下薬です。
英語でsodium-dependent glucose transporter。
日本語でNa依存性グルコース輸送体ですね。

SGLTは腎臓に発現していて
「一度排泄されたグルコースを回収する」
という役割を担っているものです。

”2”って何かというと、
サブタイプといって輸送体の種類です。

腎臓には、SGLT2と1があって、
糸球体で濾過されたグルコースは
SGLT2により90%再吸収されます。

残った10%は、
その後SGLT1によって再吸収されるので、
通常グルコースは100%再吸収されるのです。

つまり、健常人では「尿糖」はでない!というわけです。
一方で、糖尿病になると、
腎臓で再吸収できる限界を超えてしまうので、
回収し損ねたグルコースが尿中にでてくるわけです。

フォシーガは、このSGLT2を阻害する薬です。
つまり、腎臓でグルコースを再吸収させずに
そのまま垂れ流しにするということです。

だから、尿糖がバリバリでるようになります。
だいたい1日で70gくらいですようです。
それに伴って、副作用もおきます。

まず一点。
尿路をあま~い尿が通るので、
感染症が起きやすくなります。

尿路、生殖器感染のリスクが高まります。
治験段階では数%で、ドイツの臨床では2~3%程度ということです。
頻度に関しては、これからはっきりしていくでしょう。

予防法としては、
「念入りに洗う」です(笑。
冗談ではなく、真面目にです。

専門的にいうと、
「陰部を衛生的に保つ」ということです。
後は、感染してしまったら仕方ないので、抗生剤や抗真菌剤を使用します。

ニ点目。尿中にグルコースが多くでるので、
浸透圧が上がる結果、尿中に水分が引っ張られるので「利尿作用」を発揮します。
ドイツのDrによるとヒドロクロロチアジド12.5mg程度の作用があるとか。

なので、脱水の傾向のある患者や
脱水になりやすい夏などは注意が必要です。
あと、腎臓がターゲットなので、腎機能が悪い人にも使いずらいという特徴もあります。

では、デメリットだけでなく、メリットも。
まず、「痩せます」
半年で2~4kgは減量を見込めるようです。

SU薬などのようにインスリンで
血糖を溜め込む効果がありません。
体内グルコースの絶対量が減るため痩せるのもうなずけます。

でも、「痩せ薬」としては使用しないように!
と注意しておりました。
正常血糖の人のデータはないですから、ということです。

あとは、機序から分かるように、
低血糖のリスクがほぼないということです。
インスリン分泌への直接的な影響はないですし、
血糖70程度を下回ると、肝臓で糖新生が働くため問題ありません。

単剤ではほぼそのリスクはなく、
多剤との併用でもリスクは低いということでした。
今後販売後調査で、そのあたりはより確実になっていくことでしょう。

で、最後に。
講演を聞いていて
すごくいいなと思ったことがあります。

何かというと、この薬を飲んで
血糖が下がったり、体重が下がったりして、
「患者がやる気をだす」というエピソードです。

服用と同時にウォーキングやマラソンを
始めて、ずっと続けている方も多いと。
それは、やっぱり「成果」に由来するものですよね。

やっぱり人ってがんばったら、
何らかのよい結果が欲しいですよね。
運動して、血糖や体重が落ちていたら嬉しいじゃないですか。

そういう人たちの「きっかけ」として
薬って上手に使えると思うんですよ。

はじめは運動だけでなかなか
成果はでないかもしれないけれど、
フォシーガのような薬できっかけを作ってあげる。

結果として、体重がぐんと落ちて、
運動や食事療法も続けていける。
薬って本来こうやって使うんだよな、と。

そういう薬の使い方をして
いけたらいいなと思いますし、
薬剤師はそこに貢献できるとも思います。

薬は飲ませ続けることが目的ではなく、
人の健康を助けることが目的です。
自力で立てるようになったら、自然と手を放してあげるべきです。

理想の社会を目指して
一人一人頑張っていきましょう!
と、きれいにまとめて終わりたいと思います笑。
では!

【用法】通常、成人にはダパグリフロジンとして5mgを1日1回経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら10mg1日1回に増量することができる。
※ちなみに、食前、食後どちらでもOK

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2.重症ケトーシス、糖尿病性昏睡又は前昏睡の患者[輸液、インスリンによる速やかな高血糖の是正が必須となるので本剤の投与は適さない。]
3.重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者[インスリン注射による血糖管理が望まれるので本剤の投与は適さない。]

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